目次

  1. 家族経営で作る伝統の手組紐
  2. 家業を知るほど深まった尊敬の念
  3. 直売で築いた信頼関係
  4. 結婚した妻も職人に
  5. 妻が編み出した新商品
  6. コロナで百貨店の催事が消失
  7. 帯締めのアレンジを増やす
  8. ネット販売にも力を入れる
  9. 当たり前を続けるだけではだめ

 組紐の起源は奈良時代以前といわれ、仏具や神具、武士の甲冑や茶道具の飾り紐などに使われました。明治中期、城下町の伊賀で帯締めや羽織紐といった和装品の製造が盛んになり、ピーク時の1960年代には伊賀地域だけで90軒近くの組紐店があったといいます。

 しかし、ライフスタイルの変化とともに伊賀組紐の担い手は減少。三重県組紐共同組合の資料によると、伊賀で店や会社として組紐を手掛けているのは20軒に満たないのが現状です。

藤岡組紐店は江戸時代の町家を改装しました

 藤岡組紐店は90年以上に渡り、手組紐にこだわり作り続けてきました。現在は4代目の藤岡さんと妻のかほりさん、3代目で父隆さん、母恵子さんの家族4人と職人2人で切り盛りしています。

 藤岡さんは長男として生まれましたが「組紐にはまったく興味がなかった」と言います。「子どものころは言われるままに手伝っていましたが、詳しいことを知ろうとも思わなかったです」

 両親から後を継いでほしいという話が出ることもなく、大学在学中は大阪の映画館でアルバイトに励みました。当時は映画関係の仕事に興味がありましたが、思うような縁はありません。人生を考える中で、藤岡さんは少しずつ家業を意識しはじめました。

高台に座り、絹糸で帯締めを組む藤岡さん

 藤岡組紐店では昔ながらの木組み台(高台)を使った手組みにこだわり、絹糸の帯締めを中心に作っています。

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