企業アカウントでnote活用 「知ってもらう」ための使い方やメリット
noteは現在様々な業種・規模の企業で発信媒体として活用されているメディアプラットフォームです。なぜnoteがこれだけ多くの企業に選ばれているのでしょうか?その理由であるnote活用のメリットや活用企業事例を、企業のnote発信を支援した経験を持つライター・編集者が解説します。
noteは現在様々な業種・規模の企業で発信媒体として活用されているメディアプラットフォームです。なぜnoteがこれだけ多くの企業に選ばれているのでしょうか?その理由であるnote活用のメリットや活用企業事例を、企業のnote発信を支援した経験を持つライター・編集者が解説します。
目次
noteは加藤貞顕氏が2014年に立ち上げたメディアプラットフォームです。加藤氏は『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海著)などの話題書籍を手がけた編集者。
彼が大手IT業界企業出身のエンジニアたちと「コンテンツの流通・収益化を実現する」サービスとして作り上げたのがnoteです。
noteでは、企業・個人問わず無料で利用を始められます。テキスト・つぶやき・音声・画像・動画の5つの投稿形式で自由に発信が可能です。
SNS・ブログ・動画配信等を一度に、手軽に実現できるサービスであることから、2021年3月時点で会員数380万人、投稿された作品総数は1,500万件を突破しています。2020年5月には月間でnoteを訪問したアクティブブラウザ数が6300万超となり、noteを見ている方がいかに多いかが分かります。
こうした流れを受けて多くの企業もnote活用を開始し、2021年6月にはnoteを利用する法人数が3000件を突破しました。
note社も企業や自治体との連携を進めており、2020年5月に学校法人、6月に地方公共団体、8月に文化施設へ有料サービス・note proの無償提供を開始し、公共団体等での発信を後押ししています。
2022年2月には岩手県の県立高校・県教育委員会と連携し、各校の魅力や特色などの情報発信をする取り組みも始めました。
企業アカウントは3000を突破、自治体との連携など、noteは近年急速に支持され、注目されています。
自社でのオウンドメディアを開設するのではなく、企業がnoteでの発信を選択する理由は何でしょうか?noteの活用メリットを5点ご紹介していきます。
noteの特徴としてまず挙げておきたいのが、SEOに強いと言われている点です。読者の方の中にも「noteはSEOに強い」という話を聞いたことがあるかも知れません。
SEOとは検索エンジン最適化のことです。ネットの海に漂う数え切れないコンテンツの中から、自社コンテンツをユーザーに検索して欲しいキーワードで、上位表示させるための対策を指します。検索結果が上であればあるほどアクセスが増え、自社のことを知ってもらう機会も増加します。
SEOにはスマートフォンにも対応したサイトにするなど、サイト制作側が対応する部分と、検索意図を汲んだ質の良い内容にするといったコンテンツ制作で対応する部分があります。
noteは、編集者と大手IT企業出身のエンジニアがタッグを組んで開発されているメディアプラットフォームのため、コンテンツ制作に集中できるような設計がされています。その一環として、SEO対策も行っていると推測できます。
note社では流入全体の40%が検索サイト経由と公開しており、SEO対策については以下のようにコメントを出しています。
noteでは、クリエイターの皆さまにコンテンツ作りに集中していただけるよう、ユーザー体験を高める改善をおこなっており、その改善を続けることがSEOにも効果があると考えています。
Googleのアルゴリズムは常に変化し、正確に把握することが難しいため、SEOに関するお問い合わせにお答えすることは困難です。一般的には、コンテンツの質が評価に影響するといわれています。
私たちは、SEO対策に関しては、貴社が想定されている読者に向けた、よいコンテンツをつくり続けていただくことが大切だと考えます。
SEOに関するよくあるご質問│note
noteはSNSのシェアを前提に投稿画面が設計されており、SNSと親和性が高いのが特徴です。
以下はnote公式の記事ですが、タイトル直下(青枠)・記事内容のドラッグ(黄枠)・フッター(赤枠)で、記事のSNSシェアが可能です。自分が「シェアしたい!」と思ったものをその場で直感的にSNSに投稿できる仕組みになっています。
SNS投稿で紹介された記事をSNSユーザーが読み、その記事がまたSNSで拡散されるという流れで閲覧数が増えていきます。noteへのSNSからの流入は全体流入の30%超と発表しており、この流れが裏付けられていると言えそうです。
特にTwitterとの相性は良いと言われており、Twitterのフォロワーが多い方であれば、コンテンツを拡散しやすくなっています。
noteには人気記事のランキングや広告がないことが特徴です。代わりにnote編集部がおすすめ記事を厳選して、メールマガジンなどでnote会員に紹介しています。
note内の記事を読むと、近しい属性の記事ページをレコメンド表示してくれる機能もあります。
このように、noteは「自社のことをまだよく知らないけれど、自社コンテンツの内容に関心のある読者(潜在顧客)」が流入しやすくなるように設計されています。
