「採用に効果のあった工夫」欲しい人材に向けて各社が取り組む伝え方
人手不足が叫ばれるなかでも、採用したい人材に応募してもらうために中小企業は様々な工夫をしています。欲しい人材の解像度を上げたり、採用側もきちんと自己開示したり。「#採用に効果のあった工夫」について、ツギノジダイのTwitterアカウントで投稿を呼びかけたところ、後継ぎたちが様々な工夫を教えてくれました。
人手不足が叫ばれるなかでも、採用したい人材に応募してもらうために中小企業は様々な工夫をしています。欲しい人材の解像度を上げたり、採用側もきちんと自己開示したり。「#採用に効果のあった工夫」について、ツギノジダイのTwitterアカウントで投稿を呼びかけたところ、後継ぎたちが様々な工夫を教えてくれました。
目次
きっかけは、ツギノジダイの公式Twitterアカウントで「#採用に効果のあった工夫」を募集したことでした。
「新しい人材を採用するとき、どんな工夫をしていますか?みなさまの会社で手応えを感じたときのエピソードを教えてください。#採用に効果のあった工夫」
すると、次のようなエピソードが寄せられました。
単に「良い人材」「能力の高い人材」を求人募集しようとすると、中小企業が大手企業よりも待遇面で良い条件を出すのは難しいのが現状です。
しかし、どんな人に会社に来て欲しいのか解像度を上げることで、方向性が近い人材から応募が来ているようです。
福岡県柳川市の乗富鉄工所では、経験に培われた知見や技術力があり、鉄でつくれるものは何でも自分でつくってしまう鉄鋼職人を「メタルクリエイター」と定義。SNSやブランドサイトを通じてメタルクリエイターを前面に押し出して発信しています。
現場で働く技術者をブランド化しつつ、アウトドアなど新規事業に挑戦するなかで「モノづくりが好き」という気持ちを持って働く人を募集しています。その結果、工場見学やインターンも増え、遠方からの応募もあるようになったといいます。
千葉県茂原市の「さくら印刷」の3代目鎌田貴雅さんは、採用ページを立ち上げるなかで「地元が好きで地域を盛り上げたい」という思い、「印刷業にイノベーションを起こそう」という新しいことに取り組む姿勢をアピールしました。すると「仕事内容ではなく私と働きたいと言ってきてくれる人が増えました」といいます。
愛知県大治町にある側島製罐6代目の石川貴也さんは、note「100年以上経営理念が存在しなかった中小企業で社員と一緒にイチからMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作った話」を発信しました。
1万字を超える分量ですが、この記事を読んだうえで共感して応募してくれることが増えているといいます。元々はMVVを改めて作ろうと考えている仲間に向けて、参考になればと思い書いたそうですが、結果的に採用にもプラスに働いているようです。
福井市の「松浦機械製作所」はコロナ禍でも学生の会社見学を続けました。その理由について、DX推進室長の松浦悠人さんは「学生の強い要望があったからです。元々、感染対策をしていただくことを前提に、外部の方に来社いただくことは拒まないポリシーでした」と話します。
実際に、採用面接では、学生から「ほかの会社ではリモートだけでよく分からないこともあったが、松浦機械だと実際に会社を見られて良かった」との声が聞けたそうです。とくに職場がきれいに保たれていること、すれちがう社員から元気よく「こんにちは」と挨拶をもらったことが学生たちの記憶に残っていたといいます。
松浦さんは「このような面はリモートや動画で伝えるのは難しく、“リアル”を肌で感じてもらいたい部分だったので、学生にそういう感想を持ってもらってよかったと思います」と話します。
応募者が面接を受けるとき、緊張でうまく話せなかったり、自分のことを話すのが苦手で企業側にうまく伝わらなかったりすることがあります。そこで、話しやすい工夫を心がけている後継ぎもいます。
樹脂押出成形メーカー「ノムラ化成」のタイ法人「K.U. Nomura Thai Ltd.」代表の野村亮太さん。投稿内容は、タイ法人の採用で心がけていることの一つだといいます。
「個人をさらけ出してある程度お互いに気に入った状態で一緒に働き始めるので、採用後の相性のミスマッチが減る気がします」と話します。
このほかにも、三田理化工業(大阪市)は、事務職の採用にあたり、働く環境を改善する取り組みを紹介しています。
タシロ(神奈川県平塚市)の取締役で、人材会社での勤務経験がある田城功輝さんは、いろんな採用の取り組みを紹介しています。
多岐にわたるため、追加で質問しました。
まずは求人票を書くときのどんな要素を盛り込んでいるのか、ポイントを聞いたところ、田城さんは次のような点を盛り込むようにしているそうです。
このほか、技術職や配送などスキルや資格が必要な職種は、未経験や入社時は無免許でも可とし、その代わり「入社後○○くらい(3ヵ月後等 期間)にそのような資格を取ってもらいます」とスケジュールを詳細に記載しているそうです。
従業員数12人のタシロでは、既存の従業員と応募者の相性を選考段階で確認しているといいます。
具体的には、応募者が来社する前に必ず社員ミーティングを開き、応募者と共通点がありそうな従業員には応募者との座談会に参加してもらうようにしています。田城さんは「外国籍の従業員が過半数のため、お互いにコミュニケーションが取れることも確認してもらっています」と説明します。
座談会に参加しないメンバーも、応募者が来社したときには「気持ちの良い」挨拶をしてもらっており、実際に応募者からは「全員が元気で明るい挨拶をしてくれるので、今まで行った工場の中で一番明るいイメージを持ちました」との声が寄せられるといいます。
機械加工メーカー「エナテック」(大阪府和泉市)5代目の榎並幹也さんは、採用担当になり、媒体・運用など大きく変更したといいます。
連続投稿だったため、ツリー状に投稿された内容を一覧できるようにしました。
これまでは新聞折込を中心に求人を展開していましたが、今の時代の新聞購読率とウェブ媒体の状況から、ウェブ中心に切り替えました。前年度採用が紹介以外は滞っていたのに対し、2021年9月〜22年6月に100人以上の応募を獲得しました。
求人に興味を持った方には、榎並さん主導でメッセージを送るように心がけていました。応募後は必ず半日以内にお礼の連絡と電話で話せるかどうかを確認。面接日程決定後もお礼連絡とリマインドを送信すると、面接辞退率は5%以下になったといいます。
メッセージにはテンプレートは使用せず、応募者のバックグラウンドを見た上で、なぜ自分がその人に興味を持ったかを伝え、何を期待しているかを伝えるようにしていました。
面接時の質問リスト(50個ほど)を作成。その中から、当日はこの話をしますと前もって伝えていました。応募者にできる限り自然体で面接に臨んでほしかったことや聞かれることがわかるとリラックスできると考えたためだといいます。
些細なことでも気になったことは、エン転職の営業さんにすべて質問しました。すぐに回答が得られ、すごく良好な関係が築けたと感じているといいます。
採用は営業と同じ。自社にとっても、求職者にとってもメリットとなるような提案をすることがとても大事だと感じているといいます。出来る限り求職者の方に喜んでもらえるように接して、企業としての魅力を感じてもらうことが重要とのことです。
近畿職業能力開発大学校の学生をアルバイトとして採用し、5S活動や会議室プレート、改善ツールなどを作成してもらいました。また正社員採用の内々定を承諾してもらっており、入社後もスムーズに馴染むことができそうだと榎並さんは感じています。
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