目次

  1. 雇用保険マルチジョブホルダー制度(高年齢被保険者の特例)とは
  2. マルチ高年齢被保険者が失業した場合
  3. 手続きの流れ
  4. 雇入・資格取得届の記載方法
  5. 記載内容への相談先
  6. 事業主への注意点

 厚生労働省の公式サイトによると、これまでの雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みという適用要件を満たす場合に適用されます。

 これに対し、雇用保険マルチジョブホルダー制度とは、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、以下の3つの要件をすべて満たす場合に、ハローワークに申し出ることで、申出日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)になれる制度です。

雇用保険マルチジョブホルダー制度の適用対象者(厚労省の公式サイトから引用)
  1. 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
  2. 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  3. 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

 マルチ高年齢被保険者が失業すると、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金を受給できるようになります。

 給付金は、被保険者であった期間に応じて基本手当日額の30日分または50日分の一時金となります。基本手当日額は、原則として離職の日以前の6カ月間に支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額の5~8割程度です。

 2つの事業所のうち、1つの事業所のみを離職した場合でも給付金を受給できます。ただし、2つの事業所以外でも働いており、離職していないもう1つの事業所と3つ目の事業所を併せて、要件を満たす場合は受給できません。

 雇用保険の場合は基本的に事業主が手続きをしますが、雇用保険マルチジョブホルダー制度は希望する本人が手続きをする必要があります。そのため、事業主は依頼があれば、雇用の事実や所定労働時間などの証明をする必要があります。

雇用保険マルチジョブホルダーの基本的な⼿続の流れ(厚労省の公式サイトから引用)

 雇用保険マルチジョブホルダー制度を希望する人から事業主が記載依頼を受けたら、厚労省の公式サイトにある雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット(PDF方式:1.22MB)を参考に記載してください。

 雇用保険マルチジョブホルダー制度に関する相談は、最寄りのハローワークで受け付けています。

 厚労省は、事業主向けの注意点を下記のようにまとめています。

  • マルチ高年齢被保険者となることは、雇用保険法に定められた権利なので、事業主は必ず対応する必要があります
  • 雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請時に、事業主の協力が得られない場合は、ハローワークから事業主に確認が入ります
  • マルチジョブホルダーが申出をしたことで、解雇や雇止め、労働条件の不利益変更など、不利益な取扱いを行うことは法律上禁じられています
  • マルチジョブホルダーがマルチ高年齢被保険者の資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生します