目次

  1. 紀の国屋とは
  2. 元専務の視点 メインバンクとの調整難航
    1. 「工場建設時の金利負担重かった」
    2. 金利引き下げ打診「うやむやに」
    3. 再生計画案も合意得られず
    4. コロナ禍で経営悪化が加速
  3. 専門家はどう見るか
    1. 経営コンサルタント・川北英貴さんの視点
    2. 公認会計士・税理士の石動龍さんの見解
  4. 多摩信用金庫「個別の取引状況、お答えしない」

 紀の国屋は、1948年(昭和23年)創業。「相国最中」「おこじゅ」などの和菓子が有名です。東京都武蔵村山市にある本店のほか、多摩地区や神奈川県の百貨店や駅ビルへのテナントなど23店舗を展開してきました。

相国最中。紀の国屋の和菓子の特徴は中身のあん。糖度が低く小豆の味が濃いといい、練り方にも長年の工夫がこめられていた(同社提供)

 しかし、2022年5月16日に東京地裁へ自己破産を申請しました。帝国データバンクは「顧客層が高齢化し売上高は漸減し、2021年5月期の年売上高は約12億円にまで低迷。昨今は砂糖などの原材料高が収益を圧迫し、コロナ禍で手土産需要も減少していた」と分析しています。

 コロナ禍の前となる第67期(2018年6月1日~2019年5月末)決算は次のような状況でした(▲はマイナス、有効数字2桁以降切り捨て)。主産地・北海道の不作で和菓子の原料となる小豆が高騰した影響が直撃していたといいます。

科目 金額()内は前期比
売上高 13億円(▲3100万円)
売上総利益 6.1億円(▲3800万円)
営業利益 ▲3300万円(▲5300万円)
経常利益 ▲6500万円(▲5000万円)
当期純利益 ▲6400万円(▲4800万円)

 紀の国屋によると、売り上げの主軸を10、20年来の定番商品に頼っており、新しいヒット商品を生み出せていなかったことも長期的な売上高を伸ばせない要因になっていたといいます。

 こうしたなか、紀の国屋は2022年5月、自己破産を申請することとなりました。ファンや取引先からは「なぜ事前に伝えられなかったのか」と驚きと困惑の声があがりました。

 こうした声に対し、紀の国屋の元専務がツギノジダイ編集部の取材に応じました。「これまで商品を購入頂いてきた方、取引先には事前にお知らせもできず、ご迷惑をかけて申し訳ありません」としたうえで、なぜ自己破産に至ったのかについて語りました。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。