目次

  1. 営業支援とは
    1. 営業支援の重要性
    2. 営業支援のメリット
    3. 営業支援を行うときに気をつけたいこと
  2. 営業支援を行うための手順
    1. 営業フローの見える化
    2. 支援内容の決定
    3. 営業支援ツール(SFA)を導入する
    4. PDCAで改良を続ける
  3. おすすめの営業支援ツール(SFA)3選
    1. Sales Cloud
    2. ちきゅう
    3. cyzen
  4. SFAを選ぶときのポイント
    1. SFAを導入する目的を明確にする
    2. 導入する前にリサーチを行う
    3. できるだけ多くの社員をコミットさせる
  5. 営業支援とは会社に必要不可欠の機能である

 営業支援とは、その言葉の通り営業を支援することです。

 では、営業とは何でしょうか。筆者は、営業を「見込客を開拓し、見込客とコミュニケーションをとりながら関係性を構築し、最終的には自社製品やサービスを購入してくれる顧客に育成する、さらにはリピーターに育成する一連の活動のこと」と定義しています。

 そうした一連の活動を、会社が組織的に支援する一連の手段や仕組みが営業支援です。

 例えば、営業は見込客のリスト作りからスタートしますが、リスト作りを営業マン任せにするのではなく、会社として組織的に計画を策定し、実施する。

 また、できたリストに対するアプローチについても、データに基づいてその仕方を検証し、営業マンにアドバイスを行う。

 さらに、クロージングへ向けたオファーの策定についても、類似事例を参照するなどして内容を提案する。こうした一連の活動が営業支援です。

 ところで、なぜ営業支援が重要なのでしょうか。ここでは、営業支援がまったく行われていないF社のケースをご紹介しましょう。

 F社は、クリニックに特化したホームページ制作会社です。

 社長以下5人の営業スタッフでチームを組み、全国のクリニックを対象に営業を展開しています。受注すると外部の業者に依頼し、ホームページを作ってもらっています。

 このF社ですが、営業はすべて5人の営業スタッフに「丸投げ」しています。会社からは別段なんの方針もやり方も示されず、5人はそれぞれ自分がいいと思う方法で営業している状態です。

 あるスタッフはクリニックのホームページから営業メールを送り付け、あるスタッフは既存客にコンタクトして紹介を依頼するなど、各人の動きもバラバラです。

 当然ながら営業効率は悪く、営業スタッフのモチベーションも高くありません。営業スタッフの定着率も低く、営業スタッフは常に入れ替わっている状態です。

 このF社のケースは極端ですが、同様のことを大なり小なり行っている会社は少なくありません。会社が営業支援を行わないと、会社そのものに様々な弊害をもたらすのです。

 営業支援には、具体的に次の3つのメリットがあります。

営業力の向上

 第一のメリットは営業力の向上です。

 ここで言う営業力とは会社全体の営業力という意味ですが、会社が組織的に営業スタッフを支援することで実際に営業力が高まります。

 特に顧客情報や営業ノウハウの共有などが進むと、営業スタッフ個人の力量に依存しなくても済むようになります。

営業スタッフのモチベーション向上

 第二のメリットは営業スタッフのモチベーションの向上です。

 営業支援では、F社のように営業スタッフに丸投げするのではなく、営業スタッフを会社でバックアップします。

 それによって、営業スタッフが会社に対して安心感や信頼感を持つようになり、高いモチベーションで営業に取り組んでくれるようになります。

顧客満足度の向上

 第三のメリットは顧客満足度の向上です。

 営業スタッフを支援することで、営業スタッフは営業プロセスのより重要なフェーズに集中できるようになります。

 顧客とより密にコミュニケーションをとれるようになるので、結果として顧客満足度が高まります。

 営業支援を行うときは、最初から複雑な仕組みを導入しないようにしましょう。

 営業支援の仕組みを導入する際、後述するSFAなどを導入するケースが多いのですが、最初から複雑な仕組みを導入しようとすると、かえって導入が進まない可能性が生じます。

 基本的には、最初は必要最低限の機能に限定し、営業スタッフなどの習熟度に合わせて機能を追加してゆくべきでしょう。

 では、実際に営業支援を行うには、どのような手順で進めればいいのでしょうか。筆者は、以下のプロセスで進めるようおすすめしています。

 第一のステップは営業フローの見える化です。

 企業には通常、製品やサービスに応じた基本的な営業フローが存在します。その営業フローを、フローチャートにして見える化します。

 複数の営業フローがある場合はすべて見える化し、最適と判断されるものを採用します。

 営業フローが見える化できたら、次は具体的な支援内容の決定です。フローチャートにあわせて、誰が何をするのかを細かく詰めます。

 見込客開拓のステップでは、例えば見込客を集めるための媒体の選定、電話やメールなどを使ってアウトバウンドで行う際の役割分担の決定、各媒体のパフォーマンスのモニタリングと検証の検討などを行います。

