目次

  1. 「隠れた人気商品」だった5本指ソックス
  2. 自衛隊の要望で誕生 過酷な訓練に耐える『GUTS-MAN』
  3. OEM縮小の危機 GUTS-MANだけでは補えず
  4. 踏み出す海外への一歩
  5. ぶつかる壁 それでも次第に感じる手応え
  6. 顧客の小さな声を大事に
  7. 100年目の代替わりへ 顧客の悩みに向き合い続ける

 巽繊維工業所の創業は1928年。創業時は東大阪に本社を構え、漁業の網に使う撚糸(ねんし:よりをかけてらせん状にした糸)を製造していました。

 「規模拡大で奈良県に移転した後、撚糸がナイロンの糸に置き換わりつつあった事から現業の靴下製造に軸足を移します」

 巽繊維工業所4代目の巽美奈子さんは、そう語ります。奈良県は大和綿花の産地でもあり、当時から靴下の生産量は日本一です。

 「現在の主力製品となる5本指ソックスを手がけ始めたのは1980年代初頭、当時、5本指ソックスはあまり認知度が高いとは言えず、水虫用の靴下として中年男性が履くようなものでしたが、店頭で買うことに抵抗のある人が通信販売のカタログを見て購入してくれる、隠れた人気商品でもありました」

 2000年頃、1本の電話が巽繊維工業所に入ります。電話の主は陸上自衛隊の隊員、過酷な訓練でも破れない靴下を求めての問い合わせでした。

 「自衛隊には100キロ行軍と呼ばれる過酷な訓練があります。これは30kg相当の荷物を背負って、3夜4日間を歩き続ける訓練です。休憩は少しの仮眠程度、靴も脱がずに3日間歩き続ける為、新品のソックスでもすぐに破れ、足は血まみれになってしまいます。その為、ハードな訓練でも破れないソックスが求められていました」

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。