目次

  1. カーボンニュートラルとは 簡単に言うと
  2. カーボンニュートラルに取り組まないデメリット
  3. カーボンニュートラル、環境省が挙げる5つのメリット
    1. 優位性の構築
    2. 光熱費・燃料費の低減
    3. 知名度や認知度の向上
    4. 社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化
    5. 資金調達で有利
  4. カーボンニュートラルで中小企業ができること
    1. 現状把握(認識・知識)
    2. 取り組み(行動・意識)
    3. 計画策定(計画・今後の方針)
  5. カーボンニュートラルの無料相談窓口

 環境省の専用サイトによると、カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から、植林、森林管理などによる吸収分を差し引いて、その合計を実質ゼロにすることを意味します。

 2020年10月、臨時国会の所信表明演説で、菅元総理は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを目指すと表明しました。先行する欧米だけでなく国内でも脱炭素に向けた動きが進んでいます。

 カーボンニュートラルに取り組むことは、SDGs(Sustainable Development Goals)の達成にもつながります。

 Appleは2020年7月、公式サイトでサプライチェーンを含むカーボンニュートラルを宣言。自社だけでなく、製造サプライチェーン、製品ライフサイクルのすべてを通じて、2030年までに気候への影響を実質ゼロにすることを目指すことを明らかにしました。

 2021年10月には、自社向けの製品に100%再生可能エネルギーを使うサプライヤーが世界で175社を超えたことを明らかにしました。日本企業はこれまで次の9社でした。

  • イビデン
  • 太陽インキ製造
  • 日本電産
  • ソニーセミコンダクタソリューションズ
  • 村田製作所
  • ツジデン
  • 恵和
  • 日東電工
  • セイコーアドバンス

 今回、これに加えて11社があらたに追加されました。

  • アルプスアルパイン
  • 尼崎製罐
  • ボーンズ
  • フジクラ
  • ヒロセ電機
  • I-PEX
  • ジャパンディスプレイ
  • 日本メクトロン
  • ミネベアミツミ
  • 東陽精密機器(昆山)有限公司(親会社が日本)
  • UACJ

 このように、グローバル企業が、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルや再エネ100%を宣言し、日本の取引先にも対応を求める事例が増えつつあります。

 海外の報道では、再生可能エネルギーの調達を求められる日本企業の取引額は、年間725億㌦(約7.5兆円)に上るとも試算されています。

 グローバル企業の多くは、達成期限を2030年に置いているため、日本企業のカーボンニュートラルの状況が改善しなければ、サプライチェーンから外されるというリスクが考えられます。

 逆に中小企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットとして、環境省は「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック」(PDF方式)で、次の5つのポイントを挙げています。

  1. 優位性の構築(自社の競争力を強化し、売上・受注を拡大)
  2. 光熱費・燃料費の低減
  3. 知名度や認知度の向上
  4. 社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化
  5. 資金調達で有利

 前述のデメリットの裏返しになりますが、サプライヤーに対して温室効果ガスの排出量の削減を求めるグローバル企業に対する訴求力の向上につながります。

 カーボンニュートラルに向けては、エネルギーを多く消費する非効率なプロセスや設備の更新を進める必要があるので、結果的に光熱費・燃料費のコストダウンにつながります。

 大幅な温室効果ガス排出量削減を達成した企業や再エネ導入を進めた企業は、メディアへの掲載や国・自治体からの表彰対象となることを通じて、自社の知名度・認知度の向上に成功しています。

 気候変動という社会課題の解決に対して取り組む姿勢を示すことによって、社員の共感や信頼を獲得し、社員のモチベーションの向上につながります。また、そんな企業の姿勢に共感する、とくに若い世代の人材獲得に有利に働きます。

 金融機関でも、融資先の選定基準に地球温暖化への対応を加味し、融資条件を優遇する取り組みも始まっています。

 それでは、カーボンニュートラルに向けて中小企業はどんなことができるでしょうか。

 中小機構は、中小企業向けに作成した「チェックシート」のなかで、次の3つの手順を紹介しています。

  1. 現状把握(認識・知識)
  2. 取り組み(行動・意識)
  3. 計画策定(計画・予想・今後の方針)

 現状把握では、まず、自社のエネルギー使用量やCO2排出量といった現状把握から始めることを挙げています。燃料等使用量からCO2排出量に換算することもできます。

 次に、ほかの中小企業の取り組み事例を調べたり、省エネルギーセンターなどの外部診断を受けたりすることを紹介しています。中小企業の取り組み事例は、環境省の「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック」(PDF方式)が参考になります。

 カーボンニュートラルに向けては、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金先進的省エネルギー投資促進支援事業の補助金も役立ちます。

 こうした対応をした上で、再生可能エネルギーの導入など今後の方針を立てるよう勧めています。再生可能エネルギーの導入には、使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示す「再エネ100宣言RE Action」の取り組み事例が参考になります。

 中小機構は、中小企業・小規模事業者に向けて、カーボンニュートラルや脱炭素化について、無料の相談窓口を2021年10月19日に新規開設しました。

 オンライン会議システム(Zoom、Microsoft Teams)での相談で、毎週火・木曜9~17時に受け付けています。相談には中小機構の公式サイトから事前予約が必要です。

 次のような分野の専門家が相談に乗る予定です。

  • 省エネ法
  • 国内クレジット制度
  • 地球温暖化対策推進法
  • ESCO事業
  • 空調、照明、生産用冷温熱源機、コンプレッサーの省エネ