キャリアアップ助成金、2023年(令和5年)からの変更点を紹介

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップを後押しするため、正社員化、処遇改善の取り組んだ事業主に対して助成金を支給する助成金です。2022年度補正予算案にも盛り込まれ、賃上げに向けた方向性がより強まりました。変更のポイントや提出先、申請の注意点を整理しました。
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップを後押しするため、正社員化、処遇改善の取り組んだ事業主に対して助成金を支給する助成金です。2022年度補正予算案にも盛り込まれ、賃上げに向けた方向性がより強まりました。変更のポイントや提出先、申請の注意点を整理しました。
目次
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など非正規雇用の労働者に対し、企業内でのキャリアアップを後押しする事業主に向けた助成金です。厚生労働省の公式サイトによると、次のようなコースがあります。
このうち、2022年度補正予算案では、変更が予定されているのは正社員化コースと、賃金規定等改定コースです。
有期雇用労働者などを正社員に転換または直接雇用した場合に助成するコースです。正社員化コースでは、下記の助成のうち、有期雇用労働者から無期雇用労働者への転換の助成を廃止します。金額は中小企業の場合です。
有期→正規:1人あたり57万円
有期→無期:1人あたり28万5千円(廃止)
無期→正規:1人あたり28万5千円
2022年度補正予算案で、人材開発支援助成金における、自発的職業能力開発訓練および定額制訓練修了後に正社員化した際の加算額を引き上げる予定です。
有期→正規の場合、1人あたりの加算が9万5000円から11万円で、 1人あたりの助成額は68万円となります。
無期→正規の場合、1人あたり加算が4万7500円から5万5000円で、1人あたりの助成額は34万円となります。
これまで正社員コースには次のような加算措置がありました。
2022年度補正予算案では、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」(仮称) で特定の訓練修了後に正社員化した場合、新たに加算対象となります(有期→正規:1人あたり9.5万円、無期→正規:1人あたり4.75万円)。
すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給した場合に助成するコースでしたが、2022年度補正予算案では、支給要件を2%以上から3%以上見直します。さらに5%以上の賃金引き上げを行う場合の助成額を拡充します。
生産性要件や1事業所あたり1年度1回の申請制限は廃止となる予定です。
これまでの中小企業向けの1人あたりの助成額は次の通りです。
対象人数 | 2%以上3%未満 | 3%以上5%未満 | 5%以上 |
---|---|---|---|
1~5人 | 3万2000円 | 4万6250円 | 5万5750円 |
6人以上 | 2万8500円 | 4万2750円 | 5万2250円 |
2022年度補正予算案で、中小企業向けの1人あたりの助成額が拡充されます。2022年9月までの遡及できる予定です。
3%以上5%未満 | 5%以上 |
---|---|
5万円 | 6.5万円 |
有期雇用労働者などに関して、正社員と共通の職務に応じた賃金規定などを新たに作成し、適用した場合に助成するコースです。
中小企業では、1事業所あたり57万円を助成されます。以前あった加算措置は2022年4月1日に廃止されました。
有期雇用労働者などを対象に賞与・退職金制度を導入し、支給または積立した場合に助成するコースです。1事業所あたり1回のみで38万円の助成となります。賞与と退職金制度を同時に導入した場合、助成額が16万円が加算されます。
短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに、処遇の改善を図り、新たに社会保険の被保険者とした場合に助成するコースです。社会保険の適用拡大を進めるため、支給要件緩和と時限措置が延長されます。
短時間労働者の週所定労働時間を3時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合、1人あたり22.5万円が助成されます。労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合、1時間以上2時間未満であれば、1人あたり 5.5万円、2時間以上3時間未満は1人あたり11万円の助成があります。
キャリアアップ助成金の申請書類は、厚労省の公式サイトからダウンロードできます。
提出先は、管轄の労働局またはハローワークです。提出前に事前に確認しておくとよいでしょう。
キャリアアップ助成金は審査が厳しくなっており、審査に時間がかかったり、不支給となったりする場合があります。
また、不正受給が発覚すれば、助成金を返還する必要があります。返還時に受給した日の翌日から返還を終了する日までの期間に対し、年3%の延滞金が付されることに加え、返還額の20%の額が違約金として請求されます。
また、申請代理人が不正受給に関与した場合や不正の事実を知っていて黙認した場合にも、申請代理人に返還の連帯債務を負う必要があります。
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