コピー代の勘定科目は?仕訳例や注意点、ほかの印刷代についても解説
コピー代にかかる費用を計上する際に用いる一般的な勘定科目は、消耗品費か雑費です。しかし、会社によって、それ以外の勘定科目が選ばれるときもあります。この記事では、コピー代の勘定科目とその仕訳例を状況別に紹介し、その勘定科目がどのような場合によく用いられるのかも解説します。
コピー代にかかる費用を計上する際に用いる一般的な勘定科目は、消耗品費か雑費です。しかし、会社によって、それ以外の勘定科目が選ばれるときもあります。この記事では、コピー代の勘定科目とその仕訳例を状況別に紹介し、その勘定科目がどのような場合によく用いられるのかも解説します。
目次
コピー代を支払った場合、勘定科目を用いて仕訳を切ることになります。勘定科目の使用の区分けというのは各事業体により異なり、厳密にどの勘定科目を用いるべきという絶対的な決まりがあるわけではありませんが、一般的に用いられる勘定科目もあります。
一方で、ひと言にコピーといっても、その内容はさまざまです。まずは、よくあるコピーのシーンと、そこで発生する主なコスト、それに対して用いる一般的な勘定科目を、簡単にご紹介します。
コピーのシーン | そのシーンにおいて生じる主なコスト | そのコストに用いる勘定科目 |
---|---|---|
コンビニエンスストアでコピーするとき | コピー代 | 消耗品費・雑費が一般的。ただし状況によって広告宣伝費、仕入(売上原価)も使用可能 |
会社の印刷機でコピーするとき | コピー用紙の購入費用 | 消耗品費・雑費が一般的。ただし状況によって事務用品費、仕入(売上原価)も使用可能 |
コピー作業を外注するとき | 業者への支払い | 外注費。ただし状況によって他の勘定科目も使用可能 |
以下、仕訳例とあわせて詳しく解説します。
書類のコピーを行うためにコンビニエンスストアに行き、その場で数百円の支払いを行った場合、一般的に用いられる勘定科目は、消耗品費か雑費です。
消耗品費とは日々の仕事で用いる備品等の中で、金額が比較的小さく、短期で費消してしまう性質のコストの計上に用いられる勘定科目を指します。書類のコピーにおいては、金額が小さい(おおむね1枚10円)、そして一瞬で費消する性質であることからも、消耗品勘定を用いることも適切といえます。
(仕訳例)会議に用いる報告書を、3部コピーして、現金で30円支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 30 | 現金 | 30 |
雑費とは、他の勘定科目には当てはまらない内容のコストで、金額も小さく重要性が小さいコストを計上する際に用いられる勘定科目です。
書類のコピーについても、その事業体においてコピー代の計上に関して他の勘定科目を使用していない状況である場合、そのコストは金額も小さく重要性が小さい場合がほとんどであることから、雑費勘定を用いることは適切といえます。
(仕訳例)申請書のストックがなくなったので、コンビニで20枚コピーして、現金で200円支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 200 | 現金 | 200 |
消耗品費や雑費ほどではないですが、それ以外にも広告宣伝費・仕入(売上原価)といった勘定科目が用いられるケースもあります(なお、いずれの場合も、消耗品費、雑費として計上することも誤りではありません)。
広告宣伝費とは事業体の商品やサービスを周知し、浸透させるときにかけられたコストを計上するための勘定科目を指します。
上記の定義から考えれば、そのコピー代が、事業体の商品やサービスを周知するためのチラシやパンフレットの作成のために用いられるものであれば、広告宣伝費として計上することも適切といえます。
(仕訳例)宣伝用のチラシを50部カラーコピーして、現金で2,500円支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
広告宣伝費 | 2,500 | 現金 | 2,500 |
仕入(売上原価)とは、事業の中心となる商品やサービスを顧客に提供するために仕込む、財・サービスの取得にかかるコストを計上する際に使用する勘定科目です。
例えば、今までのコピーの例で考えれば、仮にそのコピーをした書類が含まれる文書が顧客に販売される、というような流れで作業が進むのであれば、そのコピー代は、商品を仕込むために必要なコストだったといえるので、仕入(売上原価)として計上することも適切といえます。
(仕訳例)顧客に販売するための資料を、30部カラーコピーして、現金で1,500円払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入(売上原価) | 1,500 | 現金 | 1,500 |
会社の印刷機でコピーを取る場合にかかるコストとしては、主にコピー用紙の購入費用があげられます。
コンビニでコピーを取る場合と同様に、消耗品費または雑費という勘定科目を使用するのが一般的です。ただし、状況によっては事務用品費、仕入(売上原価)という勘定を使用することもできます。また、貯蔵品や消耗品のような資産勘定を用いることも可能です。
以下では、事務用品費と貯蔵品について、仕訳例とあわせてご紹介します。
