目次

  1. 「食の安全」がきっかけ
  2. 子どもが使いやすい最適な角度とは
  3. 職人に頼み込んで試作品を製作
  4. 4年かけてジブリとコラボ 
  5. 伊勢丹バイヤー動かし店頭販売へ
  6. サイン会でホテル支配人に直談判
  7. 檜原村にエコ工場を建設
  8. 育児経験を活かした新事業
  9. 子どもを総合的にサポートする企業へ

 食品と同様に、食器も安心・安全なものを選んでほしい――。そんな思いから、子ども用竹食器ブランド「FUNFAM(ファンファン)」を生み出したのが、FUNFAM代表の藤岡康代さん(46)と共同創業者である夫の恒行さん(45)です。

 康代さんの前職は全日空の国際線客室乗務員でした。結婚後、夫の実家である家具メーカー「タヌマ」(現在は廃業)を手伝うようになります。2006年当時、環境保護の観点から森林伐採に制限が設けられ、木材の価格が高騰したため、木に替わる素材として竹に着目。当初はベッドやテーブルなどの家具を製作していました。

 しかし、タヌマは釘を一切使わない伝統工法で製作する家具集団であったため、価格が高額になってしまうという課題がありました。そこで、「一般のお客様に気軽に使っていただける商品を」との考えから、タヌマの一事業として生まれたのが新ブランド「FUNFAM」です。その後、2011年8月に独立。従業員は10人です。

FUNFAMを手に持つ藤岡康代さん

 「妊娠したのを機に、食に関心を持つようになったのも、きっかけのひとつです。当時、中国製粉ミルクのメラミン混入事件やメラミン食器の安全性が問題視されるなど、不安なニュースが流れていました。ひとりの母親として、誰もが安心して使える商品を作りたいと考えました」

 「FUNFAM」は、子どもがスプーンで食べ物をすくうのに最適な食器の角度「R10」と厚さ21ミリを採用し、特許を取得しています。

 また、1~2歳の子どもは視力がまだ弱い時期であることから、食器のふちを認識しやすいよう濃い茶色のラインを施しました。さらに、食器を安定させるために底面に溝を設けるなど、細部まで工夫を凝らしています。

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