大企業で感じた「つまらなさ」。エンジニア×YouTuberが教える仕事を楽しくする方法
平日は大手企業のIT部門でAIエンジニアとして働きながら、“TOMOKIN”として19.7万人のチャンネル登録者を持つYouTuberとしても活躍する友金良太さん(32)。新卒で入った企業で10年目を迎えた友金さんに、大きな組織で働きながら“モヤモヤ”を感じる同世代に向けて、自分らしく働くヒントを聞きました。
平日は大手企業のIT部門でAIエンジニアとして働きながら、“TOMOKIN”として19.7万人のチャンネル登録者を持つYouTuberとしても活躍する友金良太さん(32)。新卒で入った企業で10年目を迎えた友金さんに、大きな組織で働きながら“モヤモヤ”を感じる同世代に向けて、自分らしく働くヒントを聞きました。
目次
「現役エンジニアがフィッシング詐欺に遭うとこうなります」
「架空請求業者に英語とビートボックスで対応したら大草原不可避www」
「日本人が知らずに教わっている実は間違った英語」
友金さんが「TOMOKIN」としてYouTubeに開設しているチャンネルでは、得意のヒューマンビートボックスや英語、エンジニアの知識を盛り込んだ動画が並んでいる。チャンネル登録者数は19.7万人(16日現在)で、「YouTubeだけでも生活はできるくらいの収益はあります」という。
関西学院大学法学部を卒業後、2012年に大手企業に就職。IT部門に配属となり、エンジニアとして働き始めた。入社3年目ごろからYouTubeでの配信をはじめ、以来、エンジニアとYouTuberのパラレルワーカーとして働いている。
会社を辞めず、両立させることで、結果としてどちらの仕事にもメリットがあったという、友金さん流の働き方とは?
――友金さんは大手企業にお勤めなんですね
はい。平日はAIエンジニアとして普通に働いています。早朝や夜、週末などにYouTubeの動画の撮影をしています。
――YouTubeをはじめたきっかけは?
入社3年目くらいのときにはじめました。チャンネル自体は大学生だった2010年から開設していて、学生時代に学園祭でパフォーマンスをしているときの動画を「TOMOKIN」という名前で公開していたんです。
名前が「友金」(ともがね)なので、ずっと「ともきん」というあだ名で呼ばれていたので、そのままの名前をつけただけだったのですが、YouTuberの「HIKAKIN」さんがすごく有名になり、「何パクってんだ」というコメントが殺到したんです。
コメント欄がすごいことになっていることに気付いて、そこから興味を持つようになって、「YouTuberってちょっとやってみたら意外と登録者が伸びるんじゃないか」と思ってはじめたという流れです。
――当時、仕事につまらなさを感じていたと
はい。新卒でSEになったんですけど、最初はプログラミングをごりごり書くというような仕事ではなくて、システムの運用管理やバグが出たときの対応など、ルーティーン的な作業が多くて、つまらなさ、物足りなさを感じていました。
――現在は19.7万人のチャンネル登録者がいます。専業YouTuberになろうとは思わないのでしょうか?
YouTubeだけで生計を立てることはできますが、あまりお金のことを考えてやってはいないです。
仮に今の会社を辞めたとしても、専業YouTuberになるという選択肢はないですね。YouTuberって誰でもなれるものなので、「何かほかの人がやっていないことをやりたい」という思いがあります。
パラレルワーカーですが、自分はエンジニアの方が主だと思っています。YouTuberは、エンジニアとしての一要素のように捉えています。
――YouTubeでの配信をはじめたことで、エンジニアの仕事に生かせたことは?
例えば、IT関連の講演など人前でお話することがあるのですが、YouTubeでの動画配信で、自分なりにわかりやすい伝え方やしゃべり方をリサーチして積み重ねてやってきたので、そこは生かせているかなと思います。
また、YouTubeで配信している動画で、サイトの作りについて解説したり、ITの知識を教えたりしているので、エンジニアの知識は生かせています。AIを使ってどんな動画の再生回数が伸びそうか予測して仮説を立てて配信したり、トレンドのリサーチツールを使ってキーワードを分析してから配信する動画のテーマを決めたりしています。もともと、パソコンに疎かったのですが、動画編集のスキルが身についたこともYouTuberをやっていたよかったことですね。
――大きな組織にいるからできることとできないことがあると思いますが、大きな組織に勤めて「モヤモヤ」を感じている同世代へのメッセージを
大きな組織に勤めている人は、ある程度自分が好きじゃない仕事をやらないといけないということも多いかと思うのですが、今って副業も推進されていると思うんです。なにか自分が好きなものを見つけて、副業からまずはやってみる。どんな小さなことでもいいと思うんですけど、それを進めていったら、本当に自分がやりたいことが見つかると思うんです。
その進めていった先には、私が経験した「YouTubeをやっていて、エンジニアにも生かせた」というようなことに絶対につながると思います。
どんなにつまらない仕事でも、副業で何か小さなことをやってみて、それが本業に結びつくということがあると思うんです。そのときに、つまらなかった仕事が楽しくなる瞬間が来ると思います。
――友金さんのように、自分の好きなものに出会える秘訣はありますか?
やっぱり、小さいことからやっていくことだと思います。
例えば、YouTubeってスマホ1台で誰でもできますよね。何らかのブログ発信だったり、Twitter発信だったり、Instagram、noteもあります。いまは無料で参入できるものがたくさんあります。そういうものから始めていくのが一番大事なのかなというふうに思います。
エンジニアの目線で言うと、例えば大手企業って資本があるので、高額な費用がかかるツールも業務で使えます。
あとは教育面ですね。研修もありますし、すごく自分の技術が磨けたと思います。大きな組織で働いてスキルを身につけながら、自分の好きなものを見つけて、パラレルワーカーとしてやってみるというのを私はおすすめしますね。
――将来の目標は?
これからもYouTubeでの発信は続けていこうと思っていますが、どちらかというと、エンジニアとしてもっと大きくなりたいです。
AIエンジニアとして、新しいプロダクトを世の中に出していきたいという思いがまず先行していますが、そこでYouTubeをうまく利用できたらいいなと思っています。
YouTuberになってからは、本業のエンジニアもいまは楽しくやっています!
(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年4月19日に公開した記事を転載しました)
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