目次

  1. バズってから販売まで半年 心がけたリスクコントロール
  2. たくさんのコメント スルースキルも大事 
  3. 普段の仕事にない接点づくり つながる相手にも注意

 「バズは認知や興味フェーズの事が多く、購買意欲にまでつながっているのかは見極めが非常に難しいです」と話すのは、自社商品の紹介がTwitterでバズった経験を持つ中小企業の後継ぎです。

 欲しくなくても、すごいと思って「いいね」を押すことが考えられます。そのため、購買にはつながらない可能性もあります。「試作品やアイディアの段階でバズったのであれば、販売ではスベる可能性は多いにありえると思います」

認知し興味を持ってから購買まではいくつかのプロセスをたどる購買行動プロセス(AISAS)の図

 この中小企業でも、商品の新たな用途を紹介したときに、その性能を評価する声がたくさん寄せられました。ただし、販売までに半年以上かけ、モニターを募集して商品の精度を高めたり、リクエストがあってもできないことも公表したりするなどリスクコントロールを心がけました。

 「もしバズってすぐ販売したときに、発想は面白いけど商品の精度が低かったら、高い期待値とのギャップで取り返しつかなくなる可能性もあり、基本的には危険性は高いと思っています」

 そのほか、バズったときに備えてあらかじめ受け入れ体制を整えておく必要があるといいます。

 「サイトからの問い合わせ、SNSのDMやリプ、電話が殺到した時の対応、販売経路など興味を持ってくれて購入したいと思った人をどこに誘導するのか事前に準備しておかないとそのまま逃してしまいます」

 この企業では、一般消費者から問い合わせの電話やメールが急に増え、Twitter経由で海外からも問い合わせが寄せられたといいます。

 とはいえ、狙ってバズらせられるわけではありません。すぐに販売できない場合もあるでしょう。「すぐに販売できない場合でも、フォローしてもらい、販売したとき連絡できる方法だけでも確保しておくなど準備だけはしておくべきかと思います」。

 バズると好意的な反応ばかりとは限りません。ときにはネガティブな反応も寄せられます。「返信にはとても気を遣いました」と話すのは、別の中小企業の後継ぎです。

 ネガティブでも商品開発に役立つ意見を出してくれているのか、ただ足を引っ張ろうとしているのか、その線引きは簡単ではありません。

 ネガティブな意見にだけ返信をしないと、逆に炎上を招くかもしれないと考えたといいます。そこで、この後継ぎは「公平性を大事にし、どんな意見も受け止める」と決めて、ネガティブな意見にもきちんと返信したうえで、やりとりを長続きさせないよう心がけたといいます。

 バズると、一度にたくさんの意見が寄せられるため精神的に負担になる人もいます。こうした人に向けては「ネガティブな言動をそのまま受け止めずに、うまく受け流すスルースキルも大事になります」と話します。

 日頃のTwitter運用で心がけているのは「目的意識を持つこと」。バズりやすいテンプレート投稿や、フォロワーを増やすことを目的とした投稿よりも会社や製品のことを知ってくれる本当のファンを増やしていきたいと考えているそうです。

 「つながる相手も大事ですね」と話すのは、また別の中小企業の後継ぎです。バズったことをきっかけに会社のことを知ってくれる人が増えたことについて、取引先も銀行も自社のOBも好意的に受け止めていたそうです。

 また、Twitterを通じて、普段の仕事では知り合えない企業の人たちとも知り合うことができ「トータルでいうと良かったと言えます」と振り返ります。

 新しい仕事が生まれることもあります。ただし、Twitterだけではつながった相手の深い部分まで見えません。「なかには、ほかの方を悪く言う人もいます。自分の価値観に合わないと思ったら注意が必要かもしれません」