祖母の涙で後を継ぐ決意

 岡森書店は、岡森さんの曽祖父・鹿次郎さんが1899(明治32)年に新聞販売所として創業した後、1940年から本格的に書店へと変わりました。外商と配達を中心に成長し、87年に3代目がグリーンモールオカモリとして会社化。現在は書店2店舗に加え、レンタル業や飲食業も展開しています。

 岡森家は2代目、3代目は養子をとって家業を続けてきました。4代目の史枝さんは、3代目夫婦の長女になります。

創業当時の岡森書店。この場所からほど近い上野天神宮のすぐ前に、現在の本店を構えています

 「小さい頃は、本屋の店番をする祖母の傍らで過ごしていました。小学生の頃はマンガが読み放題。本屋の娘でうれしかったです。物心ついたときから長女の私が後継ぎという自覚はありました」

 それでも、最初は継ぐのが嫌だったと言います。高校卒業後の進路を決めるとき、「家を出る」と言ったら祖母が大泣きしたそうです。「愛情をもって面倒をみてくれた祖母の涙を見たとき、この人を泣かしたらあかんと思いました」

東京の「書店学校」で研修

 岡森さんは短大で経済学を学び、東京の書店で1年間研修に入りました。業務全般を学ぶ傍ら、「書店学校」という書店の後継者育成研修にも参加しました。「このときに学んだ商品管理の徹底は、今でも実践しています」

本に挟んだスリップに手書きでメモを書いています
本に挟んだスリップに手書きでメモを書いています

 本に挟まれている紙のスリップを見せてもらうと、入荷日と売り場を示す手書きメモがありました。「メモを見れば、同じ本でも売り場による動き方の違いが一目で分かります。アナログで手間もかかりますが、こうしてリアルタイムで売り場の鮮度を保っています」

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