地元を飛び出し仙台へ

 三和工業は、先代の義父・三浦隆次さんが1973年に立ち上げた精密板金加工メーカーで、今は機械加工も行っています。主力製品は半導体を製造する装置の基礎になる厚板にベース加工を施したものや、製造装置を運搬するための治具です。

 国内大手半導体メーカーの1次サプライヤーである、電子機器や電子部品を製造する企業向けに、年間2万アイテム以上を製造していて、年商は約4億3千万円にのぼります。

三和工業の製造現場

 佐藤さんは福島県いわき市出身で、地元の工業高校を卒業後はとび職として働いていました。しかし、20歳の時、「刺激がない生活にもっと試練を課さないと」と思い立ち、仙台市に移住しました。持ち物は、働いてためた15万円と布団だけでした。

 「とにかく住み込みで働ける場所を探しました」。ようやく見つけた飲食店で夜の仕事をしていた時に、ヘアメイクとして働いていた妻の瞳さん(39)と出会いました。

義父の誘いで妻の家業へ

 瞳さんは「一生懸命働く姿にひかれたんですかね」と振り返ります。2人が付き合い始めて間もなく、佐藤さんは飲食店を辞め、建設工事の足場を作る会社に転職。出会ってから約1年で結婚しました。

 当時、2人は瞳さんの家業の三和工業に戻る気はありませんでした。瞳さんは「私は3人兄妹の一番下で兄もいたので、好きなことをさせてもらっていました」。そんな時、瞳さんの妊娠がわかり、切迫早産で仕事ができなくなりました。

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