目次

  1. 販路開拓とは 販路拡大との違い
  2. 販路開拓はなぜ重要?2つの理由を解説
    1. 人口減少によるターゲットの減少
    2. 顧客のニーズの絶え間ない変化
  3. 経営者が知っておきたい販路開拓の心得
    1. 販路開拓のターゲットを明確にして仮説を立てる
    2. 仮説と結果のギャップを把握する
    3. ギャップを埋めるための改善を行う
  4. 販路開拓の方法①商談・オンライン商談
    1. 商談・オンライン商談のメリット・デメリット
    2. 商談・オンライン商談の手順
    3. 商談・オンライン商談に役立つITツールやサービスなど
    4. 商談・オンライン商談の成功事例
  5. 販路開拓の方法②:展示会・オンライン展示会への出展
    1. 展示会・オンライン展示会のメリット・デメリット
    2. 展示会・オンライン展示会の手順
    3. 展示会・オンライン展示会に役立つITツールやサービスなど
    4. 展示会・オンライン展示会の成功事例
  6. 販路開拓の方法③:SNS運用
    1. SNS運用のメリット・デメリット
    2. SNS運用の手順
    3. SNS運用に役立つITツールやサービスなど
    4. SNS運用の成功事例
  7. 販路開拓の方法④:ECサイトの活用
    1. ECサイト活用のメリット・デメリット
    2. ECサイト活用の手順
    3. ECサイト活用に役立つITツールやサービスなど
    4. ECサイト活用の成功事例
  8. 販路開拓の注意点
    1. 近視眼にならないように注意
    2. サンクコスト効果に注意
  9. 販路開拓では定期的な効果測定と方法の見直しを

 販路開拓とは、新規顧客を獲得するために、これまでとは異なる販売経路を開拓することです。よく似た言葉に販路拡大がありますが、以下のようなイメージを持っていただくとわかりやすいかと思います。

  • 「販路開拓」は新しいターゲットや新しい販売方法などで新規顧客を獲得すること
  • 「販路拡大」は現在のターゲットや現在の販売方法などのまま広報や販売方法の強化などをすることで新規顧客を獲得すること

 また、販路開拓と販路拡大については、チャネルという言葉がついて回ります。チャネルとは商品、製品をお客様まで届ける経路のことをいいます。

 例えば、以下のようなものです。

  • 配送方法や問屋を通すのか通さないのかのように、どのような流通経路を活用しお客様に商品を届けるのか
  • 実店舗で販売するのか、インターネットを活用して販売するのかなど、どのような販売方法でお客様に商品を届けるのか

 このように、流通方法や販売方法を含め、お客様まで商品を届ける方法をチャネルと呼んでいます。

 販路開拓は、継続的な事業を行うにあたって非常に重要です。

 短期的な視点でいえば、既存の商品の広報や販売方法の強化である販路拡大の方が、効果的であるケースも多いです。

 販路開拓は、新しいターゲットの設定やそれに合わせた商品開発、新しい販売方法の設計やその準備など手間と時間がかかる場合がほとんどです。そういう意味では効果が出るまでに時間がかかる場合もあります。

 では、なぜ販路開拓が必要なのか。私は大きく分けて2つの理由があると考えています。

 1つ目は日本の人口が減少していることが挙げられます。人口の減少は、ターゲットとなる層が減少している場合が多いことを意味しています。

 減少する中で新たな顧客を獲得しなければならないと考えると、その難しさがわかるかと思います。例えば、私が以前に学習塾を支援した経験でも、生徒募集の範囲を広げたいというものがありました。

 現に地域の中学校、高校などでもクラス数が減る、高校の統合が進むなどがあり、人口減少の影響が見て取れました。このような状況の中で、同一地域の生徒だけをターゲットにしていては、おのずと限界が来ます。

 そこで、販路開拓の視点が必要になってくるのです。

 もちろん人口が減少していることには変わりがありませんが、新しいターゲットに目を向けることで、見込客の数は増大するからです。

 2つ目は、時代にあわせて顧客のニーズが常に変化しているためです。

 たとえばスマートフォンが出始めたとき当時の30代と、スマートフォンが生活の一部として当たり前になった現在の30代では、生活様式や価値観があきらかに異なるかと思います。

 そのため、企業自身もまた、時代に応じて変わりゆく顧客の生活様式や価値観に応じて、変化していかなければいけません。

 販路開拓では、ターゲットとなる顧客が何を求めているのかを軸に、さまざまな手法で行います。そういった意味でも「販路開拓」の視点は重要なのです。

 では、販路開拓を考える際に何に意識すればいいのか、その心得をご紹介します。

 販路開拓では、提供する商品やサービスがどのようなターゲットに適しているか明確にすることが重要です。ターゲット像がはっきりしたら、そのターゲットがどのようなことを望んでいるか、どのような手段で自社の商品にたどり着くかなどの仮説を立てます。

