目次

  1. 運用型広告とは? その仕組みをわかりやすく解説
    1. 運用型広告の仕組み
    2. 運用型広告の課金方式
  2. 運用型広告のメリット・デメリット
    1. メリット
    2. デメリット
  3. 運用型広告の種類5つ 特徴や費用相場を紹介
    1. 検索連動型広告
    2. ディスプレイ広告
    3. 動画広告
    4. SNS広告
    5. ショッピング広告
  4. 運用型広告と他の広告との違い
    1. 予約型広告
    2. 成果報酬型広告(アフィリエイト広告)
    3. インフルエンサー広告
  5. インターネット広告を始めるなら運用型広告からがおすすめ

 運用型広告とは、広告主自身がGoogleやYahoo!などの管理画面を通じて、リアルタイムで広告の内容や金額、期間などを操作して出稿する広告です。

 電通が2022年3月に公表した「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、利用されている金額は年間1.8兆円(前年比126%、2021年時点)と規模・成長率ともに大きく、インターネット広告全体の85%を占めます。インターネットの広告で主流となっているのが運用型広告です。

運用型広告の仕組みとメリット・デメリット
運用型広告の仕組みとメリット・デメリット(デザイン:増渕舞)

 運用型広告は、複数の広告主が特定の掲載場所に対して、入札(オークション)を行い、落札をすることができたときに掲載がされます。入札の仕方は課金方式(詳細後述)によって異なり、例えばクリック課金型であれば1クリックあたりいくらまで支払えるのか、インプレッション課金であれば1インプレッションあたりいくらまでお金を出せるのかを提示します。

 入札(オークション)ですので高い金額を支払った広告主が掲載できる可能性は高いですが、多くの場合は広告の内容などを考慮した独自のアルゴリズムで「良質」と判断した広告を掲載するため、決して高い金額でないと掲載ができないわけではありません。

 運用型広告には、主に以下の課金方式があります。方式によって費用のかかり方や入札の仕方が変わるため、採用したい運用型広告がどの方式なのか事前に確かめることが大切です。

  • クリック課金(CPC課金)
    広告がクリックされたときに費用がかかる課金方式です。広告が表示されただけでは費用はかからないので、効率的に広告を出すことができます。最もメジャーな課金方式です。
  • インプレッション課金(CPM課金)
    広告が表示されたときに費用がかかる課金方式です。広告が見られた回数を重要視する場合に使われます。
  • コンバージョン課金(CPA課金)
    広告が表示・クリックされ、コンバージョン(申し込み完了や購入完了)をした際に費用がかかる課金方式です。利用できるシーンは限定的ですが、コンバージョンに対してのみ費用を支払うため、確実性の高い課金方式です。
  • 視聴課金(CPV課金)
    動画広告が視聴されたときに費用がかかる課金です。YouTubeなどで使われる課金方式です。
  • フォロー課金(CPF課金)
    SNSでフォロワーや友だち追加されたときに費用がかかる課金方式です。費用を支払うことで確実にフォロワーや友だちを増やすことができます。
  • インストール課金(CPI課金)
    アプリのインストールがされたときに費用がかかる課金方式です。アプリをより多くの人に知ってもらいたい広告主に利用されます。

 次に、導入する前に把握しておきたいこととして、運用型広告のメリット・デメリットをご紹介します。

 運用型広告は、商品に合わせてターゲティング(キーワードや地域・性別など)や広告の掲載先を選定したり、入札金額を自由に決めたりできます。アフィリエイト広告のようにアフィリエイター次第ではなく、広告主の経験や努力によって費用対効果を高められるのが一番のメリットです。

 また、管理画面の設定さえ終わればすぐに広告を出すことができ、配信結果もリアルタイムで把握できるため、費用対効果が悪いと思ったらすぐにやめられます。反対に、費用対効果がよいと思ったときに広告の量を増やすことも容易です。

 多くの運用型広告の広告主や代理店がいるため、使い方や成功事例などがインターネットに多く掲載されていることも、実際に運用する際にはメリットになります。

 メリットのところで、運用型広告は広告主の経験や努力によって費用対効果を高められることをあげましたが、見方を変えればデメリットにもなります。運用の方法を学んだり、実際に管理画面を自身で操作したりしないと、思うように成果が出ないことを意味しているからです。

 また、管理画面1つで操作できてしまいますので、意図しない広告出稿や予想外の費用の発生の場合も、広告主自身の責任になります。

 初めて運用型広告を活用する場合は、経験のある方からのレクチャーや広告代理店の活用をすることで、運用型広告の知識や経験を得ることをおすすめします。ただし、当然ながらある程度の時間と費用がかかるため、導入前にきちんと見積もることが大切です。

 運用型広告は、主に次の5つがあります。特徴や費用相場をご紹介しましょう。

検索連動型広告
検索連動型広告(赤字枠内)

 インターネットで検索をした際に上部に表示される広告で、リスティング広告とも呼ばれます。

 インターネットで検索をするユーザーは、何かしらのニーズを持って検索をしています(例えば「花 通販」と検索した人は、花を通販で購入したいと考えています)。こうしたユーザーに対して狙い撃つ形で広告を出稿できるのが検索連動型広告の特徴です。成果が出やすいことから多くの広告主に人気があります。

