9年前の2013年5月12日、「振り込め詐欺」の新たな名称を公募していた警視庁が、最優秀作の「母さん助けて詐欺」など3点を発表しました。

「母さん助けて詐欺」のほかの優秀作は「ニセ電話詐欺」「親心利用詐欺」。

新名称の発表を伝えた当時の朝日新聞では

「『振り込め詐欺』という名称は、2004年に警察庁が決めた。『オレオレ詐欺』と呼んでいた被害が2003年に急拡大したが、手口を見ると『架空請求詐欺』などへ多様化していたためだ。しかし近年は犯人が被害者のもとへ金を直接受け取りに行く手口が急増。名称が実態に合わないとして3月に公募に乗り出した」

朝日新聞東京本社発行の2013年5月13日付朝刊

と名称変更の理由を説明しています。

 

名称変更から8年が経ちましたが、残念ながら「母さん助けて詐欺」は浸透したとは言えず、母さん助けて詐欺を含む特殊詐欺の被害件数は依然として多い状況です。

2021年2月に発表された2020年の1年間に警察が把握した特殊詐欺の被害は1万3526件。

被害件数の減少を報じた朝日新聞によると、コロナ禍で家族が自宅にいるケースが多く、詐欺の電話がかかってきても相談しやすい場面が多かったとみられる一方で、

「大阪の80代女性は、区役所のコロナ関連の給付金係を名乗る男らから『キャッシュカードの裏に金色のシールが貼られていなければ対応していない』などと言われ、カードを預けたところ、預金200万円が引き出された」

朝日新聞東京本社発行の2021年2月5日付朝刊

といったコロナ絡みの詐欺被害も出ているとしています。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年5月12日に公開した記事を転載しました)