目次

  1. 二酸化炭素濃度測定器(CO2センサー)とは
  2. ガイドラインが求めるCO2センサーの要件
    1. 検知原理が光学式
    2. 補正用の機能が付帯している
  3. 測定精度の確認方法
  4. CO2センサーの測り方
  5. 粗悪なCO2センサーの見分け方

 十分な換気ができていない密閉空間では、新型コロナの感染リスクが高まります。そこで、室内で換気が十分に行われているかどうかを確認する装置が、二酸化炭素濃度測定器(CO2センサー)です。屋外であれば、二酸化炭素濃度は、400ppm前後ですが、換気の悪い室内では1000ppmになることもあります。

 政府が飲食店などで換気が十分か確認する手段のひとつとして、二酸化炭素濃度の測定器の活用を挙げており、さまざまな自治体が購入補助金を設けたことから普及しています。

 ただし、市販されている製品のなかには粗悪品が含まれており、測定精度が問題になっていました。そこで、経産省などが作ったガイドラインでは、推奨される測定器の要件として次のよう要件を満たしていることを推奨しています。

  • 検知原理が光学式を用いたものであること
  • 補正用の機能が測定器に付帯していること

 光学式とは、NDIR(Non Dispersive InfraRed:非分散型赤外線吸収)や光音響方式(Photoacoustic)など、二酸化炭素分子が吸収する特定の波長光を利用した検知の方式を指しています。

 補正機能とは、測定値のズレを自動的または手動により修正する機能を指しています。メーカーによっては補正を校正と呼ぶ場合もあります。

 ガイドラインでは、大まかな測定精度を確認するための方法として、次の方法を勧めています。

  • 屋外の二酸化炭素濃度を測定したとき、測定値が外気の二酸化炭素濃度(415ppm~450ppm 程度)に近い
  • 測定器に息を吹きかけ、測定値が大きく増加する(正常なら二酸化炭素濃度の高い測定値が表示される)
  • 消毒用アルコールを塗布した手や布等を測定器に近づけても、二酸化炭素濃
    度の測定値が大きく変化しない(光学式はアルコールにはほとんど反応しない)

 CO2センサーの測り方については、厚生労働省リーフレット「冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」(PDF方式)で、次のように紹介されています。

  • 定期的に校正されたものを使用してください。校正されていない測定器を使用する場合は、あらかじめ、屋外の二酸化炭素濃度を測定し、測定値が外気の二酸化炭素濃度(415ppm~450ppm程度)に近いことを確認してください。
  • 測定器の位置は、ドア、窓、換気口から離れた場所で、人から少なくとも50cm離れたところにしてください。
  •  測定頻度は、機械換気があり、居室内の人数に大きな変動がない場合、定常状態での二酸化炭素濃度を定期的に測定すれば十分です。
  • 連続測定は、機械換気設備による換気量が十分でない施設等において、窓開けによる換気を行うときに有効です。連続測定を実施する場合は、測定担当者に測定値に応じてとるべき行動(窓開け等)をあらかじめ伝えてください。
  • 空気清浄機を併用する場合、二酸化炭素濃度測定は空気清浄機の効果を評価するための適切な評価方法とはならないことに留意してください。

 一方で、電気通信大学の石垣陽特任准教授らは「安価で粗悪なCO2センサの見分け方」として、次の3つのポイントを挙げています。

屋外の新鮮な空気のなかで、400 ppm前後(目安として340~460ppmの範囲程度)を表示するか確認します。数値が大きくズレているセンサは、換気モニタには使用しないことを推奨します。ただセンサによって屋外の新鮮な空気を使って値を調整(校正)する機能がついている場合があります。そのような場合は取扱説明書の指示に従って校正を行ってください。

センサに息を吹きかけたとき、濃度(ppm)が取扱説明書に示された測定限界値まで上がることを確認します。もし息を吹きかけてもすぐに反応しない場合は、透明なビニール袋にセンサを入れた後に、その袋を呼気で膨らませ、様子をみてください。それでも反応しないセンサは、換気モニタには使用しないことを推奨します。

消毒用アルコールを吹きかけた手をセンサに近づけ、CO2濃度が上昇しないことを確認します。もし大幅に上昇すれば、CO2ではなく他のガスに反応する疑似センサが使われている可能性が高いので、感染症対策としての換気モニタリングには使用しないことを推奨します。

【ニュースリリース】安価で粗悪なCO2センサの見分け方 ~5千円以下の機種、大半が消毒用アルコールに強く反応~