53年前の1969年8月4日、時代劇「水戸黄門」(TBS)の放送が始まりました。

 

助さんと格さんを従えて全国を旅する主人公の水戸光圀公。

行く先々で、悪事を働く代官や商人を懲らしめて、庶民を助けるという勧善懲悪のストーリーでおなじみです。

ドラマ終盤の「この紋所が目に入らぬか!」というセリフと、掲げられる印籠(いんろう)がお約束。

新番組「水戸黄門」を紹介する1969年8月4日付朝日新聞朝刊

第1部は、約7カ月間にわたり全32話を放送。

放送開始日付の朝日新聞朝刊の新番組紹介記事には「ご存知水戸黄門(東野英治郎)が時の老中、柳沢吉保(山形勲)の批判勢力として絶えず吉保の刺客に命を狙われる設定」とあります。

放送開始直後は「印籠とともに黄門さまの身分を明かし一同ひれ伏す……」という流れはまだ確立されていませんでした。

放送400回を迎えることを伝える1984年3月2日付夕刊(東京本社版)

放送開始から14年7カ月後の1984年には、放送400回を迎えました。

長寿番組の秘密に迫った1984年3月2日付朝日新聞夕刊(東京本社版)の記事によると、黄門役や助さん・格さん役の俳優が二代目、三代目とバトンタッチしてきたことが、視聴者を飽きさせない要因になっていると紹介しています。

また、脚本や俳優の演技の参考にするため、スタッフは黄門さま一行が漫遊する土地の名産や名所、実景を調べてフィルムに収めたり、工芸品を作る工程をビデオに収めたりしているそうです。

「物語以外を“本物”にする努力をしている」ことが、人気の秘訣だと伝えています。

 

第10部(1979年~1980年放送、全26話)では、シリーズ平均視聴率が歴代最高の37.8%を記録。

その高い人気から「おばけ番組」「裏番組泣かせ」の異名もつきました。

五代目水戸黄門を演じる俳優・里見浩太朗さん=2005年5月9日、京都市右京区の東映京都撮影所、朝日新聞社

「水戸黄門」は、2011年12月19日放送の2時間スペシャルで最終回を迎えました。

最後の黄門さまは、1971年から二代目助さん役を17年、2002年から五代目黄門役を10年と、27年間にわたって「水戸黄門」に出演してきた里見浩太朗さんが務めました。

42年にわたる長い旅を終えた今でも、「水戸黄門」は人々の記憶に残る国民的時代劇であることは間違いありません。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年8月4日に公開した記事を転載しました)