24年前の1998年4月16日、テレビ東京系の人気アニメ「ポケットモンスター」の放送が約4カ月ぶりに再開されました。

前年の12月16日、番組を見ていた小中学生らがけいれんやひきつけなどの体調異常を起こし、700人以上が病院に運ばれたため、放送を見合わせていました。

騒ぎを報じる1997年12月17日付朝日新聞(東京本社版)一面の記事

ポケモンの歴史は、1996年発売のゲームボーイ用ソフト「ポケットモンスター 赤・緑」で幕を開けます。

友達とポケモンを交換できる機能が人気を博し、1997年4月にアニメ放送を開始。

騒動があったのは、放送開始から約8カ月後のことです。 

 

厚生省(当時)の研究班は1998年4月3日、中間報告書を公表しました。 

当時の朝日新聞の記事によると、ほとんどの人が具合が悪くなったとみられるのは午後6時50分前後の場面。

報告書は、この場面に組み込まれた赤色と青色の周期的な光の刺激が体調異常の原因と判断しました。 

また、暗い部屋や1メートル以内の近い距離で見ていた人に、体調不良者が多かったことも分かりました。 

人気アニメ「ポケットモンスター」を見た子どもが相次いで病院に運ばれたことで会見するテレビ東京の広報部長=1997年12月17日、東京都港区のテレビ東京本社、朝日新聞社

影響は他局にも及びました。

NHKは騒ぎの直後、アニメを中心に放送予定の数百本を調べ、一部で明るさを落とすなどの修正をしました。

NHKと日本民間放送連盟は、光の点滅回数や、しま模様など規則的なパターン模様の使用を制限する指針を公表しました。 

 

ポケモンの放送については、打ち切りを求める声も一部にありましたが、視聴者である子どもやその親を中心に「ポケモンは悪くない」と反対する声が相次ぎました。

ポケモンの放送継続を願う子供たちからの投書=1997年12月23日、東京都港区のテレビ東京本社、朝日新聞社

ポケモンは放送再開後も進化を続け、映画やリアルイベントにも進出。

2016年に公開された、位置情報を利用したスマホゲーム「Pokémon Go」は社会現象になりました。 

 

2020年6月には、任天堂が出資する企画会社「ポケモン」が、中国IT大手のテンセントと新作ゲームを開発していると発表。

これまで中国本土ではポケモンのゲームは正規ルートで流通していないといい、今後の展開に注目です。 

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年4月16日に公開した記事を転載しました)