デジタル集客のコツは「まず発信」 IoTNEWS代表が語るDXの第一歩
インターネットを活用して新規顧客を獲得するにはどうすれば良いでしょうか?たくさんの企業のDX事例をインタビューしてきたIoTNEWS代表の小泉耕二さんは「まず自社でできることの発信から始めましょう」と話します。ネット広告やデジタルツールの活用方法も合わせてツギノジダイのセミナーで解説しました。
インターネットを活用して新規顧客を獲得するにはどうすれば良いでしょうか?たくさんの企業のDX事例をインタビューしてきたIoTNEWS代表の小泉耕二さんは「まず自社でできることの発信から始めましょう」と話します。ネット広告やデジタルツールの活用方法も合わせてツギノジダイのセミナーで解説しました。
目次
小泉さんの父は元々、運送業を営んでいました。業界を取り巻く状況が変わったのは1990年から始まった規制緩和です。当時はコンビニが全国に広がり、輸送ニーズが高まったころでした。
規制緩和で事業者数が大幅に増えた一方、過当競争も起きました。そのため、父の事業もピンチに陥ったといいます。今、振り返ると「父がデジタルの知見を持っていれば、ぜんぜん状況が違ったのではないか」と考えることがあるといいます。
たとえば、荷主と配送ドライバーを直接マッチングする「Pick Go」というサービスがあります。以前にIoTNEWSでも紹介しました。
在宅勤務で新しいイスがほしい人に向けて、家具店がイス1脚から宅配業者に配送を依頼できるようになります。「できてしまえば当たり前のように感じるかもしれませんが、時代の変化に合わせたサービスを作れるかが重要です」
では、自社のビジネスでデジタルをどのように活用すればよいでしょうか。小泉さんは、多くの企業に関わる共通した業務のなかから3つのデジタル活用のヒントを紹介しました。
「インターネットは1990~2000年に普及しました。2021年の今もネットで仕事が取れるわけがないと思っている人もいますが、デジタルの波はもう来ています。まず挑戦してみてください」
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小泉さんは、街の小売店を例に「会社のサイトを作るだけでは、人通りがないところにお店を出すのと同じです。まず、人通りを作らないといけません」と続けます。
この「インターネットで人通りを作る」方法の一つが、GoogleやYahoo!などの検索プラットフォームで検索上位に表示されるようにすることです。
小泉さんは「検索してほしいキーワードで検索したときにみなさんの会社は何番目に出てくるかを把握していますか?」と尋ねます。
GoogleやYahoo!などで何かのキーワードで検索したときにトップに表示されるサイトを、25~50%の人がクリックすると言われています。そのため、たくさんの会社が検索プラットフォームの1ページ目のトップに表示されるよう工夫しています。
「まず、みなさんのサイトで、ユーザーに検索してほしいキーワードで何番目に表示されるかを把握しましょう。見当たらないときはサイトを考え直さないといけないのですが、この努力は大変です」
SEO(検索エンジン最適化)を専門とする会社に委託するのも良いですが、小泉さんが手軽に試せる方法として勧めたのがGoogle広告です。
Google広告とは、指定したキーワードでGoogle検索したときにサイト上部の広告枠に表示される仕組みです。
先ほどの街の小売店を例に「まずはお店の前に人通りができる状態にして、買ってもらえるか、買わずに帰ってしまうかという状況にしてみましょう。何人も自社サイトを訪れているのに、問い合わせフォームから連絡が来ない場合は、サイトの内容や問い合わせフォームまでの導線を見直してみましょう」と話しました。
ほかにも、オンラインでイベントを開催したり、TwitterなどSNSを活用したりする方法も紹介しました。どんなツールを選べば良いかは、業態ごとに違いますし、どの年代に向けた商品を取り扱っているかでも異なります。
「もし写真映えするような商品を消費者向けに作っている会社であれば、Instagramが良いでしょうし、限られた人しか知らないサービスをやっている会社であれば、Google広告を使ってピンポイントでターゲットした方が効率よく届けられるでしょう」
それでは、小泉さんはどんなツールを活用しているのでしょうか?
