目次

  1. 「取材に際して料金を頂戴しません」でも……
  2. 営業込みの取材、3カ月過ぎても公開されず
  3. ほかの「取材」と称した手口
  4. 取材商法は詐欺に問えるのか
  5. 取材商法を見抜くには?
  6. ツギノジダイの対応

 ある中小企業の問い合わせフォームに、取材依頼のメールが寄せられたのは2021年の夏ごろのことでした。広報担当を務める後継ぎへの取材によると、次のような趣旨のメールだったそうです。

突然のご連絡を失礼します。 株式会社○○の△△と申します。

弊社は「■■■」(https://■■■.com/magazine)という経営者向けのWebメディアを運営しており、貴社のウェブサイトを拝見し、是非とも取材させて頂けないかと考え、ご連絡を差し上げました。

取材に際して何らかの料金を頂戴するようなものではございません。

当メディアは、著名経営者から新進気鋭の経営者まで、様々な業界のトップリーダーたちを取材し、事業そのものや事業に込めた思い、今後のビジョンなど、ビジネスパーソンに役立つ情報を日々発信しています。 まずは下記連絡先までご一報頂けますと幸いです。

 広報担当者は記載されていたWebメディアを調べたところ、ほかのメディアにもよく登場する経営者たちが掲載されているのを確認。「ちゃんとしたメディアだ」という印象を持ったといいます。

 SaaS系サービスを主体としながらも、経営者向けメディアを運営し、とくに不信感を抱く点はなかったため、取材を依頼することにしました。取材はオンラインでスムーズに進みましたが、1カ月半が過ぎても一切連絡がありません。違和感を抱いた後継ぎが電話で問い合わせると次のような回答がありました。

「お伝えしていませんでしたでしょうか?『掲載』は有料です」

  広報担当者は、詳細を尋ねることなく、そこで断ったといいます。この広報担当者は「実際に有名な経営者も掲載されており、メディア自体もきちんとしたつくりで、当初の依頼には『取材費用は発生しない』とありました。怪しいとはなかなか気づけませんでした」と振り返ります。

 この広報担当者、実はもう1件同時期に取材依頼を受けていました。同じように問い合わせフォームから届いた「取材依頼」でした。取材は無料であると明記され、質問事項を読むと、自社の事業内容についてきちんと事前に調べていると感じていました。

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