目次

  1. 漆塗りからはじめた黒板づくり
  2. 「選択肢がなかった」家業に不安
  3. 「このままでは無理」と電子黒板に参入
  4. 売ったものが使われていなかった
  5. 普通の黒板を「補完する」アイデア
  6. 「コクリ」のヒットを転機に事業拡大
  7. 100周年を機に事業を承継
  8. チョークがなくなる世界を考える

 サカワが創業したのは1919年。坂和さんの曽祖父が福岡で漆塗りの技術を覚え、松山で黒板を作りはじめたのがきっかけでした。当時はベニヤ板に手作業で漆を塗って黒板を作っていたそうです。下地次第で、チョークの滑りを防ぎ、書き消しがスムーズにいくかどうかが決まりました。

昔のサカワの社屋(同社提供)

 耐久性をあげるため、現在は表面材にホーローを使用しています。機械を併用しているものの、今でも職人の手で行う作業も多いのだそうです。

 国内での黒板生産量は、教育改革で学校建築が盛んになった1950年代から1980年代初頭ぐらいまでがピークとされ、少子化で廃校が増えている昨今は減少傾向にあります。黒板の単価も昔は高かったものの、需要の減少で価格競争が進みました。黒板事業のみで利益を増やすのはなかなか難しい状況といいます。

 4代目にあたる坂和寿忠さんは、幼い頃から家業を継ぐように教育されてきたそうです。「僕は前社長の祖母寿々子から「寿」を、初代で曽祖父の富忠から「忠」の字をとって寿忠(としただ)と名前をもらったくらいなので、生まれた時から黒板屋になることを意識してきました」

 家業を継ぐ以外の選択肢は与えられていないような状況でした。小学校一年生の頃から、授業で将来の夢について「黒板屋」と書いていたそうです。

 高校生になり進学を考える時には、家業を継いでどんな未来が待っているのか漠然とした不安を感じるように。当時興味があった考古学の方に進みたいことを家族に話しましたが、本気でとりあってはもらえませんでした。反発心から部屋の壁がボコボコになっていたと言います。

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