目次

  1. クラウド型顧客管理(CRM)システムの基本機能とメリット
    1. 機能:簡易なデータ化
    2. 機能:データ共有と連携
    3. 機能:データの一括販促
  2. おすすめのクラウド型顧客管理(CRM)システム5選
    1. eセールスマネージャー
    2. ちきゅう
    3. ネクストSFA
    4. Senses
    5. Knowledge Suite
  3. クラウド型顧客管理(CRM)システムを導入・活用するときの注意点
    1. 無料のクラウド型顧客管理(CRM)システムには限界がある
    2. すぐに効果が現れるわけではない

 クラウド型顧客管理(CRM)システムとは、クラウドベースで顧客管理を行えるシステムです。最初に、基本機能と、それぞれがもたらすメリットをご紹介します。

CRMの基本機能とメリット

 クラウド型顧客管理(CRM)システムでは、顧客情報や営業プロセスのデータ化が容易に行えます。顧客資産が埋もれにくくなるため、次のような現場の課題を解決できます。

 同様の悩みを抱えているのであれば、クラウド型顧客管理(CRM)システムが適しているといえるでしょう。次のような課題が解決できます。

  • 大事な顧客情報がデータ化されておらず、新規の営業活動に活かしきれない(商機を作れない)
  • 前任の対応履歴が引き継がれていない(取引実績がない場合は、受注機会をゼロから作ることになり非効率)
  • 商談登録データが記録されていないため、商機が把握できない
  • 受注や失注に至った経過や要因が分からない(同様のケースや別の機会で情報を活かせない)

 営業の現場において、取引先の担当者が変わるだけでなく、増えるといった場面は往々にして起こります。

 それを顧客データに全て反映させるには、顧客情報の入力という手間が発生します。

 営業活動の傍で行う作業は、後回しになりがちです。結果、企業内に貴重な顧客データが残らず担当が変わったり、辞めた後に営業活動が引き継がれないという課題を残します。

 そういった顧客情報の入力負担を解消したのが、昨今のクラウド型顧客管理(CRM)システムが備えている「名刺画像読み込みによるデータ化」です。

 データが蓄積されると、営業先の企業内を広く活動することが可能になります。必要に応じて担当部署や担当者を紹介してもらえるといった、営業開拓の機会も得られるようになるでしょう。

 また、“キーマン”と呼ばれる決裁者の情報が、将来は変わることもあります。

 しかし、今のうちから顧客情報をデータ化しておけば、たとえばそのキーマンが役職に付いた際にも、すぐにアプローチできます。それによって、その後の営業活動が優位に進む可能性も十分にあります。

 クラウド型顧客管理(CRM)システムでは、営業プロセスのデータ化も可能です。

 それによって取引先の担当が変わった時の引継ぎが容易になったり、別の営業担当が持つ類似案件の受注機会を活かしたりできるようになります。

 営業活動が記録されないと、新たな営業販路の開拓に時間を要するなど生産性の向上に繋がらないことも起こりえます。それを補えるのが、クラウド型の顧客管理(CRM)システムのメリットです。

 クラウド型顧客管理(CRM)システムは、顧客情報や営業プロセスの情報を記録したデータの共有・連携ができます。それによって、次のような課題が解決できます。

  • 見積書/契約書が紙、もしくは個人フォルダによる保管で情報共有できない。
    また、フォーマットがバラバラに管理されている。
    同様の案件で受注実績があるにもかかわらず予算感が把握できず商機を失う
  • 社内の稟議申請などのシステムが別に存在していて業務が非対応となる
  • 営業対応が別部署にシェアされなかった結果、顧客から不信を買ってしまう

 ここ数年で顕著になりましたが、データだけでなく、データのフォーマットがバラバラであるがために生産性を落とす(ことに気づきにくい)状況に陥っていることがあります。

 また、取引先(既存顧客)に対して営業がヒアリングした要件を別部署から見積りを提示するときに、顧客の大事なリクエストが引き継がれず、見積額が想定と異なるケースがあります。

 これは単にヒアリング事項が共有されていないのが原因ですが、システムを導入すれば確実に申し送りされることを防げます。

 業務効率はもちろんのこと、顧客の満足度を高められる(下げないようにできる)のもシステムのメリットといえるでしょう。

 クラウド型顧客管理(CRM)システムを導入すれば、販促活動が容易になります。次のような課題を解決することが可能です。

  • 見込顧客にメール一括送信ができない
  • 顧客の行動履歴(見積依頼、資料請求、商談)や顧客の特性(業種や居住エリア)などに応じて販売促進を行うときに、必要な顧客リストの作成(データベースからの抽出)に毎回時間がかかっている

 企業によっては、営業活動で得られた見込顧客に対して販促活動を行うときは別の部署、といったところもあるでしょう。

 その際は、顧客の状況に応じて狙う顧客を絞り込み、受注確度を高めるマーケティング活動することになると思います。

 しかし、パソコンから直接、一斉に大量のメールを送ると、メール受信サーバーから迷惑メールと認識される可能性が高くなります。また、配信設定のミスといったトラブルも起きやすくなります。