特徴 ・ニーズに適した広告を出稿できるため、購買や問い合わせにつながりやすい
・多くの広告主が出稿しているため競争率が高い(検索結果の上部に、他社の検索連動型広告も同時に表示される)
費用相場 1クリックあたり数円~数千円(商材や配信設定による)
おすすめのケース ・すぐに成果(購買や問い合わせ)につなげたい場合
・顧客がインターネットで調べることが多い場合
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告(赤字枠内)

 WEBサイトやアプリに表示される広告です。バナーなどで利用者の目につきやすく、文言だけでなく画像も工夫することでより多くの人に訴求できます。例えば、花の通販広告を出したい場合、花のみの写真だけでなく、リビングに置かれている様子や価格を記載した画像を用意すると効果が高まります。

特徴 ・比較的低単価で広告出稿が可能
・多くの広告枠が存在する
費用相場 1クリックあたり数円~数百円(商材や配信設定による)
おすすめのケース ・多くの人に広告を見てもらいたい場合
・バナーなどをすでに持っていたり、作成できたりする場合
動画広告
動画広告(赤字枠内)

 YouTubeやTikTokなどに表示される広告です。動画の準備が大変ですが、昨今どの媒体も強化しています。動画を制作するときは、すぐにスキップされてしまう場合もあるので初めに最も伝えたいことを流したり、主にスマートフォンで見られるので小さな画面でも読める文字の大きさにしたりする、など工夫するとよいでしょう。無音声の場合でも伝わるように、ナレーションを文字で入れるといった方法も有効です。

特徴 ・動画で情報量多く訴求が可能
・スキップ不可の広告配信も可能なため、確実に動画を見てもらうこともできる
費用相場 1視聴当たり数円~数十円(商材や配信設定による)
おすすめのケース ・商品の魅力を動画でPRしたい場合
・テレビを見ない層にも動画で訴求したい場合
SNS広告
SNS広告

 TwitterやInstagram、Facebookに出稿可能な広告です。広告と同時に拡散(いわゆるバズ)も狙えるため、うまくいけば非常に費用対効果の高い広告になります。何が拡散するかは一概には言えませんが、自然投稿と似た雰囲気にしたり、実際に商品を使っている様子などの投稿をしたりすると、より多くの人に広まる傾向にあります。

特徴 ・SNSの利用頻度の高い若者へのアプローチが可能
・うまくいけばSNSでの拡散も狙える
・フォロワー獲得の手段としても利用可能
費用相場 1クリック数十円~数百円(商材や配信設定による)
おすすめのケース ・SNSで拡散を狙いたい場合
・自社のSNSアカウントのフォロワーを増やしたい場合
ショッピング広告
ショッピング広告

 Googleの検索結果などに表示される広告です。検索ワードなどに連動して、関連する商品が直接検索結果に表示されます。

特徴 ・検索やコンテンツに連動してさまざまな商品を出すことができる
・商品の画像や値段も表示可能
・商品のページに直接誘導可能
費用相場 1クリック数十円(商材や配信設定による)
おすすめのケース ・インターネット通販での販売を行っている場合
・多くの商品を取り扱っている場合

 インターネット広告には、運用型広告のほかにも、さまざまなタイプの広告があります。ここでは3つの広告を、運用型広告との違いを交えてご紹介します。

 予約型広告とは、あらかじめ掲載場所や期間、費用などが決まっている広告です。例えば、Yahoo!のトップページにある大きなバナー(ブランドパネル広告)やYouTubeにおける最も目立つ位置に掲載する特別な広告(マストヘッド広告)などがあげられます。

 運用型広告と違い、途中でやめたいと思ってもやめることはできず、費用対効果も終わってからでないとわかりません。

 費用は、1回あたり数十万円~数百万円が相場です。

 成果報酬型広告(アフィリエイト広告)とは、問い合わせや購入などの成果が発生した際に費用が掛かる広告です。

 運用型広告に比べて確実性は高いですが、成果の量はいわゆるアフィリエイターと呼ばれる人たち次第なので、より多くの成果を出そうとしてもすぐにはできません。一方、運用型広告の場合は、成果の量を増やそうと思えば、(費用は多くかかるものの)管理画面で操作するだけでできます。

 成果報酬型広告の費用は、広告主の希望で自由に決めることができますが、1成果あたり数千円~数万円(商品や成果内容による)が一般的となっています。

 インフルエンサー広告とは、InstagramやTwitterなどのSNSのインフルエンサーに商品をPRしてもらう広告です。

 拡散力の高いインフルエンサーにPRしてもらえれば、たくさんの人に商品を知ってもらうことができます。ただ、運用型広告と違い、インフルエンサーの選定や打ち合わせなども必要になるため、広告掲載まで時間がかかってしまうこともあります。

 費用相場は、1フォロワー当たり2~4円で計算される場合が多く、例えば5万のフォロワーがいるインフルエンサーの場合の費用は10万円~20万円程度になる場合が多いです。

 電通の「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によれば、インターネット広告のうち、運用型広告が占める割合は2021年時点で85%です。

 これは、「掲載したい」と思う多くの広告枠が運用型広告であることを意味しています。そのため、インターネット広告を出稿する場合は、選択肢の幅を広げるために、まず運用型広告を検討することをおすすめします。

 なお、運用型広告を実際に運用するときは、配信結果の確認を日々行い、改善するにはどうしたら良いのか常に考えることが重要です。これらのポイントに注意してはじめて、成果が少しずつ見えてくるようになります。