小泉さんがDXを支援するコンサル会社「アールジーン」を立ち上げた2005年当初、自社サイトを作って、自社サービスの内容を書いて、お問い合わせフォームを作っても、届くのは営業メールばかりだったと言います。
しかし、この1年間、イベント登壇などは問い合わせフォームから来るようになったといいます。転機は、2020年5月、コロナ禍で仕事が止まったことをきっかけに始めたYouTubeでした。
撮影、話し方など手探りでしたが、動画を撮影しては改善することを繰り返し、投稿する動画の数を増やしてきました。すると、「YouTube見たので、あの話をしてください」という依頼が増えたといいます。
YouTubeだからうまいったというくが良いのではなく、自分でできることを表に発信することが大切だったと小泉さん。
「講演を依頼する側から考えると、出演しているテレビ番組でのコメントを聞いただけでは30分話せるか不安があります。しかし、YouTubeで動画を見れば安心して依頼できます。ある程度ネタばれしていても構いません。秘密にするのではなく、できることをいかに表に出していくかが重要なのです」
セミナー参加者からは再生数、チャンネル登録数が伸びないがどうすればよいかという質問が寄せられました。
これについては「Youtubeチャンネル登録者数増やしたい、再生回数増やしたいと思うでしょうが、正直なところビジネスで使うなら重要ではありません。見てくれるべき人が見てくればよいのです。たとえ10回でもお客さんが見てくれるのであれば、それで意味があるのです」とアドバイスしました。
様々な企業で進むペーパーレス。小泉さんは「紙をデジタル化すればDX、というわけではありません。集まったデータを使って仕事のやり方を変えないといけません」と話します。
たとえば、ペーパーレスにしても課長が申請を承認するまでに3日かかり、業務が滞っていたとします。原因を調べてみて、もし、承認申請に気づくのが遅れているのであればチャットツールなどと連携して自動で通知が飛ぶ仕組みを構築してもよいでしょう。
チャットツールで起こりがちな問題として、何でもメンバー全員に一斉送信してしまい、反応が悪いということを挙げました。
小泉さんは「メールのCCで関係者全員に送るような形でチャットツール使っていませんか?チャットツールは、意思決定の速度を上げるものです。決定権を持つ人と決定に必要な情報を持つ人は1対1でやりとりすることで意思決定スピードがあがります」と指摘しました。
逆に、意思決定に関係ない人をたくさんいれてしまうとそれだけ時間がかかってしまいます。
一斉送信すると結局読んでいない人が読んでいないままという状況もよく起こりがちです。
「しかし、既読したらスタンプを押すというルールは作らない方が良いでしょう。反応してほしい人にだけ、反応してもらえるように投稿すれば、きちんと反応は返ってくるものです。反応がない場合、まずはチャットの内容を見直してみましょう」
セミナー後半では、視聴者からの質問への回答コーナーもありました。
地域の人をデジタルで集客するかについて、小泉さんは次のように答えました。
「まず、住所をきちんとホームページに書いてください。どこにあるか、サイトで明らかになっているとGoogleは見つけてくれます。出てこない場合は、Googleマップに登録してみてください。近隣エリアの人が検索したときに表示されやすくなります」
デジタル化するときに現場の理解を得る方法について小泉さんは次のように答えました。
「紙に手書きが慣れているのにiPadでの入力に切り替えてもらうと面倒だと感じてしまう人がいます。そんな場合には、すべて打ち込むのではなく、選択式のフォームにしたり、音声入力ソフトを使ったりしてはいかがでしょうか?現場をカメラで撮って報告書にするという方法もあるでしょう。なるべく使う人がストレスかからなくて済む方法にすることです。
また、メリットをきちんと説明することも必要です。経営者からするとコスト削減かもしれませんが、現場の目線に立って残業の削減など言い方を工夫してみてください」
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