目次

  1. 小学生時代から使ってきたカシー化粧品 
  2. 父から突然の連絡 製薬会社を辞め家業へ
  3.  海外販路の開拓めぐり父と衝突 覚悟の示し方は
  4. こだわりの新ブランド でも商談会は門前払い
  5. かなった中国進出 現地に合わせたPRで売上1.5倍に
  6. 戦時下のウクライナからの動画が伝えたこと
  7. 挑戦しないことこそリスク まず飛び込もう

 香椎化学工業株式会社は1951年、卓哉さんの祖父・守男さんが創業しました。原点には、「肌荒れに悩む妻を助けたい」という守男さんの思いがあります。

 1964年、業界に先駆けて、保湿成分のプラセンタエキスを配合した化粧品を発売。主力ブランドの「カシー化粧品」は、「プラスキンシリーズ」「HOシリーズ」など、肌質や肌の悩みに合わせた化粧品をシリーズで展開しています。

 2021年度の売り上げは約21億円、従業員数は約160人です。

カシー化粧品の定番商品「カシー ボザール マニュアン」(香椎化学工業提供)

 卓哉さんは「カシー化粧品が常に身近にあった」と子ども時代を振り返ります。自分自身、乾燥肌で、小学生のころからカシー化粧品を使っていました。

 「『肌がきれいだね』と同級生から褒められると、うれしい気持ちになりました。化粧品がもたらす幸福感を、なんとなく実感していたのかもしれません」

 一方、家業を継ぐ覚悟は芽生えませんでした。夜遅くまで働く父や寡黙な祖父から、家業の話を聞くことも、「継いでほしい」と頼まれることもなかったのです。

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