 仮説を立てるときは、人口統計などの資料の調査やトレンドなどを調査し、自分たちが想像しているだけでなく、データなどを参考にしてターゲットが望んでいることを明確にしていくことが大切です。

 販路開拓は新たなターゲットを想定し取り組みを行うため、良い想定外も悪い想定外も起こるケースがよく起こります。

 そのため、仮説と結果にどのようなギャップがあるのか、正しく把握することが大切です。

 販路開拓を実施し仮説と結果にギャップがあった場合は、それを埋めるための改善活動を行いましょう。

 販路開拓においては狙ったターゲット以外に評価される場合もあります。このような場合、ターゲットを設定し直すなどの改善が重要です。

 ここからは、具体的な販路開拓の方法の特徴や具体的な手順、役に立つサービスなどをご紹介します。まずは、商談・オンライン商談です。

 商談とは、自社商品の説明等を行い契約を行うことで、新商品やサービスなどの販路開拓を行います。商談の代表的なものとしては訪問営業などが挙げられるでしょう。

 また、新型コロナの感染拡大以降では、急速にZoom等を活用したオンライン商談も急速に普及しています。

 対面での商談とオンライン商談は一長一短で場合によった使い分けも大切です。対面での商談のメリットは、実際の商品を手に取ってもらい紹介や説明ができる点です。

 デメリットとしては実際に客先へ伺うなどが必要であり、移動時間や場所に制約がうまれる点が挙げられます。

 一方で、オンライン商談はインターネット環境が整っていれば移動をせずにZoom等を利用し顔を見て商談が可能なため、移動時間や場所の制約がなく行えるメリットがあります。半面、実際のモノを手に取っての説明が難しいなどのデメリットもあります。

 商談、オンライン商談ともに手順に大きな違いはありません。まず、ターゲットを明確にし、ターゲットのニーズ等を調査、検討します。

 ターゲットのニーズ等が明確にしたうえで、具体的な見込客を調査、検討し、電話やメール、DM等でコンタクトをとり商談へつなげていきます。

 その後、実際の商談において、対面であれば客先へ足を運ぶ、もしくは自社へ来社していただく。オンライン商談であればオンライン会議システムを活用し、オンライン上での商談を行ないます。

商談・オンライン商談に役立つITツール

zoomの公式サイト
Skypeの公式サイト

 支援サービスとしては、オンライン起業支援があります。認定特定非営利活動法人「経営支援NPOクラブ」では、オンライン起業支援と称して、中小企業のオンライン商談会のサポートを実施しています。オンライン展示会の出展方法やSNSの活用についてサポートしてくれるのも特徴です。

 そのほかにも、海外CEO商談会は、中小企業基盤整備機構が実施している支援事業です。海外企業の経営者と直接商談ができ、海外進出のチャンスを広げることができます。

 また、東京都中小企業振興公社をはじめとする都道府県等中小企業支援センターが、商談会を開催するケースがあります。販促活動を始めとする経営課題の相談もできるので、視野に入れてみてもいいでしょう。

 活用できる補助金・助成金には、小規模事業者持続化補助金(一般型)があります。販路開拓のための店舗の改装、チラシの作成、HPの作成、広報費など、販路開拓に関して幅広く活用できる補助金です。商談での活用については商談用の資料デザインや作成、DM作成などで活用が考えられます。

 金額の上限は50万円(補助率2/3)。申請要件としては小規模事業者に限定されており、その基準は業種ごとに従業員数で判断されます。

 私の知る企業で、サイト改修に合わせてオンライン商談につなげている例があります。

 新型コロナの影響からリアルでの商談や営業が難しくなったことから、自社のサイト内の情報(自社の商品やサービス関連情報など)をより充実させて、問い合わせフォームなどの導線もわかりやすくしました。

 それによって、サイトからの問い合わせが増加し、オンライン商談の件数がアップしたとのことです。

 展示会は複数の企業がブースなどを出店し、バイヤーが気になるブースを訪れ商談などを行う場です。商談同様、新型コロナの感染拡大以降からオンライン展示会開催が増えています。

 展示会・オンライン展示会は、販路開拓の場としても有効で、訪問営業などの商談と比較して1回の展示会出展で多くの企業と商談を行える可能性が高いです。

 対面での展示会とオンライン展示会の違いは、商談と同様になっています。

 展示会への出展では、展示会へ出展する目的や目標を明確にした上で、それに適した展示会をリサーチして申込みを行います。

 展示会は、一度に多くの見込客にアプローチができる反面、出展費用がかかる、ブースの出展に事前準備であるなど、手間やコストがかかるためより目的や目標を明確にして入念なリサーチが重要です。

