アワードの狙いと特徴

 世界的な人口増加や急激な気候変動への対応が迫られる中、企業には廃棄物をできるだけ減らして、資源を使い続ける循環型経済(サーキュラーエコノミー)への対応が、社会的責任として求められています。

 「crQlr Awards(サーキュラー・アワード)」は21年8月、循環型社会をデザインするグローバルアワードとして始まりました。ロフトワークはアワードの特徴として、以下の三つを掲げています。

直線型ではなく循環型の評価を行う

 集まったアイデアを評価して賞を決定し、終了する「直線型」ではなく、「循環型」のアワードを目指します。授賞式などのイベントに限らず、応募者全員が参加できるネットワーキングイベントなどで、新しい交流や、アイデアの改良ができる機会を提供します。

名声ではなく、行動のためのアワード

 デザインの専門家や経営者、研究者ら国内外19人が審査。フィードバック、メンタリングなどを通してプロジェクトの実現に向けてサポートします。応募可能なアイデアは「循環型経済の実現に向けた大規模なプロジェクトから、計画中のものや、社内でボツになったもの、ひそかに心で温めているものでもOK」としています。

グローバル視点を獲得する機会

 ロフトワークとアワードを共催するFabCafeグローバル(バンコク、台北、バルセロナ、メキシコ、東京、名古屋のうちから3拠点)で、授賞式「オープンフィードバック」を実施します。審査員、各国のチェアマンと受賞チームをゲストに、ディスカッションの場を提供します。

募集対象のアイデア

 応募資格は個人、団体を問わず、国籍も不問です。応募費用は無料になります。アイデアのイメージとしては、使用済み容器のリサイクルなど、循環型経済に貢献するプロダクトや、食品ロスを抑える飲食店のように旧来の仕組みを変えるサービスなども含みます。

 要項によると、アイデアのカテゴリーは以下の四つです。

マテリアル

 直線型の経済を打破する新しい素材や加工技術、それを利用したプロダクト・サービス。

ニューデザイン&アプリケーション

 既存の概念にとらわれず、新しい価値提供するクリエーティブなプロジェクト(プロダクト・アプリ・エクスペリエンスデザイン・DX・サービスなど)。

インパクト

 社会、教育、経済、サプライチェーン、製造業などにインパクトを与え、斬新な関係を構築する、都市規模以上のスケーラブルなプロジェクト。

プレッジ(チャレンジ)

 ESGを開発し、測定可能な持続可能な目標を掲げてビジネスのやり方を変えることを約束した都市、企業。

審査員やアワードの内容

 審査員は国内5人、海外14人が名を連ねています。国内からは、サーキュラーエコノミー研究家で映像クリエーターの安居昭博さん、森美術館特別顧問の南條史生さんらが加わりました。

審査員を務める安居昭博さん(左)と南條史生さん
審査員を務める安居昭博さん(左)と南條史生さん

 審査基準は以下の通りです。

  • 循環型経済を目指す社会、企業の課題に対し、解決策を示しているか?
  • 資源循環だけでなく、環境に対してポジティブな影響を与えられているか?
  • クリエーティブであるか?サーキュラーエコノミーへの洞察があるか?

 審査員19人が各5プロジェクトを選び、合計50~100の企画がアワードを受賞する見込みです。受賞者は、ウェブサイトでコメントのフィードバックを受けたり、オンラインイベントでディスカッションに参加したりできます。

 主催するロフトワークは、循環型経済に関心の高い中小企業に向けて、次のように参加を呼び掛けています。

 「コロナウイルス感染症拡大によって、様々な業種が厳しい見通しになる中、むしろ『チャンス』だと捉えています。オンライン化が進み、物理的な距離がなくなったことで、中小企業の皆様の活動が日本だけでなくグローバルにも伝わり、今後の事業展開の一歩となる可能性を秘めているアワードです。循環型の経営・プロジェクトに取り組むみなさんが、相互に学び合う機会として、ぜひご参加ください」

募集スケジュール

 サーキュラー・アワードのスケジュールは以下の通りです。

  • 応募締め切り 2021年10月15日正午
  • 審査期間 同10月16日~28日
  • 作品発表 同10月下旬
  • 授賞式 11月

 応募要項の詳細や、申し込みは特設サイトへのアクセスをお願いします。

関連イベントも開催

 8月27日午後5時からは、アワードの審査員や循環型経済への先行的な取り組みをしている事業者らを招いたオンラインイベント「サーキュラー・エコノミーの展望と実践者たち」が開かれます。参加は無料です。申し込みは、イベントのサイトからお願いします。