目次

  1. 「売れさえすれば」にならないように
  2. 「環境が人を育てる」をハワイで実感
  3. 鍼灸院、旅館、介護……異業種に参入
  4. 住宅購入者に花を毎年プレゼント
  5. 世界一クリスマスケーキを売る不動産屋
  6. 「三方よし」ではなく「四方よし」目指す

 ミックグループは、三春情報センターとグループ会社10社で構成されます。横浜市南部のほか、鎌倉、藤沢、茅ケ崎市など湘南地域が地盤です。グループ全体の売上の9割は不動産関連事業が占めますが、残り1割はそれ以外で稼いでいます。グループの従業員数は521人です。

 創業者の裕児さんは1977年、25歳の時、未経験だった不動産事業を始めました。賃貸物件の仲介から始め、1980年後半には一戸建ての販売を開始。1990年代半ばにはリフォーム事業にも手を広げ、会社を急成長させました。

1977年に創業した当時の店舗外観(三春情報センター提供)

 事業が順調に拡大するにつれ、裕児さんは「素人が起業してもうかるなんて、おかしくないか」と感じたそうです。自分の店に多くの客が集まったのは、不動産業界に「千三つ(千の言葉のうちに真実は三つだけ)」という言葉があるように、不誠実な業者が多いからだと裕児さんは考えました。「親子3代のお付き合い」を企業理念に掲げ、世直しをしようと心に決めたといいます。

 営業社員の給与のうち、歩合給の比重を大きくすると、「売れさえすればいい」となりかねない――。それが諸悪の根源だと考えた裕児さんは創業時から、歩合の仕組みをほとんど導入しませんでした。

 創業5年目の1981年には2店舗目をオープンし、多店舗展開を加速。営業社員にも制服を賃与したほか、チラシ配りをしたり、自由に見学できるオープンハウスを開設したりと、当時としては珍しい取り組みを次々始めました。

 磨碑露さんは「不動産屋としてはパイオニア的存在だったと思います。父がやったことは、5年後には業界で当たり前になりましたから」と振り返ります。

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