Power Automate Desktopとは?できることや使い方を画像付きで解説
Power Automate Desktopとは、データの収集・整理・加工などパソコンで操作している手順を記録して、業務効率につながるアプリを開発できる製品です。Power Automate Desktopリリース当初から、200本以上の動画・ノウハウを公開している著者が、製品の機能・特徴・効果的な活用方法について解説します。
Power Automate Desktopとは、データの収集・整理・加工などパソコンで操作している手順を記録して、業務効率につながるアプリを開発できる製品です。Power Automate Desktopリリース当初から、200本以上の動画・ノウハウを公開している著者が、製品の機能・特徴・効果的な活用方法について解説します。
目次
Power Automate Desktopは、業務フローにアクションと呼ばれるコントロールを配置し、パラメータを設定してアプリを開発する製品です。
複数の Excelファイルに記録されたデータをひとつのExcelファイルに自動でまとめる、ネット上の情報から必要なものだけを自動でピックアップして収集する、といったことができます。
まずは、類似製品のPower Automateと比較しながら特徴と価格を紹介します。
Power Automate Desktop の実行環境は主にパソコンであり、操作スキルもそこまで求められないのが特徴です。
一方で、Power Automate の実行環境は、Microsoft Azureというクラウドプラットフォームであり、コネクタ(詳細後述)に関する知識が必要という違いがあります。
ツールに対する専門知識がそこまでない場合や、手軽に導入したい場合はPower Automate Desktop が適しているでしょう。
項目名 | Power Automate Desktop | Power Automate |
---|---|---|
開発・実行環境 | パソコン | Microsoft Azure |
実行方法 | パソコンで起動し、手動操作で実行される | 自動、予定、インスタントなどの条件指定により起動し、自動で実行される |
コネクタ・アクション数 | 365 アクション | 690 コネクタ |
必要なスキル | パソコンでの操作手順などのスキルのみ | コネクタに関する知識・スキル |
監視機能 | 画面に表示されるエラーメッセージのみ | 過去履歴を含め蓄積 |
費用 | 有償・無償 | 有償 |
※コネクタは、外部サービス(例:Facebook, Twitterなど)を利用するための機能
※アクションは、フロー内で処理を定義(Excel を開く、ループ処理など)する際に利用する機能
Power Automate Desktop は、有償版と無償版があります。
有償版は、Power Automate, Microsoft 365, Dynamics 365 などでライセンス契約した際に作成したアカウントを利用するタイプです。そのため、料金は契約したライセンスによって変わります。
一方で、すべてのライセンスで Power Automate Desktop を利用できるわけではありません。
下表は、Power Automate ライセンスの各料金と、Power Automate Desktopの利用可否をまとめたものです。各料金は2022年8月時点で確認したものです。
項目名 | Power Automate の価格 | Power Automate Desktop の利用可否 |
---|---|---|
ユーザー毎のライセンス | 1630円 | × |
ユーザー毎のライセンス・アテンド型 | 4350円 | 〇 |
フロー毎のライセンス | 1万870円 | × |
非アテンド型 RPA アドオン | 1万6310円 | 〇 |
※アテンド型は、パソコンを起動し、ログインした状態で Power Automate Desktop を利用する形態
※非アテンド型は、パソコンを起動し、ログインしていない状態で Power Automate Desktop を利用する形態
無償版は、「Windows 10 以降のOS」で「Microsoft アカウント利用時」にかぎり、利用できます。
Power Automate Desktop は、無償版ライセンスで利用もできますが、有償版には次のようなメリットがあるため、自社の利用環境にあわせて選択することをおすすめします。
次に、Power AutomateDesktop を利用することで、解決できる具体事例についてご紹介します。
Excel 操作に特化したアクションが28個用意されており、Excel のマクロを利用して業務効率化を推進している方に最適なツールとして利用可能です。
たとえば、各地区営業部門から送信された売上 Excel ファイルを特定のフォルダーに保存し、フロー実行することで、各ファイルのデータをひとつの Excel ファイルに自動でまとめることができます。
インターネットで公開されているさまざまな情報を取得するアクションが23個用意されており、サイトから必要な情報をコピー & ペーストで利用する方に業務効率化と信頼性をアップするツールとして利用可能です。
たとえば、特定日時の天気情報を取得し、関連する情報(天気・気温・湿度など)を元に特定の計算式から売れる弁当数を予測して、準備する弁当数を Excel ファイルなどに出力できます。
デスクトップアプリを操作するアクションが32個用意されており、自動化することで、重複データ入力業務を削減するツールとして利用可能です。
