目次

  1. 東農大で妻と出会って結婚
  2. 家業の課題をノートに書き出す
  3. サミット酒に選ばれ全国区に
  4. 妻の支えで醸した新ブランド
  5. 弱冠24歳で杜氏に
  6. コンテストに積極的に出品
  7. 妻も酒造りに名乗り
  8. 創業家と従業員をつなぐ役割に
  9. 生産量の増加を目指して

 1892年創業の大田酒造は「半蔵」を中心に年間600石(一升瓶換算で6万本)を製造しています。有輝さんの両親で6代目の勲社長と智洋専務を筆頭に従業員17人が働いています。

 有輝さんは「子どものころ、両親から継いでほしいと言われた記憶もなく、周囲から『後継ぎ』と言われたときに少し意識したくらいです」と振り返ります。

 それでも「将来どう転んでも良いように」と東京農業大学短期大学部の醸造学科に進みました。大学で酒蔵の後継ぎの同級生と出会い、「お酒について話すのが楽しかった一方、自分が家業のことをあまり知らないことに気づき、自然と家業を意識するようになりました」。

創業130年の大田酒造は代表銘柄「半蔵」を醸しています

 そんな同級生のなかに、将来の伴侶となる麻帆さんがいました。共通の趣味のゲームとアニメの話で意気投合し、交際に発展。卒業後の2015年に結婚しました。

 千葉県の一般家庭で育った麻帆さん。チーズなどの発酵食品にひかれて大学を選びましたが、「醸造学に触れて日本酒にも興味を持ち、いつか自分も酒造りをしたいと思うようになりました。酒蔵へ嫁ぐことに抵抗はなく、むしろうれしかった。正直、酒蔵の暮らしが全く想像できていなかったので、逆に不安もなかったと思います」と笑います。

有輝さんと麻帆さんは若くして老舗ののれんを背負います

 有輝さんは大学卒業後、広島県にある酒類総合研究所での研修を経て、15年冬から名酒「作」で知られる清水清三郎商店(三重県鈴鹿市)で修業を積みます。麻帆さんも鈴鹿市で一緒に暮らしました。

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