目次

  1. デザインフェスタとは
  2. デザインフェスタへの出展目的
  3. デザインフェスタの来場者の特徴
  4. 来場者へのアプローチ
  5. デザインフェスタで得た経験

 デザインフェスタ(デザフェス)とは、アート作品や日常を彩る雑貨、アーティストとの交流、ライブパフォーマンスが楽しめるアートイベントです。プロ・アマチュア問わず、「自由に表現できる場」を提供するアートイベントとして1994年から始まりました。

 2022年5月に東京ビッグサイトで開催された「デザインフェスタvol.56」に「町工場プロダクツ」として共同出展した会社の一つ、「三共」の林万作専務に出展で得た経験を共有してもらいました。

-出展目的を教えてください。

 5月の風物詩であるこいのぼりは、生活環境の変化に伴い庭用からベランダ用から室内用へと小型化が進んでいます。「koburi」とは、子どもの成長に伴って、収納されたままになっている庭用こいのぼりポールを再加工して作った室内用の小さなこいのぼりです。

 デザインフェスタは「koburi」の初めての対面型一般販売でした。「ギフト」としての商材を想定しているので、誰がどんな人に、どんな思いを込めて贈るのかをヒアリングし、思いに寄り添う商品を開発するために出展しました。

 デザフェス限定で、ジェンダーレスをテーマにした、混ざり合うようなグラデーション粉体塗装の作品と、子どもの成長とともにエイジングを楽しむ真鍮製の2種類の新商品を販売しました。

デザインフェスタ初日のkoburiの展示方法

-どんな人が来場していましたか?

 デザインフェスタの来場者は、10代~30代の女性が多く、お目当てのブースをいくつか回りながら、雑多な市を巡る楽しさを満喫し、目に止まれば積極的に購入する、購買に意欲的な層が大半を占めていました。

-来場者にはアプローチできましたか?

 当初は、展示会のしつらえで商品を整然と並べ、視覚に訴求するPOPもなくアクリル台に鎮座する商品は“ギフト”から“雑貨”へと姿を変えていました。

 そうなると、koburiの価値や思いに共感できるはずもなく、かわいいかどうかだけを基準として来場者の目に映ってしまいました。

 「これはなんとかしなければ」と、次の日は朝から壁面にペイントをしてキャッチを作製し、ブースの配置を変更しました。ただし、根本的な修正には至らず、一番肝心なヒアリングもあまりできませんでした。

-展示会で得た経験とは。

 イベントにコミットするならば、クロスセル(顧客が購入しようとしている商品に合わせて別の商品を買ってもらうためのセールス手法)も必須だと感じました。

 何より作り手が表現者として舞台に立つ覚悟を持って参加し、事前の情報告知、ブースの雰囲気作り、コミュニケーション全てにつながるのだと感じました。

 今回は散々だったけれど、こんなにも愛されていて魅力的なイベント「デザフェス」にすぐに戻ってこようと思います。

 初めて会った出展者が壁塗りの塗料について早朝からアドバイスをくれたり、ブースが暗いからと照明を持って駆けつけてくれる方がいたり。一番嬉しかったのは、そんな状況下でも、立ち止まって「あ、これ、かわいい」と声を出してくれた方がたくさんいてくれたことです。次は燦燦(さんさん)と思いを届けられるように。

側島製罐の石川貴也さんと、親から子への愛情がもっと伝わるような世界を願ってできた新商品の「Sotto」

 デザインフェスタでは、共同出展した側島製罐の石川貴也さんも当時の経験をnoteに執筆しています。