たとえば、イベント・営業活動で取得した顧客情報をエクセルファイルに入力し、さらに社内顧客管理システムにも登録するとき、同じ情報を繰り返し入力する重複作業を削除しながら、自動的に社内営業管理システムに登録を行うことができます。
次に Power Automate Desktop を利用する手順について、具体的なインストール手順・テンプレート利用によるフロー作成・利用方法についてご紹介します。
Power Automate Desktop は、Microsoft Store で公開されているアプリです。Microsoft Store を利用することで、簡単にインストールでき、アップデートも簡単に行うことができます。
※Windows 11 からはOSの一部として組み込まれているため、すぐに利用可能です。
Microsoft Store を起動したら、検索欄に Power Automate と入力(①)、検索アイコンを選択(②)します。Power Automate の詳細画面が出てくるので、入手アイコンを選択(③)すれば、インストール完了です。
Power Automate Desktop には、テンプレートとして直ぐに利用できるサンプルアプリが提供されています。本記事では、サンプルアプリの選択画面に進むまでの手順についてご紹介します。
まずは、タスクバーからインジケーターを選択(①)、Power Automate Desktop アイコンをダブルクリック(②)して、Power Automate Desktop を起動させましょう。
フローコンソール画面(作成したフローの実行・修正などを行う画面)から、例を選択します。
無事にサンプルアプリの選択画面が開きました。
表示された画面から、サンプルアプリのカテゴリを選択します。以下で、カテゴリからサンプルアプリの概要をご紹介します。
Excel 自動化サンプルでは、Excel を操作する際に必要になるアクションの利用方法について説明しています。
【画面概要】
1) 選択したフローを実行
2) 実行しているフローを停止
3) 選択したフローを修正(フローデザイナーが起動)
4) その他メニューを表示(実行・停止・編集・コピーを作成)
Web オートメーションサンプルでは、Web ページを操作する際に必要になるアクションの利用方法について説明しています。
【画面概要】
1) 選択したフローを実行
2) 実行しているフローを停止
3) 選択したフローを修正(フローデザイナーが起動)
4) その他メニューを表示(実行・停止・編集・コピーを作成)
デスクトップオートメーションサンプルでは、デスクトップアプリを操作する際に必要になるアクションの利用方法について説明しています。
【画面概要】
1) 選択したフローを実行
2) 実行しているフローを停止
3) 選択したフローを修正(フローデザイナーが起動)
4) その他メニューを表示(実行・停止・編集・コピーを作成)
最後に、サンプルフローから、Excel レポートを集約するフローを作成するまでの手順をご紹介します。
まずは、サンプルアプリの Excel 自動化から、フローの作成画面に遷移します。
【画面概要】
1)アクショングループ - フローを作成するアクションが一覧で表示
2)ワークスペース - アクショングループからアクションをドラッグアンドドロップで配置し、フローを作成
3)変数ペイン - フロー内で利用される変数が一覧で表示
アクションをワークスペースに配置またはダブルクリックすることで、アクションダイアログが表示されます。必要なパラメータ、自動生成される変数を確認します。
【画面概要】
1) テキスト、ドロップダウン、チェックボックス、フォームなどパラメータを設定
2) 自動生成された変数は、他のアクションで利用
作成したフローを、①を選択して実行します。
【画面概要】
1)実行 - 作成したフローを実行
2)停止 - 実行しているフローを停止
3)アクション毎に実行 - 一つのアクションを順番に実行
4)実行遅延 - アクション実行後にフローが待機する時間を設定
作成したフローが正常に動作し無い場合には、変数の値を確認しながら、不具合箇所の特定を行いながら、修正を行います。
【画面概要】
1)ブレークポイント設定 - 処理を停止する場所をマウスで選択することで停止位置を指定、再度選択することで解除可能
2)実行 - 作成したフローを実行
3)処理停止 - ブレークポイントでフローの一時停止
4)変数値確認 - フロー停止位置で変数の値を確認
Power Automate Desktop は、「ノーコード・ローコードで業務を改善できる」という言葉で登場した RPA(Robotic Process Automation)の一つと位置づけられる製品です。
Microsoftの公式ブログで、定期的にアップデート情報が公表されています。
市場では、さまざまな RPA 製品が提供されていますが、導入費用・導入工数・導入教育などが必要になるものが少なくなく、諦める方も多いと聞きます。
一方で、今回ご紹介した「Power Automate Desktop」は、無償版ライセンスなどもあり、個人レベルから始めることができるものです。
ある程度のスキルも必要になりますが、操作性も良いので、シンプルな業務改善から始めてステップアップを図りながら利用していくと、組織での自動化・効率化ツールとして役立つかと思います。
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