事務用品費とは、業務をこなすための必要なコストを計上するための勘定科目を指します。ボールペンや付箋といった文房具以外に、日用品や工具などもあてはまります。コピー用紙は業務に必要なものと考えられるので、仕入(売上原価)として計上することも適切といえます。
(仕訳例)コピー用紙をネットで発注し、会社のクレジットカードで3,000円支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
事務用品費 | 3,000 | 未払金 | 3,000 |
代金をその場で払うのであれば、普通預金や現金を使用しますが、クレジットカードなどを使ってお金を支払う前に購入(一般的には物を受け取った時)した場合は、未払金を使用します。上記の場合、その後、クレジットカードの使用分が会社の普通預金口座から引かれたら次のように仕訳を切ります。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
未払金 | 3,000 | 普通預金 | 3,000 |
反対に、物が届く前に普通預金口座から代金を振り込むなど、購入前にお金を支払った場合は、前払金を使用します。
(仕訳例)コピー用紙をネットで発注し、現物が届く前に、会社の普通預金口座から3,000円を振り込んだ。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
前払金 | 3,000 | 普通預金 | 3,000 |
その後、注文したコピー用紙が届いたら次のように仕訳を切ります。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
事務用品費 | 3,000 | 前払金 | 3,000 |
貯蔵品とは、事業体の商品やサービスにかかわる材料以外の未使用品を指します。計上対象がコピー用紙という物理的な資材が存在しており、コンビニエンスストアでのコピーのときのように資材が存在しない(すぐに費消される)ケースとは異なるため、使用することが可能です。
(仕訳例)コピー用紙をストックとして購入し、現金で3,000円支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貯蔵品 | 3,000 | 現金 | 3,000 |
なお、ストックした当該のコピー用紙を、その後実際に使うようになった場合は、次のように仕訳を切ります。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 3,000 | 貯蔵品 | 3,000 |
コピーの作業自体を外部に委託する場合、外注費という勘定科目が使えます。
外注費とは外部の事業体に業務の一部を委託する場合にかかるコストを計上する際に使用する勘定科目です。
(仕訳例)業者にコピー作業を依頼し、代金の50,000円を会社のクレジットカードで支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
外注費 | 50,000 | 未払金 | 50,000 |
※その後、クレジットカードの使用分が会社の普通預金口座から引かれたら、(借方)未払金50,000円・(貸方)普通預金50,000円で仕訳を切る
ただし、状況次第では、今まで列挙した他の費用系の勘定科目を使用することもできます。
業務では、コピー以外にも印刷にかかわる作業が多くあるでしょう。そこで発生したコストについても、基本的には上記の勘定科目のいずれかを、状況にあわせて用いるのが一般的です。
【例】
・宣伝用のパンフレット・チラシを業者に印刷してもらうためにかかったコスト→広告宣伝費や外注費など
・制作した資料を自社にある印刷機でプリントアウトするために買った用紙の代金→消耗品費や事務用品費など
それ以外に、通信費という勘定科目が用いられる場合もあります。通信費とは事業体が経営のために使用する、電話、インターネット、郵便代を計上する勘定科目です。例えば、ハガキを印刷した場合、郵便に関係するコストであることから通信費として計上することは適切といえます。
(仕訳例)業者にハガキ印刷を依頼し、代金の2,000円をクレジットカードで支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
通信費 | 2,000 | 未払金 | 2,000 |
※その後、クレジットカードの使用分が会社の普通預金口座から引かれたら、(借方)未払金2,000円・(貸方)普通預金2,000円で仕訳を切る
コピー代の計上に関して複数のケースを想定し、どのような勘定科目を使用すべきなのか、どのように仕訳を切ればいいのかを説明してきました。
各々の典型的なケースで、どの勘定を用いるべきかの慣習等は存在しますが、規定が存在するわけではありません。各事業体で、それぞれの具体的なコストをどの勘定科目を用いて計上するのかを決めていく必要があります。
大事なのは、あるコストの計上について一度勘定科目を決定したら、一貫性をもって長期間にわたってその方法で計上していくことです。
それを確保することで決算書の過去または予算等との比較可能性が確保され、利害関係者や従業員がより明瞭に会社の財務体質等を理解できるようになります。
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