目次

  1. レコメンドエンジンとは 仕組み・機能を紹介
  2. レコメンドエンジンのメリット・デメリット
    1. レコメンドエンジンのメリット
    2. レコメンドエンジンのデメリット
  3. レコメンドエンジンの選び方
    1. 現在、利用しているサイトとの互換性はあるか
    2. 自分たちのやりたいことができる機能が備わっているか
    3. 導入時・運用中の設定工数はどれくらいか
  4. おすすめのレコメンドエンジン
    1. EC RECOMMENDER
    2. さぶみっと!レコメンド
    3. Rtoaster
  5. レコメンドエンジンで利用者の満足度向上を

 レコメンドエンジンとは、サイト利用者に対して、他の利用者のサイト閲覧情報や購入情報を元に、同じ属性の利用者にとって興味度合が高い情報をシステムが判断し、提案するツールです。

 例えば、Amazonや楽天などのECモールにもレコメンドエンジンは搭載されています。

 自身の検索ワードに合わせて、過去に同様の検索を行った利用者の行動履歴・購買履歴を元に、「この商品を見た人はこちらの商品も見ています」や「あなたにおすすめの商品はこちら」等の形式で商品を紹介する機能が、レコメンドエンジンに当たります。

 レコメンドエンジンの提案・紹介機能は、主に次の技術によって実現されています。

  • 協調フィルタリング…自動でおすすめの商品を提案する技術。選択された商品に似た商品を提示するパターンや、その商品を選択した利用者の特徴にあわせて商品を提示するパターンがある
  • コンテンツベース・フィルタリング…商品を事前にグループ分けし、利用者が選択した際に、その商品と同じグループに属する商品を提案する技術
    ※上記を組み合わせたハイブリッド・レコメンデーション・システムもあります。

 レコメンドエンジンは、自力で構築してサイトに導入することも可能ですが、高度なプログラミングの知識が必要なため、専門知識を有した人材がいない場合は、他社が開発したレコメンドエンジンを用いるといいでしょう。

 機能を絞った安価な物から、サイト外での行動情報なども取り込んで、自社のサイトでの商品やコンテンツ紹介へ転用する高度な物まで、多種多様なツールが販売されています。

 次に、レコメンドエンジンを導入した場合のメリット・デメリットを見てみましょう。

 レコメンドエンジンを導入したときのメリットは、次の3つです。

  1. 購入確率がアップする
  2. 客単価がアップする
  3. ページ閲覧数や滞在時間が増える

 順に詳しくご説明します。

購入確率がアップする

 レコメンドエンジンを導入すれば、利用者の好みに合う商品を的確に紹介できるので、購入確率がアップします。

 例えば、掃除機A・掃除機B・掃除機Cという類似の掃除機があり、掃除機Bがよく購入されていたとします。また、特に掃除機Aのページを閲覧している利用者が、結果的に掃除機Bを購入していることがわかったとしましょう。

 このとき、レコメンドエンジンを用いれば、掃除機Aを見ている利用者に対して、「こちらの掃除機(掃除機A)を見ている人には、こちらの掃除機(掃除機B)がおススメです」と案内できます。

 ECサイトでは、特定の商品だけを見て、ほかの類似商品の存在に気がつかず、「たしかに掃除機が欲しいんだけれど、私が本当に欲しいものではないんだよな」となって、購入に至らないケースが少なくありません。

 そこで、機会を逃さずに「あなたの本当に欲しい掃除機がありますよ」とアピールできるので、結果的に購入確率のアップが期待できるのです。

客単価がアップする

 レコメンドエンジンを導入すれば、商品Aを購入しようとしている利用者に対して、一緒に購入検討されやすい商品Bや商品Cを提案し、追加購入を促せるのもメリットです。

 例えば、過去の購入者のデータから、掛け布団を購入する利用者は、同時に掛け布団カバーを購入する傾向が強かったとします。

 このとき、レコメンドエンジンを使って、その場合、掛け布団の商品ページを閲覧している利用者に対して、「こちらの商品(掛け布団)を見ている人には、こちらの商品(掛け布団カバー)もおススメです」と提案できます。

