リソース管理とは 実行のメリット・手順・おすすめITツールを紹介
リソース管理は、限りあるリソース(ヒト・モノ・カネ・情報・知的財産を含むノウハウ・時間といった経営資源)を適切に管理し、プロジェクトの成功や利益の最大化を目指すものです。数多くのプロジェクトを支援してきた中小企業診断士が、リソース管理の注意点やおすすめのツールをご紹介します。
リソース管理は、限りあるリソース(ヒト・モノ・カネ・情報・知的財産を含むノウハウ・時間といった経営資源)を適切に管理し、プロジェクトの成功や利益の最大化を目指すものです。数多くのプロジェクトを支援してきた中小企業診断士が、リソース管理の注意点やおすすめのツールをご紹介します。
リソース管理とはプロジェクトを成功に導くために必要な各リソースの管理のことです。実際に管理するリソースは、ヒト・モノ・カネ・情報・知的財産を含むノウハウ・時間があげられます。 各リソースの管理方法は、簡単に解説すると次の通りです。
リソース管理は、ヒト・モノ・カネ・情報・知的財産を含むノウハウ・時間といった限りある経営資源を無駄なく利用することで、プロジェクトの成功はもちろん、無駄を削ぎ落して利益の最大化に導くために、なくてはならないものだと言えるでしょう。
リソース管理というと面倒なものというイメージがあるかもしれませんが、リソース管理をすることで多くのメリットがあります。特に、次の3点が代表的なものです。
以下から具体的に説明します。
リソース管理をする上での最大のメリットは、プロジェクト全体が見えることです。プロジェクト全体が見えれば、何にどのくらいのリソースを割けばよいか、計画を立てやすくなります。
リソース管理によりプロジェクトの全体把握ができることで生じるメリットは、全リソースの効率化です。限りあるリソースを適切に配置することで、最短ルートでプロジェクトは成功へと繋がるでしょう。
万一、プロジェクト進行中にタスクが思うように進まないことがあったとしても、リソース管理によってプロジェクト全体が見えていれば、早急に手を打つことができます。
さらに、一部メンバーにタスクが偏るといったトラブルも回避可能です。プロジェクト参加メンバーは余裕を持ってプロジェクトを遂行できるので、メンバー同士の良好な関係も維持できるでしょう。
リソース管理により、リソースの過不足を把握すれば、リソース確保に奔走するといった緊急対応を回避できます。
予定外のことがおきると、トラブルが発生しやすいものです。リソース管理をしていれば資源の供給と配分の最適化をしやすくなるので、何かが不足するなどのトラブルを未然に防ぐことができます。
それでは、リソース管理をしようとする際には、どのような手順を踏めば良いのでしょう?リソース管理の手順は、大きく分けて次の5ステップです。
これら5つのステップを常に繰り返して実施することで、無駄が削ぎ落されたリソース管理ができます。そして、利益は最大化し、プロジェクト成功へと繋がるでしょう。
各手順について、以下で詳しく説明します。
リソースの中には、ヒト・モノ・カネといった目に見えるリソースと、情報・知的財産を含むノウハウ・時間といった目に見えないリソースがあります。
リソース管理をする際は、特に目に見えるリソース、中でも人的リソースを重点的に整理することが大事です。
このステップ①を疎かにすると、ステップ②以降の精度が甘くなりますので、注意しましょう。
現状とゴールが明確になることで、現時点での余裕度はどのくらいなのか、どこにリスクが潜んでいるのかなど見えてくるものが多くあります。
例えば、Aという機能を1か月後にリリースするというゴールがあり、一方で現状で残り2週間ではA機能の実装が難しいということがわかったら、
といったように、必要な道のりが見えてきます。
現状とゴールの間に見えた多種多様なギャップこそ、プロジェクトを実行する上で対応不可欠なものです。
課題や問題を見つけると、対処できるかという点を考えてしまう人が多いことでしょう。しかし、まずは課題や問題を把握して現状分析をしっかりすることが重要です。現状分析が不十分だと、ステップ④に繋がる対応の精度が甘くなります。
課題や問題がなぜ発生したかの分析をすることも重要です。発生した原因がスキル不足にあるのか、過密なスケジュールにあるのかなどを詳細分析することで、同じ現象が再発しないよう具体的な対策を立案・実行できます。
プロセスに問題がある場合は、新しいプロセスを導入する良い機会です。また、ツールを利用することで再発を防止できそうなら、ツール利用も前向きに検討しましょう(下記で、おすすめのツールをご紹介しています)。
