目次

  1. ウェブサイト改善の考え方 まずサイトの目的を確認
    1. ウェブサイトの立ち位置を確認する
    2. サイト改善の考え方と解析ツールを把握する
  2. ウェブサイト改善4ステップ 仮説立てから効果検証までの流れ
    1. 1. 仮説を立てる
    2. 2. GA(Google Analytics)でデータを見る 改善点の見つけ方
    3. 3. 原因を探して改善施策を考える
    4. 4.改善の効果検証を行う
  3. ウェブサイト改善事例
    1. 事例1.アクセス数が少ない場合
    2. 事例2.アクセスはあるが問い合わせがない場合 
    3. 事例3.メニューが使いづらい場合
  4. ウェブサイトは作って終わりではない

 ウェブサイトを改善する際、まずはじめに、サイトの目的が何なのか確認してからサイトを解析し、改善を行うことが必要になってきます。

 サイトの目的によって、見るべき指標や参考にすべき基準が変わってくるからです。

 また、ウェブサイトの改善では専門の解析ツールを使って行うのが一般的ですが、どこをどう改善していくのかによって適したツールが異なるため、その相性の把握も重要になります。

 それぞれのポイントを解説します。

 ウェブサイトを作る際、認知を増やしたい、ファンを増やしたい、購入・問い合わせなどの具体的な行動をしてもらいたい、など様々な目的があります。

 認知目的のサイトは商品やサービスを知ってもらうということが重要になります。ページビューや新規顧客がどれだけ来訪しているかといった指標を見ていくことが必要です。

 また、ファンになってもらうことを目的としているサイトの場合、リピーターがどれだけ増えているか、一度来訪したユーザーが何ページ見てくれているかといったことが基準になってきます。

 商品を購入してもらう、問い合わせをしてもらうといった具体的な行動を目的にしたページの場合、目標として行動の完了数、完了率、売上金額などが重要な指標となります。

 サイト改善の考え方は、大きく分けて2つあります。サイトの内部の改善と、サイトに来るまでの集客ルートの改善です。

 サイト内部の改善というのは、サイト内の導線、メニューの構成、フォームのレイアウト、コンテンツの適否などがあります。

 この場合は、Google Analyticsやヒートマップツールを使ってサイト内でのお客さんの動きを解析してヒントを得ます。

 外部の改善は、サイトがどのような場所に露出されているか、流入経路が最適になっているか、効果の出やすい流入経路はあるのか、アクセスを増やせる余地のある経路はあるのか、といったような改善施策になります。

 ウェブサイトに来る前の人のデータを取るには、 Google Search Consoleや各SNSの解析機能、広告の管理機能などを使うのが一般的です。

 なお、改善時は、ツールでの目標設定を行うことも重要です。

 Google Analyticsの場合、問い合わせの完了画面を設定したり、バナーをクリックした回数を目標として設定したりします。

 目標を設定すると、どの流入経路の人が目標として行動をする確率が高いのか、何回サイトに来訪した人が目標とした行動をとってくれるのか、といったことを把握できます。

 改善のステップを、大まかに分けると4つになります。

  1. 仮説を立てる
  2. データを見る
  3. 原因を探して改善施策を考える
  4. 改善の効果検証を行う

 いきなりアクセス解析のデータを見ても得られるヒントは多くありません。

 Google Analyticsなどの解析ツールを見ても、改善ポイントが良く分からないという声もよくいただきます。

 ページ数の少ないサイトであれば、サイト全体で分析しても問題ありません。

 しかし、ページ数が多く、役割の異なるページが存在するサイトの場合、サイト全体で解析すると、意図したデータが取れないことがあります。

 例えば、一般的に直帰率(最初のページだけ見てサイトから離脱した人の割合)は低いほうが良いサイトと認識されますが、FAQページやお悩み解決系のコンテンツの場合には直帰してくれたということは問題が解決できたと捉えることができるため、直帰率が低くても問題ないと考えられます。

 初回訪問の来訪者にサイトを周遊してもらいたい集客コンテンツと、リピーター向けにトラブルシューティングをしてもらいたいFAQコンテンツでは、別の指標で分析しなければいけません。

 そのため、ページ数が多い場合は、各ページの役割を踏まえた上で、レイアウトの問題点、コンテンツの過不足、分かりづらい箇所がないかどうかなど、原因を絞り込みながら仮説を立て、そこからデータで検証していくことが重要になります。

 仮説に基づいて問題点が現れそうな箇所をデータとして検証していきます。

 ナビゲーションに問題がありそうな場合、来訪ごとのページ閲覧数、離脱の多いページを確認したり、ヒートマップツールできちんとクリックされているかどうかなどを確認します。

 アクセス数が少ない場合は、アクセスを増やす余地のある流入元はあるか、アクセスが少なくても十分な目標行動の完了数があるか、などを確認していきます。

 ここで、データを見るときに使いたい機能を、いくつかご紹介します。

絞り込み機能

 Google Analyticsなどの解析ツールでウェブサイトを分析する場合、初期設定ではサイトの全ページを集計したデータが表示されます。

Google Analyticsのディレクトリ

 ディレクトリ名などで絞り込んで解析すると、コンテンツの目的ごとに解析することが可能です。

比較機能

 Google Analyticsなどでは、任意の期間のデータを表示するだけでなく、指定した期間ごとに比較する機能が搭載されています。

Google Analyticsの比較機能

 比較機能を使うことで、たとえば次のようなことを把握できます。

  • 先月との増減
  • 前年との比較
  • サイト改善前後での動向

 初期の設定では日々の推移しか見られないものが、比較機能を使うことでヒントが得られます。

 期間での比較のほか、新規・リピーターでの比較、流入経路ごとの比較、サイト内のページごとの比較、PCとスマホでの比較など、いくつもの比較可能軸があるため、分析したい内容に応じて最適な比較項目を利用しましょう。