 顧客育成のステップでは、例えばホワイトペーパーの作成・配布、オンラインセミナーの開催といった施策を考えます。

 営業支援の仕組みを構築するに際し、SFAの導入が必須です。SFAとはSales Force Automationの略で、「営業支援ツール」などと訳されます。

 SFAを導入することで顧客や商談に関する情報の共有が可能になり、効率よく営業支援を行えます。筆者おすすめのSFAは後ほどご紹介します。

 営業支援は、以上の手順を行えば終わりになるわけではありません。営業フローとは不変のものではなく、顧客、市場、競合などの各ファクターによって変わり続けるものです。

 そのため、PDCA(Plan, Do, Check, Action)を絶えず行い、改良を続ける必要があります。

 営業支援の仕組みを構築するに際しては、営業支援ツール(SFA)の導入が必須です。筆者は、以下の3つをおすすめします。

 セールスフォース・ドットコムが開発・提供しているSFAです。

 広告キャンペーンの反応や問い合わせなどの見込客管理、企業情報や担当者などの顧客管理、商談進捗状況や競合情報などの案件管理といったSFAのベーシックな仕組みが利用可能です。

 また、売上予測や各種のレポート機能も充実しているので、社内から営業スタッフを強力にバックアップできます。本格的にSFAを導入したい企業におすすめです。

製品名 Sales Cloud
開発元 セールスフォース・ドットコム
主な機能 顧客管理、商談管理、見込客管理、売上予想、各種レポート、ワークフロー、マーケティング支援等
特徴 ダッシュボードや各種レポートなど、可視化に優れている
おすすめの企業 本格的にSFAを導入したい企業、導入に厚めのサポートが必要な企業
コスト 1ユーザー/月3000円~

 Sales Cloudの公式サイトはこちら。

 ジーニーが開発・提供している国産SFA/CRMシステムです。

 使いやすいインターフェースで、情報入力や各種の分析などを直観的に行うことが可能です。

 定着率99%を誇る、初めてSFAを導入する企業にとっては導入しやすいSFAと言えるでしょう。

 顧客管理、商談管理、タスク管理といったSFAのベーシックな機能に加え、各種のレポート機能や、名刺管理機能なども利用できます。Googleカレンダー、Chatwork、Slackなどとの連携も可能です。

製品名 ちきゅう
開発元 ジーニー
主な機能 顧客管理、商談管理、タスク管理、各種レポート、活動報告、名刺管理等
特徴 情報入力や分析などが直観的に行えるので、初心者にも使いやすい
おすすめの企業 初めてSFAを導入する企業、確実にSFAを導入したい企業
コスト 1ユーザー/月1480円~

 ちきゅうの公式サイトはこちら。

 cyzn(サイゼン)は、レッドフォックスが開発・提供しているSFAです。

 純国産SFAで、スマートフォンベースであるのが最大の特徴です。現場レベルでの使いやすさを重視しており、動作速度がSNSやゲームアプリと同じレベルになっています。

 パソコンのように立ち上げる必要がなく、すぐに情報入力が可能です。

 顧客や商談などの情報共有といったベーシックなSFAの機能に加え、メッセージング、勤務情報把握、日報管理、GPSトラッキングなどの機能も利用可能です。

製品名 cyzen
開発元 レッドフォックス
主な機能 顧客管理、商談管理、タスク管理、各種レポート、メッセージング、勤務情報把握、日報管理、GPSトラッキング
特徴 スマートフォンベースなので、スマートフォンで完結できる。パソコンが必要ない
おすすめの企業 営業マンが外回りに時間を多く費やしている企業
コスト 1ユーザー/月3500円~

 cyzenの公式サイトはこちら。

 最後に、SFAを選ぶときのポイントをご紹介します。

 SFAを導入するときは、目的を明確にしましょう。企業の中には、SFAを導入することが目的になっているところも少なくありません。

 目的には「顧客情報を共有して営業スタッフを社内から支援する」「商談管理を可視化して営業効率を上げる」などがあげられます。なお、目的は複数あっても問題ありません。

 一口にSFAと言っても機能や特徴は様々です。また、導入コストや運営コストにもばらつきがあります。

 さらに業界によって向いているSFAがある一方、向いていないSFAもあります。

 例えば、ITリテラシーが比較的低い業界に、最新の機能をもったハイエンドSFAを導入しようとしても上手くいかないでしょう。

 また、外回りの時間が長い営業マンが多くいるのであれば、スマートフォンベースのSFAを導入する方が上手くいく場合もあります。

 可能であれば、同じ業界内におけるSFA導入事例などを調べ、ベンチマーキングやヒアリングをするなどリサーチを行うといいでしょう。

 できるだけ多くの社員をコミットさせるのもポイントです。

 特定の社員にSFA導入の責任を押し付け、丸投げするのはあまり良くありません。

 あくまでも会社全体のプロジェクトとしてSFA導入計画を策定し、社員のコンセンサスを形成させることが重要です。

 営業支援の基本や実際の導入方法を解説しました。

 結局のところ、営業支援とは、会社が組織的に行う必要がある、会社に必要不可欠な機能であると言えるでしょう。

 営業支援がない企業とある企業とでは、どちらが競争上有利なのかは言うまでもありません。特に企業経営者におかれては、そのことを十分に認識していただきたいと思います。