来年こそ時間をうまく使いたい? カギは「やらなくていいこと」を決めること
「在宅勤務だと怠けてしまう」「新しく配属されたチームで、同僚とうまくやるにはどうすればいいの」「やるべきことを先延ばしする癖を直したい」――。そんな悩みを抱える若手ビジネスパーソンに向けて、行動習慣コンサルタントの冨山真由さんが、仕事と人間関係に役立つ習慣づくりのコツをお伝えします。
「在宅勤務だと怠けてしまう」「新しく配属されたチームで、同僚とうまくやるにはどうすればいいの」「やるべきことを先延ばしする癖を直したい」――。そんな悩みを抱える若手ビジネスパーソンに向けて、行動習慣コンサルタントの冨山真由さんが、仕事と人間関係に役立つ習慣づくりのコツをお伝えします。
こんにちは。
行動習慣コンサルタントの冨山です。
気がつけば今年もあとわずか。
昨年からのコロナ禍で、趣味や勉強、副業など、今の仕事以外の「やりたいこと」をなかなかできなかったという人も多いのでは?
でも、経済活動が再開した時、時間の使い方がうまくなければ、やはり仕事に追われるばかりです。
やりたいことをやるためにも、セルフマネジメントの技術が必要になります。
時間を有効に使って、やりたいことや、やらねばならない仕事をテキパキこなす人がいる一方、そうでない人もいます。
両者の違いはどこにあるのでしょう?
それは「やらなくていいこと」をやっているかどうか、です。
私が紹介する行動科学セルフマネジメントでは、優先順位の対義語である「劣後順位」、つまり「やらなくていいことを決める」技術をとても大切にしています。
例えば仕事が忙しくて、あれもこれもやらなきゃ、優先順位は……なんて状況に陥ったとき。
生真面目な人は「どれも重要」という前提で考えてしまいます。
そんな人がそれぞれの仕事に優先順位をつけても、結局全部やらなきゃいけない、トータルの仕事時間は同じ、となってしまいます。
そこで視点を変え、「やらなくていいこと」を洗い出し、順位をつけるのです。
どの仕事が不要か、今やらなくていいことは何か、を決めるわけですね。
「劣後順位づけ」はとても簡単な作業です。
まず、今日やるべき仕事を7~8個、紙に書き出します。
その中から「明日以降に回してもいいこと」「人に任せられること」を3つ以上ピックアップするのです。
このとき「今日の仕事は何とか今日中に終わらせる」「人を巻き込むなんて申し訳ない」などと考えないで下さい。
自分の持っている時間の中に“余白”をつくり、その余白を本当に大切なことで埋めていくこと。
それが劣後順位を使ったタイムマネジメントなのです。
そして、余白を埋める際には、自分がやりたいことを優先させましょう。
時には仕事以外のプライベートな予定も入るでしょう。
それでOKです。
自分でつくり出した時間は、自分のやりたいことに使うべきです。
とはいえ、「余白時間を使って○○をやるぞ!」と心に決めているだけでは、仕事からの切り替えが難しいという意見もあるかもしれません。
そこで、小さな行動を。
プライベートの予定を真っ先に余白に入れて、予定をブロックしてしまうのです。
2週間に1度の習い事、15分の読書時間など、ほんの小さなことで構いません。
「自分のやりたいことで余白を埋める」を習慣にしましょう。
行動科学では「行動を変えることでしか、考えは変わらない」という考え方をします。
予定を書き込む、というほんの小さな行動も、決してバカにはできませんよ。
「劣後順位づけ」をして、やらなくていいことを決めたけど、なお仕事に追われてやりたいことができない、という人もいます。
そんな人の多くは、仕事のハードルを自ら高く設定している傾向があります。
簡単に言えば、目指す仕事の量や質に無理がある、ということです。
そんなときは、やるべきことを「確実に今日できるレベル」まで細分化しましょう。
例えば、1日で一気に仕上げるのは難しいけど、今週中に完成させたい資料があるとします。
そこで「今日は資料の素材集め」「明日は構成を考える」「明後日は資料作成に取りかかる」というふうに、完成までのプロセスを「確実に今日できるレベル」まで細かく分けるのです。
リモートワークが盛んな最近では、1人だとなかなか仕事に取りかかれない、ついサボってしまいがち、という声もよく聞きます。
これも、仕事のハードルを高く設定していることが原因かもしれません。
やらねばならない作業に時間や労力がかかることが想像できると、自然と着手を回避してしまう、つまりサボってしまう――。
これも人間の行動原理なのです。
1つひとつの行動のハードルを下げ、今日できる行動ばかりにして「これなら簡単にできるだろう」と思えるようにする。
それだけでサボり癖が解消され、自分の大切な時間を生み出すことができるはずです。
さあ、あなたは今年、やりたいことをどれだけできたでしょうか。
あれもやらなきゃ、これもやらなきゃで、自分の時間はなかった?
いつもサボってばかりで、なかなか仕事が終わらなかった?
行動科学セルフマネジメントでは、自分の行動を振り返ること(リフレクションと呼びます)をとても重視しています。
振り返る際には、行動の「質」について考えましょう。
つまり「成果につながる行動ができていたか」ということです。
例えば「仕事を早く終えることができたか?」「やりたいことをやる時間を日々つくれたか?」といったことです。
もしうまくいかなかったなら、毎日の行動(=スケジュール)の見直しを図る必要があります。
今回お話しした劣後順位づけや行動の細分化で、仕事の効率をアップさせていきましょう。
ビジネスではよくPDCAという言葉が使われます。
PLAN(計画)をして、DO(実行)、そしてCHECK(評価)してACTION(改善)するという、企業の生産性や品質を向上させるためのサイクルです。
行動の振り返りを習慣化することは、あなた自身の生活についてPDCAサイクルを回すということです。
今年のあなたの“やることリスト”は達成されましたか?
1日の生活、1週間の生活、1カ月の生活、そして1年の行動を振り返り、「どうすればもっとやりたいことができたか?」を考える習慣を身につけましょう。
「またやりたいことが何もできなかった」なんて過ちを繰り返さないように!
(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年11月26日に公開した記事を転載しました)
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