目次

  1. KSPと保障で中小企業の「健康経営の実践」を支援
  2. KSPを通じた健康経営PDCAサイクルの構築
  3. 健康経営を継続する秘訣とは?
  4. 健康経営の一層の推進に向けて
  5. 中小企業とそこで働く人々が活き活きと活躍できる社会を目指して

太田 準一

おおた・じゅんいち

大同生命お客さまバリュー開発課係長。2018年より現職。KSPの開発・運用全般に携わる。趣味は読書、映画鑑賞、スノーボード。

 中小企業は、経営者・役員と少数精鋭の従業員で事業運営されているケースが多く、そのような会社では従業員一人ひとりの役割が大きいのが実態です。そのため、病気や事故などで従業員が離職・退職せざるをえなくなった場合の影響は、大企業よりも深刻といえるでしょう。

 昨今、大同生命が力を入れている取組みのひとつに、中小企業に対する「健康経営の実践支援」があります。「健康経営」とは、従業員の心身の健康を「企業競争力の源泉」と捉え、企業として戦略的・積極的に「従業員の健康づくり」に取り組むことです。従業員の高齢化や人手不足を背景に、最近ではますます健康経営の注目度が高まっています。「保障」の提供による不測の事態への備えとともに、「予防」という観点で経営者や従業員の健康増進を大同生命が支援しているというわけです。

 同社は、2017年に「KSP」の提供を開始しました。サービスの利用は無料で、2021年10月には登録社数が約1万5千社を超えるなど、中小企業経営者から好評を得ています。さらに2022年1月には、KSPと保障を一体化した健康増進型保険「会社みんなでKENCO+」を発売。この商品開発に欠かすことができなかったのが、KSPのさらなるバージョンアップでした。健康経営に取り組む経営者の課題やKSPへの期待とは——今回は、KSPの開発・運用全般に携わる太田準一さんに話を聞きました。

 「KSPの特徴は、企業で健康経営を実践するためのPDCAサイクルの構築に特化したプラットフォームであるということです。健康経営に取り組む経営者の課題解決のために開発したという点で、世の中に存在する一般的なヘルスケアアプリと一線を画しています」と、太田さんは語ります。

 KSPアプリに健康診断の結果を登録することで、毎年の受診履歴が一目で確認できます。また、それによって「将来の生活習慣病リスク」などもわかるとか。現在の健康状態を“見える化”することで、健康維持・改善のための「毎日の歩数」や「禁煙」など設定した目標に取り組みやすくなります。さらに、「ウォーキングキャンペーン」などのイベントも定期的に開催されており、結果に応じて健康関連の商品・サービスと交換できるポイントが付与されるなど、健康意識の向上に向けたインセンティブも充実しています。このように、ワンパッケージで健康経営のPDCAサイクルを構築・実践できるため、会社として健康経営に取り組む“最初の一歩”として多くの企業で活用されています。

<PDCAサイクルのイメージ図>

 太田さんは、「KSPのマイページ(WEB画面)の最上段には、その企業の経営者のメッセージが『健康経営宣言』として表示されます。健康経営に対する経営者の想いが、社内共有されることで、会社全体で取り組む一体感を生み出します。なので、KSPの導入に際しては、経営者ご自身に想いのこもったメッセージをいただくようお願いしています」と説明します。

<マイページのイメージ図>

 「健康経営は、一朝一夕で社内に浸透するものではありません。そのため、継続的に取り組んでいただける工夫をKSPに盛り込みました」と太田さんは語ります。2021年10月には、“歩数”の目標達成状況をカレンダー形式で確認できる「カレンダー機能」や、先週の平均歩数や前々週までの比較等を確認できる「週間レポート機能」が新たに実装されました。

 また、「楽しむ要素を取り入れることも、健康経営を継続する秘訣です。経営者や社内のムードメーカーに率先して取り組んでいただければ、会社のみんなが楽しみながら健康増進に取り組めます。これからも、盛り上げに役立つイベントなどを新しく展開していく予定です」とのこと。

 例えば、先ほど紹介した「ウォーキングキャンペーン」は人気イベントの1つです。1ヵ月の合計歩数を全国のKSPユーザーが競うというシンプルな内容で、前回(2021年10月)のキャンペーンでは、8千名を超える参加があったとか。企業内の有志でチームを結成し、全国のKSP会員企業と競う「チーム対抗戦」は、大変盛り上がるそうです。「現在は、KSPの利用者なら誰でも参加できるイベントのみですが、各企業が自由にイベントを開催できるようにすれば面白いかもしれません。例えば自社の記念日や地域の行事と組み合わせるなどすれば、もっと盛り上がると思います」と太田さんは語ります。

 健康経営を推進するうえで、政府の施策が追い風になっています。経済産業省が2016年に創設した「健康経営優良法人認定制度」では、認定事業者は自治体や金融機関等から「公共工事の入札加点」「融資優遇」などを受けられるというメリットがあります。健康経営に取り組む企業は年々増加しており、「健康経営優良法人認定制度2021」では、中小規模法人部門において約8千社が認定を受けました。大同生命が約1万社の中小企業に対して毎月行っている調査「大同生命サーベイ」によると、ウィズ・コロナ時代を意識した取組みとして最も多く回答があったものは「従業員の健康保持・増進」だったそうです(2021年4月度調査)。

<大同生命サーベイ(2021年4月度)「ウィズ・コロナ時代を意識した取組み」>

 この2022年はKSPにとっての節目の年になりそうです。太田さんは、「今年1月に健康増進型保険『会社みんなでKENCO+』を発売したことで、お客さまの健康経営に対する関心が急速に高まったと感じています。1日あたりの平均歩数が8,000歩以上の場合に、翌年の保険料が割引される仕組みであり、合理的な保険料で必要な保障を確保しつつ、健康増進に取り組めると大変好評をいただいています」と語ります。

 2022年で6年目を迎えたKSP——『会社みんなでKENCO+』の発売を契機に、大同生命が推進する健康経営は、新たなステージに進もうとしています。コロナ禍による健康意識の高まりや非対面のニーズを捉えて、オンラインヘルスケア領域の機能拡充も検討されているそうです。最後に、太田さんが今後のビジョンを語ってくれました。

 「まだトライアルの段階ですが、産業医にオンラインで健康相談ができるサービスを、KSPをご利用いただいている皆さまにご提供しています。体調の変化に気づいても、日々の仕事が忙しい場合、大きな問題が起きていなければ通院や治療を後回しにしがちです。オンラインによる健康相談は、忙しい経営者の皆さまからコロナ禍以前よりご要望がありました。また、さらなる発展形として、将来、KSPを通じて医師の診療や薬剤師の服薬指導などが受けられれば素晴らしいですね。これからも、中小企業経営者・従業員の皆さまのご意見を伺いながら、時代に合ったサービスを提供していきたいと思います」

>>次回、健康増進型保険「会社みんなでKENCO+」の開発について、大同生命の井下さん、浅野さんが語ります。