また、noteには「スキ」や「コメント」「SNSシェア」の機能があります。「スキ」や「シェア」が集まればnote編集部のオススメに取り上げられたり、検索で上位表示されたりする可能性が上がり、さらに多くの方に見てもらえるようになります。
読者の方には物販店を経営されている方もいらっしゃると思います。noteでは、外部のECプラットフォームと連携することが可能です。
自社製品の開発ストーリーをnoteに載せ、販売ページに遷移させることもできます。
以下の提携パートナー(最新情報はこちらからご確認ください)の他、Amazonの商品ページのカート表示にも対応しています。
自社でオウンドメディアを立ち上げる場合、サーバーの用意やSEO対策などサイト立ち上げまでに多くの労力とWebの専門的な知識が必要です。
また、オウンドメディアを開設できたとしても、開設したばかりの無名のサイトに集客をさせるのはとても難しいです。コツコツと検索意図に沿った良質なコンテンツを作り続ける一方で、見やすく分かりやすいサイトへ改善し続ける必要があります。
一方、noteなら、コンテンツを作るメンバーを確保すればすぐに自社メディアを開設できます。
アカウント開設直後でも集客に困りません。コンテンツの質にこだわってコンテンツを制作・公開していけば、380万人超のnoteユーザーの目に触れる機会があるからです。
noteではあるテーマにそって様々なユーザーの記事をまとめる「マガジン」という機能がどのアカウントにもついています。
すでにnoteで発信したことがある社員がいる場合、この機能を使うのもお勧めです。個人のアカウントでの発信を「マガジン」で所属企業のコンテンツとして紐付け、企業の発信を行えます。
もともとnoteは個人のアカウントが多いので、企業アカウント(中の人)ではなく個人名で発信すると、読者が親近感を持ちやすいという効果があります。
オウンドメディアでは発信する可能性のある社員一人ひとりにアカウントを付与するなどの管理が必要ですが、noteではこうした工数もほとんどかかりません。
ご紹介してきたように、noteの活用はオウンドメディアより手軽に開始・運用でき、SNSやnoteの記事を介した流入、SNSでの拡散にも優れています。また、複数名の社員でコンテンツ発信をすることも、オウンドメディアより簡単に実現できます。
以下のような希望や課題を持つ企業には特におすすめです。
開設・運用を無料でできるのもnoteの魅力です。上記のどれか一つでも当てはまっているようなら、まずは無料アカウントの開設をおすすめします。
noteを始めてみたい!そう思われた方に向け、企業noteを運用する手順を大きく5つにわけてご紹介していきます。
noteを始めたいと思った理由は何でしょうか?noteで発信する目的を明確にすることから始めましょう。
ちなみに、noteを活用している法人では以下のような発信が多いと言われています。
プロダクトの裏話は、ECなどと連動して売り上げに繋げることが可能です。あるいは、NHK取材ノートのように、メディア側が放送しきれなかった取材内容を公開するといった活用方法もあります。
社内外での広報活動を後押しするため、noteでは「#オープン社内報」を2020年4月からスタートしています。2022年3月現在、このハッシュタグが付いた投稿は1万1000件以上。多くの企業が社内の取り組みをnoteで公開しています。
noteで会社の雰囲気や大切にしていることをカジュアルに発信し、採用のミスマッチを減らしていく「採用広報」を目的に据えている企業もあります。
noteを企業で活用する場合、無料アカウントかnote pro(有料アカウント)のどちらを選択するか検討します。
note(無料アカウント)でもアカウントを開設してコンテンツ制作をするには十分な機能を備えていますが、note proを契約すると、予約投稿やドメインの設定なども可能になります。
note | note pro | |
---|---|---|
費用 | 無料 | 月額5万円(税抜き) |
使える機能 | 無料コンテンツの掲載 無料マガジンの掲載 他社ECサイト連携 ダッシュボードによる分析 有料記事/有料マガジンの掲載(1万円まで) 有料サークルの運営(審査あり) など |
noteの機能に加えて、 予約投稿機能 コメント欄のON/OFF 独自ドメインの設定 ロゴの変更 メニューのカスタマイズ note限定の分析ツール 開設・運営サポート(個別セットアップラーニング/個別カウンセリング) 契約法人コミュニティ/勉強会への招待 など、多くのメニューが活用できる |
その他 | オプションで、Googleアナリティクスとの連携や編集パートナーの紹介なども可能 |
note pro公式より抜粋
無料アカウントの開設はとても簡単です。noteのトップページ右上にある「会員登録」ボタンから会員登録画面に遷移します。
法人として登録する場合は、「法人の方はこちら」をクリックします。以下のようなフォームが出てきます。
あとは必要事項を順番に入力して登録を進めます。最後に、認証メールが登録したメールアドレスに届きますので、メール内のURLにアクセスしたら開設完了です。
