目次

  1. 父ら漁師4人で結成、水産物を加工販売
  2. 中国駐在で芽生えた「挑戦したい」気持ち
  3. 設立メンバーを説得、グループを継ぐ
  4. まず飲食店を再開、顧客目線の運用に
  5. 漁業体験や水産物の加工販売にも着手
  6. ふるさと納税サイトで表彰、注文増加
  7. 卸売にも参入、3年目で売上4000万円に
  8. 「ゆくゆくは島の子どもたちの就職先に」

 熊本県の西側、八代海に浮かぶ獅子島。天草諸島の1つで、行政区分は鹿児島県長島町に属します。鹿児島県の公式サイトによると、人口689人(2015年時点)、全周36.5キロメートル。2021年には島の海岸で翼竜の化石が見つかったとしてニュースになりました。

赤い四角で囲った部分が獅子島(国土地理院のウェブ地図「地理院地図Vetctor(仮称)」を元に編集部作成)

 城さんによると、曽祖父の山下義人さんが1919(大正8)年、獅子島で追い込み網漁を始めました。以来、山下家は漁師として生計を立ててきたそうです。漁業は長年にわたり島の主産業でもありましたが、近年は漁獲量の減少や魚価の低下といった危機に見舞われてきました。

 一方で2011年、農業や漁業(1次産業)の従事者が加工(2次産業)や流通・販売(3次産業)に取り組むよう後押しする6次産業化法が施行されました。こうした流れを踏まえ、翌2012年、城さんの父で追い込み網漁の漁師である山下英輝さん(60)が、漁師仲間らと計4人で始めたのが「水産加工グループ島のごちそう」です。

 「島のごちそう」の当初の活動について、城さんは次のように説明します。

 「島では水揚げした水産物のうち、規格外品や自家消費用に残したものを、練り物や干物にして日常的に食べていました。これを商品化し、県外でのイベントなどで売るようになったんです」

島で養殖したあおさ。乾燥させて商品化し、自社ECサイトや「食べチョク」などで販売している

 こうした水産物の加工以外にも、飲食店の運営や漁師体験といった事業も展開しました。しかし、グループには販売や宣伝のノウハウがなく、どれも軌道に乗らないまま尻すぼみになったといいます。

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