後継ぎに現場経験は必要か「必要」「フェーズによる」に意見分かれる
中小企業の後継ぎが入社したとき、事業承継をする前に現場経験を積んでおいた方がよいでしょうか?ツギノジダイのTwitterアカウントで投稿を呼びかけたところ、現場を知ることの大切さを投稿する後継ぎがいる一方、ケースバイケースという意見も複数ありました。いくつかの意見を紹介します。
中小企業の後継ぎが入社したとき、事業承継をする前に現場経験を積んでおいた方がよいでしょうか?ツギノジダイのTwitterアカウントで投稿を呼びかけたところ、現場を知ることの大切さを投稿する後継ぎがいる一方、ケースバイケースという意見も複数ありました。いくつかの意見を紹介します。
目次
中小企業の後継ぎは、入社してから経営者としての見識を育てるうえで、どんな仕事を経験するのがよいでしょうか?とくに製造業では、経営者に就任する前に現場経験は必要か否かがよく議論に上ります。
そこで、ツギノジダイの公式Twitterアカウントで「#後継ぎに現場経験は必要か」について意見を募集しました。
「後継ぎは、事業承継を前に、現場を経験した方がよいでしょうか?後継ぎのみなさんの経験や意見をお聞かせください。」
すると、20件を超える、意見やエピソードが寄せられました。
寄せられた意見で多かったのは「現場経験は必要」という意見でした。その根拠について、具体的なツイートを交えつつ紹介します。
ニューロング工業の3代目長健人さんは、「築く」「知る」「認められる」という3つのキーワードを使って現場経験は必要と指摘しました。
太美工芸の2代目社長野田哲也さんも「出来ること出来ないこと、任せること、自社の強みや弱みなど、経験しないとわからない」として現場を知る大切さを伝えています。
ムクヤホーム3代目の粟津佑介さんも「現場を知らずに社員や創業者の意思を汲める後継者になることは難しい」と指摘します。
エス・ケーホームの3代目社長杉谷拓紀さんは「現場をやらずに経営を切り離してって考えるなら、後継者は外部の人で良いんじゃないか」として、現場を理解した上での経営改善の大切さを説明しています。
このほか、常磐精工3代目の喜井翔太郎さんは2年現場に入って感じた3つのメリットを紹介しています。
とくに、後継ぎが新規事業に取り組むとき、まずは自分一人で取り組むケースも少なくありません。そんなとき、一人で試作品を作れることは開発スピードとコスト面で強みになるでしょう。
ただし、現場経験が必要という意見ばかりではありません。ケースバイケース、フェーズ、リソースによるという投稿も複数ありました。とくに現場改革まったなしの状態で入社する後継ぎたちもいます。
側島製罐6代目の石川貴也さんは入社1年目から製造現場には入らない代わりに、人事、総務、経理、生産管理、資材調達、営業企画、IT推進など様々な業務に携わりました。
ツイートで「技術となると一朝一夕に習得できるものではないので、一人前になるにしても相当時間はかかるし、その時間は他のことに割けなくなるので、後継ぎのミッションになりがちな事業の抜本的な改革に着手しづらくはなる」として、悩ましい課題であることを綴っています。
乗富鉄工所の乗冨賢蔵さんは、現場経験にメリットは多いものの、早く経営にコミットした方がよいこともあるのでケースバイケースとし、「期間含めて計画的にやるのが大切」と投稿しました。
一方で、現場との信頼関係については、次のように書きました。
現場経験ないからといって現場と信頼関係築けないなんてことはないし、細かいオペレーションまで分からなくてもやりようはある。その場合は信頼して任せる、ということが必要になるのだけど。
どういった立場であれ現場にリスペクトをもって向き合っていれば自然と信頼関係は生まれてくると思ってます。
銀座英國屋3代目の小林英毅社長も「現場経験は必須ではない」としつつも、現場に入らないことのデメリットを肝に銘じた方がよいとアドバイスします。
自分のやっていない仕事は簡単だと思いがちだとして、既存社員へのリスペクトがおろそかになったり、無理な要求を指示したくなったりする傾向があると指摘しています。
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