目次

  1. ペットボトルの原料とは
  2. 日本のペットボトルのリサイクル率
    1. ボトルtoボトルとは
  3. ペットボトルのリサイクルの課題
  4. リサイクルボックスの異物混入対策
  5. 海洋プラスチック問題解決へ取り組むべきこと

 ペットボトルの原料は、石油からつくられるポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)と呼ばれる樹脂です。

 軽さの割に丈夫で加工しやすいため、飲み物などの容器として普及しました。全国清涼飲料連合会によると、清涼飲料水の中でもペットボトル飲料は生産量ベースで76%を占めています。

 PETボトルリサイクル推進協議会によると、2019年度の日本のペットボトルの回収率は93.0%、リサイクル率(リサイクル量/ボトル販売量)は85.8%です。

日米欧のPETボトルリサイクル率の推移。ヨーロッパのリサイクル率(39.6%)やアメリカのリサイクル率(19.7%)と比べてもかなり高い水準で維持している(PETボトルリサイクル推進協議会の公式サイトから引用)

 ほかのプラスチック製品と比べると、現在のペットボトルは単一素材でできているため、ボトルtoボトルなど素材として再利用しやすいという強みがあります。

 また、高いリサイクル率の背景には、消費者、市町村、事業者、分別排出、分別収集、リサイクルなど容器包装ごみの削減を義務づけている容器包装リサイクル法などが影響しています。

 ボトルtoボトルとは、ペットボトルを化学的に分解し原料レベルまで戻して再びペットボトルとして使うリサイクルシステムで、水平リサイクルとも呼ばれています。

 半永久的にペットボトルを資源循環できるだけでなく、石油由来の資源を使って一からペットボトルをつくるよりもCO2排出量を56~63%減らせるとしています。

 全国清涼飲料連合会によると、2019年時点では、ボトルtoボトル比率が12.5%にとどまっていますが、2030年までに50%を目指すと宣言しています。 

 しかし、ペットボトルのリサイクル率は上記の表の通り、85%前後で頭打ちとなっています。ペットボトルの包装フィルムやキャップが付いたままだったり、中身の飲料が残ったままで汚れていたりすると、そのままリサイクルができずにリサイクル率を下げる要因になります。

 さらに、自動販売機の脇に置かれたリサイクルボックス(回収箱)がごみ箱と勘違いされ、タバコの吸い殻やほかのゴミが捨てられ、中のペットボトルが汚れてしまうことも少なくありません。

 2018年12月に全国清涼飲料連合会が東京都内で調査したところ、リサイクルボックスの中身は、約30%がペットボトル以外の異物でした。リサイクル率の向上には、ペットボトルをきれいな状態で集めることが欠かせません。

 こうしたなか、全国清涼飲料連合会は2021年、静岡県浜松市、愛知県岡崎市、三重県津市で、投入口を下向きにした新機能リサイクルボックスを置き、キャップ、ラベルの分別回収も同時に進める実証実験に取り組むことを決めました。

投入口を下向きにした新機能リサイクルボックス

 2020年11月に東京・渋谷で実施した先行実験では、異物数が48%減、異物混入割合が29%と14%改善する結果が得られています。

 2021年はさらに複数の地点で検証し、既存と新機能のリサイクルボックスで違いも調べます。それぞれの実施期間は次の通りです。

  • 静岡県浜松市:8月23日~9月19日
  • 愛知県岡崎市:9月13日~10月10日
  • 三重県津市:9月27日~12月14日

 SDGsの目標の一つに「海の豊かさを守ろう」があります。日本は、ペットボトルのリサイクル率は世界最高水準でさらに向上を目指していますが、全国各地の河川敷に行くと今でもポイ捨てや大雨で街から流されてきたペットボトルが大量に流れ着いています。

 国際的な問題となっている海洋プラスチック問題の解決には、リサイクル率を上げるだけでなく、使用量そのものを減らす必要もあります。そのためにはマイボトルのより一層の普及などプラスチックを使いすぎない暮らし方も同時に進める必要があります。