31年前の1991年12月20日、アメリカのおもちゃチェーン店「トイザらス」の日本第1号店「トイザらス荒川沖店」が茨城県阿見町に開店しました。

アメリカ最大のおもちゃ販売会社トイザらス(本社・ニュージャージー州)の日本法人「日本トイザラス」(本社・川崎市)の国内1号店が茨城県稲敷郡阿見町にオープン。開店を待つ大勢の人たち=、1991年12月20日、朝日新聞社

日本トイザらスは1989年11月に、アメリカのトイザらス社と日本マクドナルド社の合弁会社として設立されています。

2021年現在、日本でもおもちゃ屋としての知名度が高いトイザらスですが、日本進出前は反対の声も上がっていたようです。

 

1990年3月31日付の朝日新聞によると、大型小売店舗の活動を調整する「大規模小売店舗法(大店法)」という法律が改正されようとしていたことが理由といわれています。

1990年5月19日付の朝日新聞では、日本第1号店は本来なら新潟市に開店する予定だったことが伝えられていますが、のちに断念。

地元の商店街関係者からは「せめて売り場面積を減らしてほしい」などの声が上がっていたそうです。

1991年10月9日付の朝日新聞夕刊(東京本社発行)

トイザらスは当時、日本市場で「黒船」のような扱いを受けていた一方で、アメリカの大手企業であるトイザらスの参入は、当時のおもちゃメーカーにとっても大きな変革として期待されていました。

その後1994年2月になると、トイザらスの日本進出をきっかけにアメリカの大手おもちゃメーカーが多数日本に進出したことが報じられています。 

米国の量販店トイザらスが日本に上陸したのが1991年。それを皮切りに米国の大手メーカーが次々に日本に進出、売りまくっている。

バービー人形やディズニーのキャラクター商品が売り物の米国最大のメーカー、マテルは1991年に日本法人を設けた。マーケティングディレクターの本城清幸さんは「問屋や小売店の壁が厚く、なかなか商売できなかった。今は安くてもうかる商品ならおいてくれる」と話す。 

1994年2月12日付朝日新聞夕刊(東京本社発行)

また、当時の朝日新聞記事では1993年のおもちゃ輸入額が1988年と比較するとほぼ2倍に増加したことを紹介しています。

東京都豊島区のトイザらス・ベビーザらス池袋サンシャインシティ店=2020年12月16日、朝日新聞社

好調だったトイザらスですが、アメリカのトイザらスが2017年9月18日、経営破綻に追い込まれました。朝日新聞は「通販に押され、破綻 米トイザラス 日本は対象外」の見出しで報じ、

ウォルマートやターゲットといった大型量販店に加え、アマゾンなどのネット通販に客を奪われた。米小売業界を揺さぶる「アマゾン・ショック」が、玩具販売にも及んだ。

2017年9月20日付の朝日新聞朝刊(東京本社発行)

と経営破綻の理由を紹介しています。

2018年3月16日付の朝日新聞朝刊(東京本社発行)

アジアからの撤退も懸念される中、2018年11月17日付の朝日新聞朝刊(東京本社版)は同社が国内事業を継続することを伝えました。

 

最近では、「鬼滅の刃」ブームが巻き起こったことでコロナ禍にもかかわらず関連商品の売れ行きは好調だったと、2020年12月24日付けの朝日新聞夕刊(東京本社版)が報じています。

ほぼ売り切れた「鬼滅の刃」の関連商品。残っているのは缶コーヒーや防犯ベルなどだけ=2020年12月16日、トイザらス・ベビーザらス池袋サンシャインシティ店、朝日新聞社

トイザらスの日本進出から31年。今年のクリスマスも子どもたちにおもちゃを届ける場としてにぎわいそうです。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年12月20日に公開した記事を転載しました)