中小企業の35%が「過剰債務」 経営見直しに役立つ4つの支援策
新型コロナの影響で企業の借り入れが増えるなか、中小企業の35%が過剰債務だと回答していることが東京商工リサーチの調査でわかりました。「事業再構築補助金などポストコロナに向けた取り組みの前に抜本的な事業再生が必要な企業は多い」と指摘します。そこで、事業再生に役立つ4つの支援策を紹介します。
新型コロナの影響で企業の借り入れが増えるなか、中小企業の35%が過剰債務だと回答していることが東京商工リサーチの調査でわかりました。「事業再構築補助金などポストコロナに向けた取り組みの前に抜本的な事業再生が必要な企業は多い」と指摘します。そこで、事業再生に役立つ4つの支援策を紹介します。
目次
コロナ禍での政府、金融機関の資金繰り支援により、2020年度の企業倒産は大幅に下回りました。その一方で「実質無利子・無担保融資」など貸付型の支援や「新型コロナ特例リスケジュール」などのリスケ型支援が過剰債務を招いたとも言われており、東京商工リサーチが現状を調べるためにアンケートを実施しました。
東京商工リサーチは2021年4月1~12日、インターネットによるアンケート調査を実施し、大企業1146社、中小企業7327社の回答を分析しました。
負債比率や有利子負債構成比率など財務数値に限定せず、債務の過剰感を聞いたところ、中小企業で「コロナ前から過剰感」と回答したのは13.2%(971社)、「コロナ後に過剰感」と回答したのは21.8%(1,597社)で合計35%が「過剰債務」と回答しました。それぞれ大企業の割合を大幅に上回りました。
企業規模に限らず、過剰感があると回答した企業の割合が高かった業種は次の通りです。この記事では、事業再生に役立つ政府の支援策について続けて紹介します。
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政府では資金繰りの不安を解消しつつ、その先の事業再生に役立つ支援メニューを増やしています。4つの支援策を紹介します。
新型コロナ特例リスケジュール支援(特例リスケ)とは、新型コロナの影響で 資金繰りに困っている中小企業などに対し、最長1年間の金融機関へのリスケ要請の上で新規融資を含めた金融機関調整、資金繰り計画策定支援をするものです。資金繰りだけでなく、希望者にはコロナ終息後の事業再生まで支援を受けられるようになりました。
伴走支援型特別保証制度とは、コロナ禍を乗り越えるための「経営行動計画書」を作ったうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証率を0.2%まで引き下げる制度のことです。信用保証限度額は、4000万円(部分保証の場合の借入限度額は5000万円)です。
経営改善サポート保証とは、経営サポート会議や中小企業再生支援協議会の支援を受けてつくった経営改善・再生計画にもとづいて、中小企業が事業再生に必要な資金を信用保証協会の保証付き融資として受けられる制度です。
こちらも保証料率が0.2%まで引き下げられますが、保証限度額が2.8億円と規模が大きい支援です。
資金繰りとは別に、資金繰りの管理や自社の経営状況の把握のための支援を受けたい経営者には「早期経営行動計画策定支援」があります。①ビジネスモデル俯瞰図、②資金実績・計画表、③アクションプラン、④数値計画(損益計画)を税理士などの専門家の支援を受けてつくるとき、20万円を上限に費用の3分の2を国が補助する制度です。
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