 私が担当したアパレル系の企業でも、レコメンドエンジンを導入し、トップスを見ている人に対してコーディネート用のボトムスが表示されるようにしたところ、客単価が前年比120%となりました。

ページ閲覧数や滞在時間が増える

 利用者の好みに合う商品やコンテンツを紹介することで、利用者にとって利便性の高いサイトとなり、サイト訪問から短時間での離脱を防止できます。

 私の担当したクライアントさんは、アクセサリー事業のECサイトを運営していましたが、サイトの回遊性を高めるためにレコメンドエンジンを導入したところ、サイトの回遊性が200%になったとのこと。

 それによって、サイト滞在時間がのび、転換率が向上して売上増となりました。

 一方、レコメンドエンジンには次のようなデメリットがあるため、利用するときは注意が必要です。

  1. 商品数やコンテンツ数が少ないうちは効果があまり出ない
  2. 利用者が少ないうちは提案の精度が上がらない

商品数やコンテンツ数が少ないうちは効果があまり出ない

 商品数やコンテンツ数が少ないと、レコメンドパターンが少なく、利用者の好みに合わせた商品やコンテンツの紹介が難しくなります。

 利用者の購入促進や利便性の向上も、期待通りにいかないことのほうが多いでしょう。

 例えば、商品数が10品のサイトAと、1,000品のサイトBがあった場合、レコメンドエンジンの効果が顕著にみられるのがどちらのサイトかは明らかです。

 多くの商品数と豊富なバリエーションが必須な業界の場合、可能でしたら100商品はご用意いただくと良いでしょう。

 商品数やコンテンツ数について、どのくらい必要かは一概には言えませんが、ステーショナリーグッズ系のECサイトで200以上のアイテムを用意したところ、レコメンドエンジンの効果が顕著に見られた事例もあります。

利用者が少ないうちは提案の精度が上がらない

 利用者が少ないうちは、レコメンドの精度が上がらず、利用者の好みにあったレコメンドができない可能性があり、購入促進や利便性の向上につながらない可能性があります。

 そのため、ECサイトやWebサイトを立ち上げたばかりで、まだ訪問客が少ない場合は、ユーザーの行動パターンを予測し、手動でのレコメンドの内容を設定するのが良いでしょう。

 レコメンドエンジンは、多種多様なツールが提供されていますが、自社にあったツールを選定する場合は、次の3点を重要視するとことをおすすめします。

 現在、利用しているサイトとレコメンドエンジンの互換性があるかどうかは契約前に、必ず確認しましょう。

 例えば、使用しているネットショップシステムによっては、導入できるレコメンドエンジンが限られているということもあります。

 互換性を確認する際は、現在使用しているネットショップシステムやCMSをシステムベンダーに伝えて、その有無を確認してください。

 レコメンドエンジンでできる機能は、ツールによってバラバラです。

「利用者のサイト内での行動や購入情報を元にレコメンドするツール」「ビッグデータと突合させて、利用者のサイト外での、行動や趣味趣向を取り込んでレコメンドするツール」「手動で任意の情報をレコメンドするツール」など、レコメンドエンジンによって、できる機能は多岐にわたります。

 レコメンドエンジン導入で、よくある目的(使用例)ごとに、必要な機能をまとめましたので参考にしてください。

目的例(使用例) 必要な機能
「この商品を見た人は、こちらの商品も見ています」と表示させたい 他者の閲覧情報を元に、商品を提案するレコメンド機能
ユーザーが「閲覧履歴」を見れるようにしたい 自身の閲覧情報を元に、商品を提案するレコメンド機能
「買い忘れではありませんか?」というポップアップが出るようにしたい カゴ落ちメール機能
「ランキング機能」を導入したい 他者の購入情報を元に、商品を提案するレコメンド機能

 レコメンドエンジンの導入時および運用中の設定工数も、ツールによってバラバラです。

 例えば、使用しているネットショップシステムによっては、契約さえすれば数分から数10分でスタートできるツールもあれば、複雑なルール設定をしないとスタートできないツールもあります。