 展示会についてはオフライン、オンライン共に開催主体によって規模や出展方法も様々で、規模等によって出展料なども大きく異なります。

展示会・オンライン展示会に役立つITツール

ebook5の公式サイト
Wisebook Cloudの公式サイト

 支援サービスとして、まず展示会への出展支援があります。中小企業基盤整備機構が販路開拓支援のために年間を通じて展示会を多数開催しています。中小企業基盤整備機構のサイトではオンライン展示会の開催の様子なども見ることもできるため、出展を検討する際には参考にするのもよいでしょう。

 また、ジェトロ(日本貿易振興機構)のサイト「世界の見本市・展示会(J-messe)」ではこれから開催される見本市・展示会の検索が可能です。取扱い品目などのキーワードからも検索ができます。

 参加者側が必要な展示会を検索する用途としてはもちろんのこと、自社で展示会を開催する際の参考材料を探すときにも活用ができるかと思います。

 活用できる補助金には、小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)があります。ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入に活用できる補助金です。展示会出展費用としては、オンライン展示会の出展のみが補助対象経費として認められています。

 金額は上限100万円(補助率3/4)で、小規模事業者持続化補助金一般型と同様に小規模事業者であることが申請要件となっています。また、低感染リスク型については、一般型が幅広く販路開拓、販路拡大に活用できるのに対して、新型コロナに対応した事業計画であることが必要です。

 説明資料にひと手間入れて、オンライン展示会への初出展を成功させた事例があります。オンライン展示会では、実際の商品等を手に取ってもらうことができないため、説明資料が重要になってきます。

 その企業では、情報を整理し、視覚的にわかりやすい資料を作成したことで、初出展ながら多くの成約を獲得しました。

 より低コストで広い範囲に販路開拓を行う方法としてTwitter、Facebook、InstagramなどのSNSを活用したものも有効です。

 メリットとしては低コストで行える点と広く広報などを行える点などが挙げられます。

 デメリットとしては、効果的な活用には定期的な更新が必要な点や効果が出るまでに時間がかかる場合がある点、有効な活用のためには事前にターゲットを定め投稿するなどがあります。

 SNSの活用については、手軽に行えるものの効果的を出すためには、事前の準備も含めて計画的な運用が重要です。

 SNSについてはTwitter、Facebook、Instagramにブログなど様々なサービスがありますが、各SNSで利用者の層や活用の仕方が異なっています。

 そのため、事前に自社の販路開拓に適切なSNSはどれか、自社の販路開拓の為にはどのようなPR方法が適切かなどを事前に研究、検討することが重要です。活用方法の検討、研究については、他社のSNSの活用方法を参考にすることもお勧めします。

 現在では多くの企業がSNSを活用し販路開拓や販路拡大を行なっているため、参考にできるサンプルも豊富です。

 自社のイメージに近い企業のSNSを日頃からチェックし、投稿内容や投稿頻度、フォロワーの傾向などを見てみるのがよいでしょう。

SNS運用に役立つITツール

Social Studioの公式サイト
コムニコ マーケティングスイートの公式サイト

 支援サービスとしては、中小企業基盤整備機構のサイトで「効果的な情報発信のためのSNS活用法」が動画で紹介されています。各種SNSで自社アカウントのファンを増やしたい場合は参考にしてみるのも良いでしょう。

 活用できる補助金・助成金としては、小規模事業者持続化補助金(一般型)があります。販路開拓のための店舗の改装、チラシの作成、HPの作成、広報費など、販路開拓に関して幅広く活用できる補助金です。

 SNSの活用の補助金利用については、SNS活用のコンサルティングなどの専門家謝金などの活用が考えられます。

 金額は上限50万円(補助率2/3)で、申請要件としては小規模事業者に限定されており、その基準は業種ごとに従業員数で判断されます。

 ほかにも、小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)があります。ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入に活用できる補助金です。

 こちらもSNS活用のコンサルティングなどの専門家謝金などの利用が考えられますが、小規模事業者持続化補助金一般型と違い新たなビジネスやサービス、生産プロセスに係る費用のみ認められるため、必要性を明確にすることが必要となります。

 金額は、上限100万円(補助率3/4)で、一般型と同様に小規模事業者であることが申請要件となっています。また、低感染リスク型については、一般型が幅広く販路開拓、販路拡大に活用できるのに対して、新型コロナに対応した事業計画であることが必要です。

 SNS運用の成功事例としては、SNS単体ではなく、その先を見据えた運用で成功している例が多いです。例えば、SNSから自社のECサイトに誘導し売上を確保するなど、単体利用でなく、他の取り組みとの合わせ技として成功している事例が多く見られます。