 こうしたリスクも、クラウド型顧客管理(CRM)システムのメールの配信機能を使えば避けることが可能です。

 また、営業活動プロセスや顧客特性に合わせて、届けたいタイミングや情報を変えながら送ることもできます。クラウド型顧客管理システムを導入すれば、より“顧客の立場に立った” 販促活動が実現できるのです。

 次に、筆者がおすすめするクラウド型の顧客管理(CRM)システムを5つご紹介します。

 企業のCRM活動が多岐に渡り、システム提供者も魅力的な会社が多い一方で、選ぶ側は何を基準に選ぶべきかを見失ってしまいがちです。

 そこで、外資企業の有名なシステムが多くある中で、日本企業の顧客管理(CRM)システムに厳選しました。自社にとって有効なシステム選びの一助としていただければ幸いです。

日本企業の顧客管理(CRM)システム(デザイン:増渕舞)

 eセールスマネージャーは、ソフトブレーンが提供しているクラウド型顧客管理(CRM)システムです。

 シンプルで使いやすく、多種多様な業務特性に対応しているので、利用して失敗しにくいシステムといえます。

 基本的な機能は基本プランで揃えることができますが、名刺のデジタル化についてはオプション料金がかかるので注意が必要です。

 eセールスマネージャーの公式サイトはこちら。

 ジーニーから提供されているちきゅうは、定着率99%という実績を誇るクラウド型顧客管理(CRM)システムです。

 だれでも使えるように、という設計思想が根底にあり、仕様に関しても極力使わない機能を排除したシンプルさが特徴。同時に、運用後のカスタマイズ要求にこたえられる拡張性もあります。

 ユーザー数や規模に合わせた4プランの中から選ぶ必要があるので、導入時は標準的なプランを選ぶのが良いでしょう。

 ちきゅうの公式サイトはこちら。

 ネクストSFAは、ジオコードが提供するクラウド型顧客管理(CRM)システムです。

 営業管理に特化しており、シンプルで使いやすいのが特徴です。導入規模は大小ありますが、50名以下の導入実績が多く、定評があります。

 一方で、名刺のデジタル化は他社製品との連携が前提となるため注意が必要です。

 ネクストSFAの公式サイトはこちら。

 マツリカから提供されているSenses(センシーズ)。AIを活用したクラウド型顧客管理(CRM)システムで、AIが次に取るべきアクションを教えるといった次世代型のソリューションが特徴です。

 多くの基本機能が月額利用料に含まれていますが、詳細機能についてはオプション価格になる可能性があるため、導入前によく確認するのをおすすめします。

 Sensesの公式サイトはこちら。

 Knowledge Suiteは、ナレッジスイートから提供されているクラウド型顧客管理(CRM)システムです。

 他と最も異なるのはユーザー数無制限で、1ユーザーあたりの従量課金がない点。月額利用料が、利用する人数に比例しないところに定評があります。

 ただし、使用容量に応じた金額変動があるため、完全に固定ではないので注意が必要です。

 Knowledge Suiteの公式サイトはこちら。

 最後に、クラウド型顧客管理(CRM)システムを導入・活用するときの注意点をご紹介します。

 クラウド型の顧客管理(CRM)システムの中には、無料で使えるものもあります。

 しかし企業が抱える顧客管理における課題は、企業全体で解決するべき事業課題だと筆者は考えています。

 理由は、今、コロナ禍によって、フィールドセールス中心の対応が難しくなってきているからです。

 こうした局面においては、1顧客の情報を、アフターフォローが必要なコールセンター、マーケティング、経理といった管理部門を含む全社で捉え、業務効率化につなげるといった姿勢が必要です。

 このとき、無料のクラウド型顧客管理システムを活用することも有効ですが、全社レベルで解決するべき事業課題に立ち向かうツールとしては限界があります。

 というのも、無料のクラウド型顧客管理(CRM)システムの場合、通常、使用できるID数が限定(数IDのみというケースが多いです)されるからです。

 ですが、そうは言っても費用負担や定着しないかもしれないという失敗のリスクを考えると、いきなり本格的な導入にはなかなか踏み切れないかもしれません。

 そこで、下記に、無料トライアルから始めて本格導入するまでのステップを紹介します。

CRMの効果的な導入ステップ

 顧客管理システムを本格的に導入した後、活動変容や具体的な効果が表れるまでは数ヶ月は見ておく必要があります。

 一つの目安としては3カ月・6カ月というスパンです。この時期にシステムの稼働状況を振り返りながら、営業生産性や業務効率などを数値的な観点で検証していくことになります。

 検証するとき、営業部門は個人・チーム・支店の単位での生産性を見るといいでしょう。

 他部門については、顧客データ活用により業務効率や販促効果など導入前後で効果検証してみてください。

 各部門の検証が終わったら、全社的に数値評価していくのが良いかと考えます。

 また、こうした効果検証は、本格導入する前でも有効です。