 また、導入後も、自動設定で運用できるものもあれば、細かく設定を変更しないと効果が上がらないツールもあります。

 細かく設定をしないといけないツールは、裏を返すと、自由度が高いツールとも言えますが、自社の運用体制と運用工数が見合っているかどうかは、冷静に判断しましょう。

 判断するときは、システムベンダーに、導入までにかかる平均的な作業時間や、その後のメンテナンスにかかる時間を確認することをおすすめします。

 最後に、おすすめのレコメンドエンジンを3つ紹介します。サービス内容は執筆時点のものです。

 EC RECOMMENDERは、機能によってプランが分かれているため、やりたいことに合わせて安価でスタートさせることができるレコメンドエンジンです。

 最も安価なプランでも、商品情報のテキストデータを元に関連度の高い商品を提案するテキストマイニング機能や、他者の閲覧情報を元にしたレコメンド機能があります。

 そのため、まずはそのプランから使ってみて、必要な機能がだんだんわかってきたときに上位のプランに変更するのもいいでしょう。

サービス名 EC RECOMMENDER
提供会社 エクスプロージョン株式会社
特徴

・機能によってプランが分かれているため、やりたいことに合わせて安価でスタートさせることができる
・タグを埋めるだけで、サービス利用を開始できる
・手厚い導入サポート体制

利用時の注意点

・顧客属性データや外部データを取り込んで解析する仕様になっていない
・POSやその他ツールで取得できる顧客情報データとの連携ができない
・メールやアプリでプッシュ通知ができない
・サイトの互換性は要問合せ

おすすめの企業

・安価にスタートさせたい企業
・運用の手間暇をかけられない企業

費用

初期費用:5,217円~20,900円(税込み)
月額費用:5,217円~22,000円+従量課金(税込み)

公式サイトURL https://recommend.ec-optimizer.com/

 さぶみっと!レコメンドは、多種多様な業種・業態での導入実績があり、導入実績も多く、業界大手のレコメンドエンジンです。

サービス名 さぶみっと!レコメンド
提供会社 株式会社イー・エージェンシー
特徴

・メール配信ツールを活用したレコメンドツールの送信機能搭載
・サイト内検索エンジンやアプリ、MAツールなどの外部ツールと連携できる
・最短1週間でレコメンドスタート

利用時の注意点

・POSやその他ツールで取得できる顧客情報データ、基幹システム情報を取り込んでいない点
・サイトの互換性は要問合せ

おすすめの企業

・無料トライアルを実施してから導入検討をしてみたい企業
・レコメンドのデザイン性にこだわりたい企業

費用

初期費用:108,900円(税込み)
月額費用:42,900円~152,900円(税込み)
※別途オプション料金

公式サイトURL https://www.submit.ne.jp/recommend

 Rtoasterは、サイト内の行動データだけでなく、多種多様なデータを取り込み、一人一人にパーソナライズされた精度の高いレコメンドを実現しているレコメンドエンジンです。

サービス名 Rtoaster
提供会社 株式会社ブレインパッド
特徴

・サイト内の行動データだけでなく、多種多様なデータを取り込み、一人一人にパーソナライズされた精度の高いレコメンドを実現
・多くのツールと連携でき、多種多様な方法で利用者にアプローチができる

利用時の注意点

・機能が充実しているが、全部を使いこなすには、レコメンド機能に精通した社員を投入するといった運営体制が必要
・サイトの互換性は要問合せ

おすすめの企業 コストかけてでも、利用者一人一人に最適なアプローチを実現したい企業
費用 要見積り
公式サイトURL https://www.brainpad.co.jp/rtoaster/

 今は、情報が飽和している時代です。利用者は数多くの情報の中から、自身に適した情報を選択する必要があり、それは容易なことではありません。

 レコメンドエンジンは利用者の行動パターンなどを読み込み、利用者ごとに適した情報を提供することができるツールです。

 利用者一人一人に向き合ったサービスの提供は、利用者の満足度向上に必ずつながりますので、自社のサービスを最大限アピールするためにもレコメンドエンジンを有効活用してください。