note proを開設したい場合は、まずドメインを用意します。ドメインはnoteで用意できないため、別途ドメイン取得サイトで取得する必要があります。また、noteで使用できるドメインのルールがありますので、noteヘルプセンターの「独自ドメインの設定について」を参考にしながら取得しましょう。
ドメインの情報がある程度整理できたら、note proのページから問い合わせます。すでにある企業noteをnote proにアップグレードして、もとのnoteの記事やプロフィール設定を引き継ぐこともできます。この場合もドメインを取得してから問い合わせるとスムーズです。
noteを開設できたらいよいよ発信です。手順1で決めた目的に沿って、発信内容を決めて記事を執筆しましょう。
発信内容に困ってしまった場合、noteでは参考になるマガジンや記事が公開されているので、それらをチェックしながらアイディアをまとめると良いでしょう。
例えば「note pro運営がすてきと感じた法人noteまとめ」というマガジンでお手本となるアカウントを紹介しています。また、採用広報のお手本note9選という記事やイベント「等身大の企業広報」でも発信しています。
内容が決まれば執筆・投稿をします。noteの投稿は、シンプルでわかりやすいのが特徴です。オウンドメディアと違い、htmlなどの知識も不要です。太字や小見出し、リンクの挿入もでき、対象にしたい文字を選択するだけで、それらのメニューが出てきます。
投稿する時には#(ハッシュタグ)を設定しましょう。記事の執筆画面の右上に「公開設定」というボタンがあるので、そこでハッシュタグや目次などの設定をします。
関連するハッシュタグを2〜4個付けると記事の発見性が高まるそうです。最後に右下の「投稿」ボタンを押したら投稿完了です。
noteは先述の通りSNSと相性の良いメディアです。投稿をしたら、ぜひSNSで拡散しましょう。
特におすすめなのはTwitterです。noteはTwitterと連携することができ、シェアしたときにTwitterユーザー名が表示されます。
投稿してみた感想や要約などを添えて拡散すると、興味を持ってもらいやすくなります。
開設・投稿・拡散ができたら、定期的に投稿する運用サイクルを作りましょう。note開設の目的に沿って、コンテンツ制作チームのメンバー選定をします。
合わせて、更新頻度の目標を決めます。誰が、いつ、どんな内容の記事を公開するのか計画をすると、更新の見通しが立てられるはずです。
無料アカウントのnoteではダッシュボードによる閲覧数・コメント数・スキ数の分析ができます。ダッシュボードを確認しながら反応の良かったものは連載にする、似た切り口の記事を作成するなど、PDCAを回していきましょう。
最後に、特徴的なnoteの活用方法で、成果を上げている2社の事例をご紹介します。
Webマーケティングメディア「ferret(フェレット)」、オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One(フェレット・ワン)」などを提供しているベーシックは、採用広報活動の一環としてnoteを活用しています。
企業認知の拡大と入社後のミスマッチの減少を目的に、代表や人事責任者を含むプロジェクトチームを発足。プロジェクトチームの「バーチャル編集部」が、プロジェクトチームで決定された記事の方針を実際の運用に落とし込むという方法を採っています。
ベーシックさんは、全社としてSNSに取り組んでいることが印象的な企業でもあります。社員の皆さんが個人でTwitterやnoteのアカウントを持ち、そこで投稿した記事を「ベーシックのnote」というマガジンに紐付ける方法で記事を量産しています。
同社では入社時に全員を社内報で紹介するため、社内で印象的な「青い壁」を背景に一眼レフで写真撮影します。この写真をTwitterやnoteでも社員が自発的に活用しているんだとか。SNSやnoteでのベーシックさんの好意的なイメージ醸成につながっています。
こうした取り組みの結果、同社採用サイトからの直接応募が3倍に増加。内定承諾率は9割以上に上昇し、離職率も低下したそうです。
新潟県を中心に、地方企業の課題を解決するインターネット特化の広告代理店であるユニークワンでは、noteとコーポレートサイトを連動させて運営しています。
採用広報やブランディングの強化を目的に、マガジンと並列して「採用情報(採用ページ)」「コーポレートサイト」へ遷移できるようなメニューにしています。
採用情報をクリックすると、以下のようにnoteのリンクを掲載しています。どちらから流入しても相互に確認できるように工夫されており、noteがオウンドメディアとしての役割を果たしていることが伺えます。
noteはオウンドメディアの開設・運用コストなく、コンテンツを発信できる便利なツールです。また、個人アカウントが多いメディアプラットフォームのため、社員一人ひとりがアカウントを持ち、楽しみながら発信することもできます。
少数精鋭の企業や、本業で手が回らないから効率良く情報発信をしていきたい企業にはぴったりなので、ぜひ活用を検討してみてください。
まずは経営者の皆さん自らが、個人アカウントを開設することからスタートしても良いと思います。ご紹介したとおりアカウントの開設は無料で、簡単にできます。
ご自身の発信から、気軽に始めてみてはいかがでしょうか?
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