【5月23日は何の日】42年前、「世界のクロサワ」がカンヌ最高賞受賞
「実は10年前のきょう…」「きょうはこんな日なんですけど…」。取引先との雑談や、プレゼンの冒頭、社内の朝礼など、日々のビジネスシーンでのちょっとした会話のきっかけになる話題の“タネ”を紹介します。
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「世界三大映画祭」と言えば、イタリアのベネチア、フランスのカンヌ、ドイツのベルリンです。
それぞれ長い歴史を誇りますが、その権威が最も高いとされているのが、地中海に面した南フランスのリゾート地・カンヌ市で開かれるカンヌ国際映画祭です。
42年前の1980年5月23日、黒澤明監督の「影武者」が第33回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞しました。
この賞を日本映画が受賞するのは、26年ぶりの快挙。
翌日の朝日新聞朝刊(東京本社版)は、社会面でその快挙を伝えました。
「影武者」は戦国時代を舞台に、武田信玄の影武者となった盗賊の数奇な運命を描いた歴史絵巻です。
撮影をめぐって黒沢監督と主演俳優の勝新太郎さんが衝突し、勝さんが降板。
仲代達矢さんが急きょ代役をつとめ、武田信玄役と影武者役を好演したことでも話題となった作品でした。
ちなみに、「パルムドール」はフランス語で「黄金のシュロ」という意味です。
シュロはヤシ科の植物で、ヨーロッパでは勝利の象徴。
カンヌ市のシンボルでもあり、豪華なホテルが並ぶ目抜き通りにはシュロの木が並んでいます。
最高賞に贈られるトロフィーがシュロをあしらった形なので、「パルムドール」と呼ばれています。
黒澤監督は1951年、「羅生門」でベネチアの金獅子賞を獲得。
日本映画として初めて世界三大映画祭の最高賞に輝き、日本映画が世界に注目される先駆けとなりました。
ほかにも、死期の迫った男を愛情深く見つめた「生きる」や、野盗から村を守る野武士を豪快に描いた「七人の侍」など、映画史に刻まれる「黒澤映画」は世界の映画界から高く評価されました。
黒澤監督は「世界のクロサワ」と呼ばれ、海外の映画人を魅了。
ジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグ、フランシス・F・コッポラなど、世界の名だたる巨匠たちにも大きな影響を与えたと言われています。
戦後日本の映画黄金期とともに生き、いまも日本の映画史を代表すると言ってもいい黒澤監督は、1998年9月6日に88歳で亡くなりました。
■世界3大映画祭で最高賞の日本作品(カッコ内は監督名、敬称略)
◇カンヌ映画祭
1954年 地獄門(衣笠貞之助)
1980年 影武者(黒澤明)
1983年 楢山節考(今村昌平)
1997年 うなぎ(今村昌平)
2018年 万引き家族(是枝裕和)
◇ベネチア映画祭
1951年 羅生門(黒澤明)
1958年 無法松の一生(稲垣浩)
1997年 HANA-BI(北野武)
◇ベルリン映画祭
1963年 武士道残酷物語(今井正)
2002年 千と千尋の神隠し(宮崎駿)
(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年5月23日に公開した記事を転載しました)
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