目次

  1. 危機の家業を支えたい一心で入社
  2. 22歳で3代目社長に
  3. 同業から学んだ経営者の心得
  4. 作業着専門店の強みを祭り用に
  5. 祭りで日本一になる
  6. 潮目が変わる瞬間を見逃さない
  7. 祭り中止で売り上げ大幅減
  8. 空調ウェアを大量仕入れ
  9. アウトドア用品としてヒット
  10. 諦めは挫折、反省して次へ

 アイチは1959年、手袋の製造卸を営む個人商店「愛知手袋」として創業。82年には、作業服の卸・小売りを手掛ける「ワークショップアイチ」を開きました。3代目の古澤清さん(42)は、5男5女の10人きょうだいの末っ子として、たくましく育ちました。

 古澤さんが中学3年のとき、創業者の父がけがで長期入院し、専務だった19歳年上の長兄・吉成さんが、2代目社長に就任しました。ところが吉成さんは、会社を手伝う姉たちとことごとく衝突します。

アイチの創業当時の社屋(同社提供)

 姉たちは兄の元から去り、3億5千万円近くあった売り上げも2002年には半分ほどに落ち込んだといいます。会計士から「このままでは半年後に黒字倒産」と宣告されました。

 古澤さんは当時、医療従事者として病院で働いていましたが、「このままでは実家がなくなる」と聞かされました。「兄貴、オレ給料はいらないから手伝う」と言って、アイチに入りました。

 「盆や正月は、家族や親戚が大勢集います。誇りにさえ思っていた自分の家族がバラバラになると思うと、いても立ってもいられませんでした」。兄と仲の良かった古澤さんは、家業を支えたい一心で入社。会社を継ぐことは考えていませんでした。

 いざ入ると、古澤さんも事情がわかってきました。当時、姉たちは、職場の整理整頓や経営戦略、従業員の社会保険や、ボーナス支給に関する内容など、さまざまな改善を提案していました。それは、家業を会社経営に発展させる道筋をつけるものでした。ところが、社長の兄は動きません。

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