10年前の2012年8月1日、ロンドンオリンピックの体操男子個人総合で内村航平選手が優勝しました。

この種目では1984年ロサンゼルス大会の具志堅幸司さん以来となる金メダルです。

金メダルを手に観客の声援に応える内村航平選手=2012年8月1日、ノースグリニッジアリーナ、朝日新聞社

得意のゆかでミスが出ながらも、6種目すべてで15点以上という安定した演技で金メダルに輝きました。

翌日付の朝日新聞夕刊(東京本社版)では、母・周子(しゅうこ)さんが現地で声援を送る様子を伝えています。

表彰式の後、内村選手が周子さんに花束を投げて届けるという感動的なシーンもありました。

内村航平選手の快挙を伝える2012年8月2日付朝日新聞夕刊(東京本社版)

内村選手は長崎県諫早市出身。

長崎県勢がオリンピックで金メダルを獲得するのは初めてで、多くの県民が快挙をともに喜びました。

長崎県諫早市役所ロビーのパブリックビューイング会場で内村航平選手に声援を送る人たち=2012年8月2日、長崎県諫早市役所、朝日新聞社

ロンドンオリンピックでは個人総合の金メダルのほか、団体総合と種目別ゆかで銀メダルの計3個のメダルを獲得しました。

男子個人総合決勝であん馬の演技をする内村航平選手=2012年8月1日、ノースグリニッジアリーナ、朝日新聞社

内村選手の最初のオリンピックは2008年の北京大会。

19歳で個人総合の銀メダルをつかみました。

その後の2012年ロンドン大会に続き、2016年リオデジャネイロ大会でも個人総合で2連覇。

「キング」としてその名は世界に知れ渡りました。

 

長年にわたり日本のエースを務めてきた内村選手ですが、両肩の痛みのため、2020年東京オリンピックは種目別の鉄棒に絞って金メダルを目指します。

しかし、2021年7月24日に行われた予選でまさかの落下。

決勝進出はかないませんでした。

試合後のインタビューでは、後輩たちの活躍をたたえ、「彼らの演技を見て、もう本当に心配は要らないなと。オリンピックは今まで僕が(個人総合で)2連覇していますけど、過去のこと。僕はもう主役じゃない」と語りました。

2022年3月12日、東京体育館での引退試合で現役を退きました。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2011年8月1日に公開した記事を、一部修正して転載しました)