掛け合わせ機能

 Google Analyticsなどでは、一つの分析軸に他の分析軸をかけ合わせるセカンダリディメンションという機能があります。

Google Analyticsのセカンダリディメンション

 サイトに着地しているページとデバイスをかけ合わせ、あるページに来ているスマートフォンのユーザーの成約率とPCで来ているユーザーの成約率を比較できます。

 データを見て仮説が立証されたら、その原因は何なのかボトルネックを探して行きます。

 コンバージョン率(目標とした行動の完了率)が低い場合、行動を起こす画面に問題はないか、入力しづらい項目はないかなど、原因を推測します。

 原因がデータで推定できたなら改善できる方法を考えていきます。

 サイトに改善を施したら、その前後の期間でどのような変化が起きているかデータを確認していきます。

 改善を行ってすぐに反応が出ることもありますが、一定期間経たないと傾向が分からないことも多いため、1週間から1カ月程度の期間をおいてから検証するのがオススメです。

 仮説からどのような改善案が出るのか、いくつかの例で見ていきましょう。

  1. 仮説:アクセス数が少なくて反応がない
    サイトの成果が出ない場合、サイトに問題があるのか、そもそも見ている人が少ないのか、いくつかの要因が考えられます。ここではアクセス数が少ないのが原因と仮説を立て、データを見ていきます。

  2. 集客状況を確認
    Google Analyticsなどのアクセス解析ツールで、集客の項目を確認します。
    自然検索での流入は多いものの、SNSからの流入が少ない場合、SNSからの流入を増やせるのではないかと考えられます。

  3. 改善案:SNS上での投稿を増やす
    SNSからサイトへの流入を増やすために、SNSでの定期投稿を施策として行います。

  4. 検証:SNSの定期投稿後の流入の増減
    1週間~1カ月経過後、SNS経由の流入が増加しているか確認します。
    増加していない場合、SNSのフォロワー数が増えているかどうか、SNSで関心を持たれる投稿内容になっているかなど、さらに検証を重ね、PDCAサイクルを繰り返していきます。
  1. 仮説:問い合わせフォームが使いづらい
    ある程度のアクセスはあるのに問い合わせが少ないサイトの場合、問い合わせフォームが入力しづらい、サービスや商品に興味がないなどの原因が考えられます。
    ここでは問い合わせフォームが使いづらいと仮説を立てて進めます。

  2. データ:問い合わせフォームの離脱率を見る
    サイトに来た人が興味を持っている場合、問い合わせなどの行動を取ってもらえるはずです。
    反応がないということは入力途中にやめてしまう、問い合わせフォームは見たけど入力せずに去ってしまう、ということが考えられます。
    どれくらいの割合で問い合わせページから去ってしまっているかを見るためには、Google Analyticsでは行動レポートからページを絞り込み、該当するページの離脱率がどの程度になっているかを把握します。
    また、ヒートマップツールを使い、問い合わせフォームの各項目がクリックされているか、送信ボタンが押されているかなどを確認します。

  3. 改善案:入力項目を減らす
    問い合わせフォームの入力項目が多すぎるのが送信されない原因と仮定した場合、入力項目を減らすという改善案があります。
    また、必須項目を減らすという方法も考えられます。

  4. 検証:問い合わせページの離脱率の増減
    フォームの項目を改善したことによる、離脱率の増減を確認します。
    離脱率が減っていれば改善策は成功、離脱率が減っていない場合には、別の原因を探り、改善案を考える必要があります。
  1. 仮説:ナビゲーションが使いづらい
    サイトを見ていてメニューが使いづらいというケースも少なくありません。

  2. データ:セッションあたりの閲覧ページ
    メニューが使いやすければ、1訪問あたりの閲覧ページ数は伸びると考えられます。
    ページ/セッションが低い場合、他のページへの動線が使いづらいと推測できるため、メニューの改修を行います。

  3. 改善案:メニューの改修
    訪問者に分かりやすいようにメニューを変更します。

  4. 検証:変更後の1訪問あたりの閲覧ページ数を確認
    メニューを改修した前後での1訪問あたりの閲覧ページ数を比較し、改善が成功したかどうか確認します。
    あまり伸びていない場合、流入元による違い、ランディングページによる違いなども調査するとヒントがあるかもしれません。

 ※見るべき指標、改善案は一例です。サイトの目的、特性によって変わるので参考として捉えていただければと思います。

 ウェブサイトは作って公開すれば終わりというものではありません。

 ページやサイトの目的を明確にし、適切なツールを使って得られたデータを検証しながら、改善を行う。

 ただ単に広告費を使ってアクセスを増やしても効果が出ないことも多く、改善と検証を繰り返しながら、成果の出やすいウェブサイトへと育てていきましょう。