目次

  1. 林業が背負う深刻な課題
  2. 「森づくりを行う林業」が危機に
  3. 家業の苦しい経営状況を知る
  4. 自社の仕事の尊さに気づく
  5. 家業の強みを洗い直す
  6. 家具や雑貨をネットで直売
  7. ネットを活用して情報発信
  8. 木のある暮らしを次世代に

 現在、ウッドショックで木材不足が深刻になっていますが、国内の林業の担い手は減少傾向にあります。国勢調査によると、1980年は約14万6千人だった林業従事者は、2015年には約4万5千人に減りました。高齢化率も25%で全産業平均の13%に比べ高い水準にあります。

総務省「国勢調査」から引用
総務省「国勢調査」から引用

 一方、明るい材料もあります。林業従事者の若年者率(35歳未満の割合)は1990年以降に増加傾向となり、2015年は17%となっています。森本さんもそんな若き担い手の一人です。

 宇陀市は日本有数の生産地・吉野地方に隣接。密植、多間伐の育林方法が行われ、節が少なく年輪幅が均⼀で細かく良質な木材の産地です。森庄銘木産業はこの地で4代にわたって林業を営んできました。

 森本さんは林業の課題をこう語ります。

 「林業は苗を植えて、育て、収穫(伐採)し、加工(製材)して、暮らしに届けるという流れは農作物などと同じです。しかし、200年の長いスパンで広大な土地でやるという点で誰でもできる仕事ではなく、会社化が難しい面があります。うちのような同族経営か、組合で運営しているケースが多いのが現状です」

 さらに、土地の所有者と林業の経営者は別々であるケースがほとんどで、自分の土地の場所や状態を知らない所有者も少なくないといいます。

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