「うちは普通の左官屋とは違うな」

 原田左官工業所は、1949年に原田さんの祖父が創業しました。先代の長男として生まれた原田さんは、「父から『継いでほしい』と言われたことはありませんでしたが、いつか継がなければいけないだろうと漠然と思っていました」といいます。

 父は1989年から業界に先駆けて女性職人の採用を始めました。

 「事務スタッフとして採用した女性が、『私も現場に出てみたい』と言ったのがきっかけです。当時、バブルで忙しい時代だったので、掃除などを手伝ってくれる人がいるだけで助かるという状況もありました」

 1990年に女性左官チーム「原田左官レディース」を結成したのを機に、多くのメディアに取り上げられるようになります。

 「中学生のころから、『うちは普通の左官屋とは違うな』と感じていました。左官の修行をして継ぐことも考えましたが、今までと同じやり方では会社を発展させることはできないだろうと。家業とは違う世界を経験した方が、将来継ぐときに役に立つのではないかと考えて進路を決めました」

 高校卒業後は4年制大学の経済学部に進学。大学卒業後、携帯電話の部品メーカーで3年間営業職を務めたのち、2000年に同社に入社しました。

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