さらに、見つけた課題や・問題に適切な対応をするには、各々に重要度と優先順位を分けて付けることが重要です。重要度や優先順位付けを無視したままでは、第二の課題・問題が生じる可能性があります。また、重要度が高い課題・問題だからといって、必ずしも優先度が高いとは言い切れません。
最短ルートで課題や問題へ対応しようとする場合には、綿密な準備が必要なのです。
課題や問題への対応を実施したら終わり……ではありません。改善策が適切に実行できているのか、新たな課題や問題が発生していないか確認することも重要です。
仮に、このチェック機能が漏れてしまうと、新たな課題や問題を見落とすリスクを防ぐことができません。
リソース管理にはエクセルを利用している人が多いかもしれません。
しかし、リソース管理をエクセルですると、ガントチャート(作業開始日や作業完了日の情報を工程ごと・タスクごとに帯状のグラフにしたもの)そのものの更新はもちろん、複数人でのリソース管理データの更新がしづらいというデメリットがあります。
そこで、リソース管理ツールの活用をおすすめします。とくにおすすめしたいツールは次の2つです。
以下から具体的に説明します。
筆者が支援する企業の中でも最も利用されてるリソース管理ツールが、このBacklogです。 実際、2020年5月には利用者数が170万人以上となるなど、IT業界だけではなく製造業や行政でもリソース管理ツールとして使われています。
ツール名 | Backlog(バックログ) |
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提供会社 | 株式会社ヌーラボ |
ツールの特徴 | ・担当者ごとの進捗把握がしやすいので、作業遅延にすぐに気付ける ・メンバーのタスクを親課題・子課題と分けて作業を細分化できるため、課題の漏れを防ぎやすい ・情報共有・ノウハウ共有がしやすい |
ツール利用時の注意点 | ・無料お試しはあるものの、基本的には有料サービスのため費用がかかる ・ 拡張機能(プラグイン)を独自に追加するなどのカスタマイズができない ・極まれにサーバー障害が発生するケースがある。その場合はツールそのものが閲覧できなくなる |
ツール利用をおすすめしたい企業 | ・製品企画や製品開発をしている企業 ・デザイナーが参加するようなプロジェクトを管理したい企業 |
費用(税込み) | ・スタータープラン(個人のリソース管理):2,970円/月 ・スタンダードプラン(少数チームのリソース管理):17,600円/月 ・プレミアムプラン(小~中規模チームのリソース管理):29,700円/月 ・プラチナプラン(中~大規模チームのリソース管理):82,500円/月 |
公式URL | https://backlog.com/ja/ |
Redmineはオープンソース型のリソース管理ソフトウェアです。筆者が支援する企業の中ではBacklogに次いで利用者社数が多くなっています。
ツール名 | Redmine(レッドマイン) |
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提供会社 | Planio GmbH(ドイツ企業) ファーエンドテクノロジー株式会社 |
ツールの特徴 | ・自社でサーバーにインストールすれば完全無料で利用できる ・拡張機能(プラグイン)が充実している ・親課題・子課題だけではなく、子課題の子課題といった課題の細分化に適している |
ツール利用時の注意点 | ・運用の手間がかかりやすい ・課題が細分化しやすい分、関係者以外だと見にくいケースがある |
ツール利用をおすすめしたい企業 | ・システム開発をしている企業 ・Web制作をしている企業 |
費用(税込み) | ・自社でサーバーにインストールした場合は無料 ・自社でRedmineの環境構築が困難、またはインストールして利用できそうなサーバーがないという場合は、「My Redmine」というサービスを利用する必要があるため税込8,800円/月~ |
公式URL | https://redmine.jp/ |
リソース管理は、仕事のしやすさを叶えるだけのものではありません。プロジェクト参加メンバーのやる気につながり、プロジェクト全体の生産性が高まります。無駄は削ぎ落とされ、企業には最大の利益がもたらされるでしょう。
リソース管理をする上で使いやすいツールもあります。リソース管理を通じて満足度の高い毎日になることを願っています。
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