 また、SNS運用では、営業的になりすぎずに、フォロワーなどの役に立つ情報などを提供し、フォロワーとの関係性を大切にしているアカウントのほうがしばしば成功しています。

 販路開拓の中でも、新たな販売方法としてECサイトの活用があります。

 これは、実店舗のみで販売を行っていた店舗やBtoBのみの営業を行っていた企業がECサイトで販売を行い販売先へ全国に広げる、販売先を個人まで広げるなどの販路開拓方法です。

 メリットとしては店舗を持たずに全国に向けて販売ができる点や24時間販売を行える点などがあります。

 デメリットとしては出店が手軽でありライバルが多いことや、配送費用や配送時間を考慮した運用を行わなければならないことなどが挙げられます。

 ECサイト活用の手順としては、まず販売する商品の選定や店舗コンセプトなどを検討します。

 次に、自社でECサイトを構築するのか、既存のECサイトのサービスへ出店するのか選択します。自社でECサイトを構築する場合は、事前に検討したコンセプトに合わせて予算等も確認し、業者の選定、打ち合わせ、構築と進めていきます。

 業者の選定では、自社のイメージに合ったECサイトが構築できる業者か、予算が適切であるかなどをチェックしましょう。

 既存のECモールなどへの出店についてはコンセプトに合ったモール等を検討します。見るべき主なポイントは、出展料、販売手数料、自社のイメージに合った出店ができるかなどです。

ECサイト活用に役立つITツール

BASEの公式サイト
おちゃのこネットの公式サイト

 支援サービスとしては、中小企業基盤整備機構の中小企業のためのEC活用支援ポータルサイト【ebiz】があります。動画学習、情報集、ECサービス一覧など様々な用途に応じて利用できます。

 活用できる補助金・助成金としては、小規模事業者持続化補助金(一般型)があります。販路開拓のための店舗の改装、チラシの作成、HPの作成、広報費など、販路開拓に関して幅広く活用できる補助金です。ECサイトの構築にも活用できるため、自社でECサイトの構築を行なう際には応募するのも良いでしょう。

 金額は上限50万円(補助率2/3)で、申請要件としては小規模事業者に限定されており、その基準は業種ごとに従業員数で判断されます。

 小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)も活用できます。ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入に活用できる補助金です。ECサイトの構築については、一般型の対象となることはもちろんですが、こちらも対象となる可能性が充分考えれらます。

 金額は、上限100万円(補助率3/4)で、小規模事業者持続化補助金一般型と同様に小規模事業者であることが申請要件となっています。また、低感染リスク型については、一般型が幅広く販路開拓、販路拡大に活用できるのに対して、新型コロナに対応した事業計画であることが必要です。

 自社で制作しているオリジナルの商品を既存のECモールに出展した事例です。

 この企業では、コスト面でECサイトの自社構築では費用がかかること、既存のECモールの方が自社構築のECサイトより集客を行なうよりも効果が高いとの判断から、ECモールへの出展を決めました。

 現在はECサイトでの売上が、店舗売上よりも上回っています。ECサイトを活用する際は、闇雲に始めるのではなく、費用と効果の事前に十分に検討することが大切、ということを教えてくれる事例だと思います。

 最後に、販路開拓成功のための注意点を2点紹介します。

 販路開拓の際には近視眼的にならないよう注意が必要です。近視眼的とは目先の取り組みに気を取られ全体像が見えなくなることをいいます。

 販路開拓の取り組みには、上に挙げてきた方法以外にも無数に存在します。しかし、ある取り組みを始めるとその方法のみに捉われて全体像が見えなくなってしまう場合があります。

 あくまでも、販路開拓は売上の向上、継続的な経営を目的としたものです。そのため、1つの方法にこだわらず、常に何のための販路開拓かを意識し取り組みを行うことが重要です。

 販路開拓の取り組みにはサンクコスト効果にも注意が必要です。

 サンクコスト効果とは、これまで費やしてきた時間や費用が意思決定に影響を与え、冷静な判断ができなくなることをいいます。

 現在の販路開拓を行っていても一向に効果が期待できない場合は、思い切って新しい方法を試してみることが大切です。

 販路開拓は、経営を継続していくためには非常に重要です。

 その方法は、ここまで述べてきた以外にも多くあります。また、1つの方法のみで行なうのでなく、SNSからECサイトへの誘導など、複数の方法のあわせ技で成果を出している企業もよく見られます。

 一方で、いずれの方法の活用にせよ、すぐに効果が出ない場合もあります。効果が出ていても、時代の流れから有効な方法が変わる場合も多いです。そのため、経営者には、定期的な効果測定と方法の見直しなど、絶え間ない改善が求められます。