目次

  1. 温泉旅館で生まれたソウルフード
  2. 「好きなことをやれ」と言われて
  3. 良かった時代にてんぐになった
  4. 評価制度の策定に着手
  5. 「豊かさの実現」を理念に 
  6. ブレークスルーを生んだ要因
  7. 父・叔父とは異なるアプローチで

 長野県内だけでチェーン展開するテンホウは、地元では気軽な食堂として愛されています。特に餃子が人気メニューで、シナモンや八角などを加えたオリジナルのものを年間200万食製造しています。

 テンホウは自社工場と各店舗のオープンキッチンで調理を分担し、品質向上と効率化を図っているのが特徴です。

 餃子は290円(税込み)、しょうゆラーメンは480円(同)という手頃な価格帯も、長野県民に長く親しまれる理由です。

テンホウの焼餃子。隠し味のシナモンや八角が香ります(筆者撮影)

 テンホウの発祥はかつて上諏訪駅のそばにあった温泉旅館「天宝 鶴の湯」です。大石さんの祖母百代さんが女将を務めていました。昭和20~30年代にかけて上諏訪地方に次々と旅館が建てられる中、百代さんは旅館業の継続に危機感を覚えました。

 そこで料理修業に赴き、東京・新宿の中華料理店で無給で働きながら、餃子やチャーメン、タンメンのレシピを身に付け、諏訪に戻りました。諏訪では新しかった餃子は人気商品に。旅館は餃子を目玉にした「天宝 鶴の湯 餃子菜館」へとリニューアルし、繁盛店となりました。

 1973年、「餃子菜館」を引き継ぐ形で、百代さんの息子で大石さんの父孝三郎さんが、テンホウの運営会社「テンホウ・フーズ」を創業。初代社長に就きました。ここから「どうせやるならでっかくするぞ」とチェーン化を図ります。

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