2年前の2020年8月31日、としまえん(東京都練馬区)が閉園しました。

国内の大型レジャー施設の先駆けで、広く親しまれてきましたが、94年の歴史に幕を下ろしました。

閉園セレモニーで、カルーセルエルドラドの前で一礼するスタッフたち=2020年8月31日、東京都練馬区のとしまえん、朝日新聞社

閉園日は終日、キャラクターのステージショーなど閉園イベントが催されました。

翌日付の朝日新聞朝刊(東京本社版)によると、新型コロナウイルスの影響で入場者は2019年ピーク時の半分に抑えられました。

それでも、正門前では事前予約がないため園内に入れない人たちが、写真を撮ったり記念グッズを買うため列を作ったりしました。

「さみしい」「せめて乗り物を残してほしい」と閉園を惜しむ人が集ったといいます。

 

としまえんが開園したのは、関東大震災の3年後の1926年。

としまえんの歴史をたどった2020年8月31日付朝日新聞朝刊(東京本社版)によると、当初は都市生活者の体力向上のために設けられたもので、テニスコートや野球場が中心の施設でした。

1965年6月に誕生した世界初の流れるプールは、「誰でも早く泳げるようにと、『社員が秋川渓谷(編集部注:東京都あきる野市)に行って、最適な流れを調査した』」そうです。

としまえんの歴史をたどった2020年8月31日付朝日新聞朝刊(東京本社版)の記事

1980年代には新しい遊具や乗り物が次々とオープン。

しかし、バブル経済の崩壊と若者をターゲットにした絶叫マシンブームで客足が遠のいていきました。

入園者は1992年の約400万人をピークに減少し、2007年には約87万人に。

「家族連れのための遊園地」に戻そうと、幼い子向けの遊具などを整備して年100万人まで回復していました。

 

一方で、1950年代から都の公園にする計画があり、2011年の東日本大震災後に再確認。

防災機能を持つ「練馬城址公園」として都が再開発すると発表されました。

その一角には、映画ハリー・ポッターの世界観を反映したテーマパーク「スタジオツアー東京」が2023年前半にオープンする予定です。

としまえんで愛された乗り物や遊具たちが、「第二の人生」を歩んでいることを報じる2021年5月10日朝日新聞夕刊(東京本社版)の記事

2021年5月10日朝日新聞夕刊(東京本社版)は、としまえんで愛された乗り物や遊具たちが、今春から各地の遊園地で「第二の人生」を歩んでいることを報じています。

 

2021年3月に、イエローの車体のジェットコースター「コークスクリュー」が仙台市の八木山ベニーランドへ移されました。

としまえんで閉園まで4年間使われていた「トリックメイズ」は2分割し、片方が山形県上山市の「リナワールド」、もう片方は栃木県の那須高原りんどう湖ファミリー牧場へ。

ファンたちの思いを受け継いでいます。

 

としまえんの運営会社の親会社・西武鉄道によると、横浜・八景島シーパラダイスにも3つのアトラクションを譲渡。

記事の中では、としまえんの「顔」だった世界最古級の回転木馬「カルーセルエルドラド」や1番人気のジェットコースター「サイクロン」なども再就職先を探している、としています。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年8月31日に公開した記事を一部修正して転載しました)