目次

  1. 祖父や父は尊敬の対象
  2. 継ぐことへの不安が大きく
  3. 楽天で芽生えた自信
  4. 祖父の言葉がきっかけで家業へ
  5. 大手出店で売り上げが3割減
  6. 「飛驒の家具」がネットで強みに
  7. ネットの売り上げが4割に
  8. 家業と起業で「二足のわらじ」
  9. 暮らしを豊かにできる家具を

 「家業は、誇らしい存在でした」と舩坂さんは語ります。

 キノクニヤは、舩坂さんの祖父が1955年に創業。当時は「舩坂タンス店」として、婚礼家具を中心に扱う家具店でした。91年に現在の場所に移転。飛驒地区最大級の1500平方メートルの店舗に、常時約千アイテムをそろえています。

キノクニヤは婚礼家具を扱う店として創業しました(同社提供)

 舩坂さんは子どものころ、学校が終われば店で従業員に遊んでもらいました。配送を手伝ったり、一緒に出張に行ったりという楽しい思い出も多かったといいます。「祖父や父から、仕事の愚痴は聞いたことがありません」

 事業を営む祖父や父の姿は尊敬の対象で、「いつか自分でも事業を」という気持ちが芽生えました。

 その一方、家業が自分の未来の選択肢を狭める「呪縛」のように思い、会社員の家庭の友達が、うらやましく感じる時もあったそうです。

 舩坂家は、この地で千年くらい続く家系です。舩坂さんは祖父から「家を守っていけ」とよく言われました。「店を継げ」という言葉はありませんでしたが、「自分が継ぐんだろうな、という感覚はありました」。

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