目次

  1. 「オール九州」のパンケーキを開発
  2. 東京には出店しない戦略
  3. コロナ禍で一等地の店舗を閉鎖
  4. 廃校カフェが地元で人気に
  5. 「そこしかないもの」を提供
  6. 家業のバトンタッチも模索

 村岡さんは家業のすし店「一平寿し」を経営しながら、タリーズコーヒーのフランチャイズ店を運営するなど事業を拡大してきましたが、宮崎で発生した口蹄疫による風評被害を機に、宮崎県だけに限らず、イートインだけでもない事業をつくろうと模索しました。その結果、生まれたアイデアが東京で始まりつつあったパンケーキブームに触発された「オール九州のパンケーキ」でした(前編参照)。

 では、どんなパンケーキなら「九州」を体現するのか――。ヒントは、視察で訪れたハワイのスーパーマーケットにありました。10種類の雑穀を使った「10 Grain Pancake Mix」という商品を見つけ、「九州7県それぞれの穀物を使ってみよう」と思いついたのです。

 村岡さんは1年半かけて7県を駆け回り、原材料を提供してくれる生産者を探しました。

 選んだのは、宮崎県の発芽玄米、大分県の小麦、福岡県の赤米、佐賀県の胚芽押麦、長崎県のもちきび、熊本県の黒米、鹿児島県のうるち米という7種の雑穀です。そして、沖縄県と鹿児島県の砂糖を配合し、独特のふわふわ、もちもちした食感を生み出すパンケーキミックスを完成させたのです。

村岡さんが広めた九州パンケーキ(一平HD提供)

 人工甘味料や香料は使わず、「オーガニック」にこだわり、また全ての食材は生産地のトレーサビリティーが可能になっています。

 当初は地元宮崎のスーパーの店頭に置いてもらって村岡さんが自ら販売したり、宮崎市内の商店街の空き店舗などでパンケーキ教室を開いて試食してもらったり。地道な販促活動を続けました。

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